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談話
地方自治の本旨を歪める「勧告」を許さず、憲法を国民のくらしと行政にいかそう
地方分権改革推進委員会第3次勧告の発表にあたって(談話)
     
 

 

2009年10月9日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

 10月8日、地方分権改革推進委員会(委員長:丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は、第3次勧告を鳩山首相に提出した。
 第3次勧告は、地方自治体の自治事務の規制緩和を柱としたもので、「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」と「地方自治関係法制の見直し」、「国と地方の協議の場の法制化」の3つで構成されている。
 地方自治体の事務やその方法、基準を国が法令している「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」では、教育および保育や医療、福祉など自治体が提供する住民サービス全般にわたって、国の定めた最低基準の撤廃を迫り、廃止または自治体の条例委任を求めている。国の責任を縮小し、住民サービスが自治体任せとなることは、財政力等によって行政サービス水準の自治体間格差の拡大が助長され、国民の基本的人権を損ないかねない。例えば、待機園児数の解消や子育て支援を口実に認可保育所設置の最低基準が廃止、または各自治体の条例に委任されることになれば、子どもの安全や健やかな成長を妨げかねない。
 「地方自治関係法制の見直し」では、教育委員会の形骸化を理由に委員会の存置について自治体任せにしている。自治体に任せれば形骸化が解決されるのか、また教育の政治的中立性が保たれる保障はあるのかなど問題が多く、国民的検討など慎重な対応が求められる。
 勧告は「地方自治体の自主性を強化し自由度を拡大するもの」と強調するが、憲法25条が定めるナショナルミニマムを形骸化し、国の責任を放棄するものと指摘せざるを得ない。

 8月30日投票の総選挙で、国民は自公政権がすすめてきた「構造改革」路線、財界・大企業優遇政策によってもたらされた貧困と格差の拡大に厳しい審判を下した。
 しかし、民主党のいう「地域主権」の行きつく先も、これまで財界主導ですすめられてきた「地方分権」・道州制と大差ない。民主党政権は、前政権の地方分権改革推進委員会などの政府審議会をすべて見直すとしているが、それに代わる「国と地方の協議の場の法制化」で設置される「国地方調整会議」(仮称)や、本日(9日)総務相が創設を表明した「地域主権戦略局」(仮称)で、事務・権限の見直しと国の出先機関の原則廃止など「地方分権」・道州制を押しすすめようとしている。このことは、憲法92条で定められている地方自治の本旨である「住民自治」と「団体自治」とは相容れない政策であることは言うまでもない。

 国公労連は、国の責任を放棄する「地方分権」・道州制導入には断固反対する。いま、医療、福祉、教育、雇用、労働など国民のいのちとくらしが脅かされているとき、求められているのは憲法にもとづいて国と都道府県、市町村がそれぞれの役割を発揮し、国民の安全・安心を守る行政を実現することである。そのため、広範な国民と双方向の対話を通して理解と共感を広げ、憲法が国民の生活と行政にいかされる民主的な行財政・司法の確立にむけて奮闘する決意である。

以上

 
 
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