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5月21日、衆議院内閣委員会において「国家公務員制度改革基本法案」の審議が行われました。本法案について、様々な憶測が流れる中、全労連「公務員制度改革」闘争本部、公務労組連絡会は、衆議院議員面会所前に置いて集会を開催しました。
集会は、国公労連秋山中央執行委員の司会で始まり、主催者を代表して公務労組連絡会の大黒議長があいさつを行いました。大黒議長は、「国会延長がされないという動きの中、様々な憶測が流れているが、多くの問題をはらんでいる法案であり、安易な成立は許してはならない」と述べるとともに、「最後の最後まで奮闘しよう」と呼びかけました。
引き続き国会情勢報告のため、質疑を終えたばかりの塩川衆議院議員が集会に参加し、法案の問題点、審議状況などをていねいに報告しました。その中で塩川議員は、国民と公務員労働者の願いに応える法案でなければならないが、おおもとを変えるようなものになっていないと述べました。また、法案をめぐる動きが急ピッチで進んでいることを報告し、最後まで法案の問題点などを徹底的に追及する決意を述べました。報告を終えた塩川議員に対し、集会参加者は万雷の拍手で感謝と激励の意を表しました。
国会情勢報告を受け、国公労連から工藤中央執行委員、蟹全通信書記長が、自治労連から柴田書記次長が、全教から蟹沢中央執行委員が決意表明を述べました。決意表明では、法案の問題点がそれぞれの立場から述べられるとともに、労働基本権の回復をめざし全力で奮闘する決意が述べられました。
集会の最後に立った公務労組連絡会の黒田事務局長は、わずか11時間しか審議されていない段階で、法案通過という動きが報道されることが言語道断とし、徹底した審議を求めて闘い抜こうと述べました。
その上で、三つの行動提起が行われました。行動提起は、第一に来週28日に予定している議面集会を成功させること、第二に国会審議の傍聴を継続すること、第三に「公務公共サービス拡充署名」をやり抜き30日の中央行動でわれわれの意志を示すこと、以上の点を訴えました。
すべての発言を受け、司会の国公労連秋山中央執行委員から、本日の決意表明と行動提起をお互いに確認し、全力でとりくもうと呼びかけ集会を終えました。
【国会の審議では・午前中】
5月21日に開会された内閣委員会の午前の審議には、細野豪志(民主)、佐々木隆博(民主)、吉良州司(民主)、塩川鉄也(共産)の各議員が代表質問に立ちました。
細野議員(民主)は、天下り問題と幹部人事問題で追及。「民主党が幹部人事問題で修正を提案すれば、大臣は応じるか」と議員が質問し、渡辺大臣は「承る」と応じる姿勢を表明しました。
佐々木議員(民主)はキャリアシステムと労働基本権問題で追及。「各省採用ではなくて人事庁採用となると、それがまた特権とならないのか」との追及に渡辺大臣は「各省縄張り主義をなくすのが法案の趣旨なので、人事庁採用の意味を理解してほしい」と答弁し、「協約権付与にかかわる検討が5年間というのは長すぎる」との追及には「5年が前提ではなく速やかに結論をうる」と答弁しました。
吉良議員(民主)は、優秀な人材とは何かという点と官尊民卑の根絶について追及。
塩川議員(共産)は、法案のいう官民交流の推進が、実は官民癒着の拡大となる点を追及。まず官民人材交流法に基づく人事院によるチェック手続きの簡素化が行われることを明らかにしました。続いて、総務省報告書にもとづき、民間企業は官民人材交流の目的として(1)人材育成(2)人脈づくり(3)新たなビジネスチャンスの3点をあげていることを指摘。つづいて規制改革推進室に人員構成等を質問、31人中で18人が民間人であり、これらが非常勤として民間の身分のまま、働いている事実を明らかにしました。これらの人は非常勤の給与との差額を出身企業からもらいつつ勤務しており、まさに企業が新たなビジネスチャンスを求めているのではないかと追及しました。かつて規制改革議論にくわわったワーキンググループの委員の出身企業が、医療特区の株式会社参入のトップを切った会社の大株主企業であった例もあり、結局、規制改革の道を開いて、企業が自分で利益を得ているのではないか、今回の法案は官民癒着の拡大となる大きな問題点があると述べました。なお、渡辺大臣は、企業が新たなビジネスチャンスも求めていることについては名言を避けました。
【国会の審議では・午後から】
午後の審議では、木原誠二(自民)、桝屋敬悟(公明)、武正公一(民主)、川内博史(民主)の各議員が代表質問に立ちました。
木原議員(自民)は、法案に議院内閣制と記載しただけではなにも変わらない。国家公務員は国民の奉仕者となっている。条文を変えろとは言わないが、各大臣や総理大臣の為に任務を遂行し、大臣が多少間違っていてもついていき、その是非については、国政選挙により国民が審判を下せばいいと言い、それが公務員制度改革の狙いでないかと迫れば、渡辺大臣も同調するなど正に、この法案の本音の危険な狙いが明らかとなりました。
桝屋議員(公明党)は、この間色々あったが、この法案を成立させ一歩進める必要がある。もともと日本は議員内閣制にもかかわらず改めて議員内閣制と言うのは政治家が役人に負けてしまっているのではないか、それを変えるためにも法案の成立が必要だと大臣を援護する発言をしました。
武正議員(民主)は、防衛省の山田洋行との契約をはじめとする契約による加払いの問題点について、財務省、会計検査院に追及したうえで、公務員制度改革に対する追及をしました。
川内議員(民主)は、議員との接触について、その内容の大臣報告案件、局長止まり案件の運用を今現在、各省庁どのように行っているのか、それぞれについて調査をして報告を願いたい。本法案を審議するには大事なことであると追及。回答した渡辺大臣は、ルールがない中で調査するのは膨大な時間がかかってしまい、今国会でこの法案が通らなくなってしまう。ルールがないからこそ本法案でルールを作るものであると回答しました。労働基本権について、骨太方針2007では改革の方向で見直すと明記されているにもかかわらず、検討するというのは後退している。また、国家公務員に能力成績主義を導入している中で協約締結権・労働基本権について、いつまでに誰がどのように検討するのか。また、天下り再就職については、国土交通省の調査で、契約関連企業300社(回答296社)、その他企業300社(回答293社)の天下り調査を実施した結果、契約関連企業1,523人、その他企業1,118人の結果が出された。押し付け的な斡旋については0であったが、公益法人には1,261人も行っている。国土交通省はこの調査に当たり各社に私の名前を使って事務連絡で調査を行った。国民に透明性を提示するのであれば、行革大臣名で各省調査を実施させ、現在の結果を公表すべきと追及しました。
渡辺大臣は、協約締結権・労働基本権については、法案成立後すみやかに検討し、専門調査会が結果を出した1年半くらいの期間を目途に結果が出せるように検討をすすめる。各省調査は、非常に意義のあるものと理解するが実施については良く検討をしたいと回答しました。
以上
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