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2009年3月25日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
政府の地方分権改革推進本部は3月24日、地方分権推進委員会の第2次勧告に基づく国の出先機関改革に関する工程表を決定した。
国の出先機関の見直しでは、第2次勧告に盛り込まれていた地方出先機関の統廃合や職員の大幅削減については明記せず、今後のスケジュールを示すだけにとどまっている。
これは、われわれのとりくみの反映であるとともに、出先機関が果たしている役割をまともに検討もせず、様々な矛盾を含んだまま出された勧告であったことを如実に示すものである。
国公労連は、第2次勧告で示された国の出先機関の見直しについて、第一に憲法にもとづく国の責任、例えば都道府県労働局が担っている雇用確保、失業対策等の公共サービスを切り捨てるなど国民に対する責任放棄であること、第二に「簡素で効率的な政府」の名の下に出先機関で働く国家公務員の大幅削減を打ち出し、深刻な雇用問題が発生する危険性があること、第三に受け皿となる地方自治体の事務・権限や財源問題も先送りしていること。また、地方分権改革推進委員会の強権的なやり方は、地域の社会・経済に重大な影響を及ぼすことが危惧されること、を指摘してきた。
この間の「構造改革」によってすすめられてきた市場原理主義に基づく自由競争の弊害により、格差と貧困の拡大や雇用不安が社会問題化している。国が果たすべき役割と責任は、雇用の確保や社会保障の拡充、中小企業の経営安定など、国民生活の破壊を防ぐセーフティーネットをはじめとしたナショナルミニマムを保障することである。国の出先機関は、憲法を具現化する責任を果たすために設けられているものであり、その行政体制の確立・拡充こそが求められている。
麻生首相が「100年に一度の経済危機」と述べたとおり、国民生活を守り、安心・安全な社会を作りあげるため、今こそ政府が責任を持って全力を上げなければならない。「地方分権」で地方再生、地域振興がはかれるかのような幻想を振りまいているが、「自己責任」を押しつける「構造改革」の流れでは、財政力で差がある都市部と地方との格差は拡大するばかりである。政府に求められているのは、国民に幻想を抱かせるのではなく、住民自治の拡充と国の責任でナショナルミニマムを保障する政策を示していくことにある。
地方分権改革は、国民的に開かれた議論が保障されなければならない。同時に、当事者である国公労連ならびに関係単組との十分な交渉・協議も不可欠である。国公労連は、引き続き政府との交渉・協議を強めるとともに、政府・財界がすすめる「構造改革」路線にもとづく一連の「改革」を許さず、国民の権利と暮らし、地域を守る共同の運動を全国で強化する決意を表明する。
以上
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