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談話
戦争する国につながる宇宙開発は許されない
〜宇宙基本計画の策定にあたって〜
     
 

 

2009年6月2日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

 政府は、本日、宇宙基本法第24条に基づき、今後10年程度を見通した宇宙開発に関する施策をまとめた「宇宙開発基本計画」を決定した。
 具体的には、(1)宇宙開発利用の推進に関する基本的な方針、(2)宇宙開発利用に関し政府が総合的かつ計画的に実施すべき施策、(3)宇宙基本計画に基づく施策の推進を定めている。

 これまで日本は、宇宙利用に関し1969年(昭和44年)の「宇宙の平和利用決議」の趣旨を尊重し、自衛隊による宇宙利用を「その利用が一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星(昭和60年2月6日政府見解抜粋)」、即ち、通信衛星、気象衛星、測位衛星、画像情報収集衛星のように、その利用が一般化した機能を有する衛星に限定してきた。  しかし「基本計画」では、自衛隊の本来任務とされた海外での国際平和協力活動などを理由として、地表の地形等の影響を受けない宇宙空間の利用を図り、安全保障の強化のために他国の監視警戒活動を行うとしている。このため、今年度中に見直しに向けた検討が行われる「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」との整合性を図ることも含まれており、宇宙利用における軍事利用が大幅に拡大されようとしている。

 加えて政府は、宇宙産業を電子・電機産業、自動車産業等に次ぐ21世紀の戦略的産業として育成し、国際競争力を強化していくことを打ち出している。
 国際競争力の名の下に、産業を育成・強化されたところで、国民生活の向上につながる保障は何もない。自動車産業など大企業では、国際競争力の強化を旗印にした「構造改革」によって、内部留保を大幅に拡大してきたが、労働者の賃金は減少をしてきた。宇宙産業の育成・強化が、さらなる労働者の犠牲の上に成り立つものであってはならない。  また、宇宙環境では、これまでに打ち上げられてきた衛星などが無数に存在し、重大な事故等につながる危険性が指摘されている。日本政府が、果てしなき宇宙開発に乗り出すことで、宇宙環境の悪化を助長してはならない。

 日本における宇宙開発は、大規模災害などの観測や国民生活にかかわる平和利用のために特化し、軍事利用を行うべきではない。
 国公労連は、策定された「宇宙開発計画」が、戦争する国につながる危険性を指摘するとともに、憲法9条を守り、国際社会の中で平和を希求する国家として名誉ある地位を占めることができるよう、引き続き、憲法を守り発展させる運動を広範な国民とともに全力でとりくむことを表明する。

以上

 
 
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