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2009年4月6日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
本日、人事院は、景気の急速な悪化の中、民間の夏季一時金が例年になく厳しい状況にあるとして、国家公務員の本年6月期の一時金減額の「暫定勧告」を念頭に、民間調査を実施する旨を表明した。
民間夏季一時金が大幅に減額される中で、政府・与党などに国家公務員の6月期一時金の減額を検討する動きがあるが、そのようなことは、労働基本権制約の代償措置を無視するかつてない暴挙であり、絶対に許すことはできない。同時に、人事院がこうした政治的な動きに迎合して特別調査を行うことも断じて認められない。
国公労連は、このようなやり方と人事院の姿勢について、以下の重大な問題点を指摘するものである。
第一に、今回の方針は、公務員の一時金決定に関する従来ルールを一方的に無視することである。調査時期と実際の支給での約半年間のタイムラグの存在を理由に従来の官民比較のルールを一方的に変更することはあまりに根拠が薄弱である。一時金は、重要な労働条件であることからいっても安易な見直しは許されない。
人事院の責任は、タイムラグがあっても最終的に水準調整がなされることをわかりやすく国民に説明することにある。
第二に、暫定的にせよ支給直前に6月期一時金の減額に繋がるおそれがある調査を行うことは、住宅・教育ローン返済などすでに生活設計を組み立てている職員の期待権を侵害し、生活への重大な影響を与えるものである。
第三に、今回の調査は、一時金を含めた官民の賃金闘争に重大なマイナス影響を与えることである。民間中小企業の労働者は、いままさに一時金を含めた生活改善に向けた賃金回答の引き出しに奮闘している最中であり、この時期にかかる方針を打ち出すことは、今後の民間春闘や最低賃金引き上げの流れに冷水を浴びせるものである。内需を拡大し、景気回復を図ることが必要な時に、消費を萎縮させる施策は、内需と国内生産を縮小させ、雇用を減少させるという悪循環の加速に繋がりかねない。さらに、各種の社会的所得決定の基準ともなっている人事院勧告の社会的影響を考慮すれば、景気動向や経済全体に与える影響も極めて大きなものがある。
以上の点から、国公労連は、今回の提案と特別調査の必要性を認めることができず、直ちにその撤回を求めるものである。
国公労連は、賃金抑制攻撃にも粘り強く闘いを続けている中小民間労組との連帯を地域から強化するとともに、時間給1,000円以上の全国一律最低賃金の実現、内需拡大に向けた雇用創出、大企業の内部留保の取り崩しによる雇用確保などの社会的責任を追及し、広範な労働者・国民とともに奮闘するものである。
以上
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