2009年11月11日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
第4次勧告は、国と地方の税財政制度の見直しを柱とするもので、「当面の課題」と「中長期の課題」の二つの構成となっている。「当面の課題」では、国税の一定割合を地方交付税の原資に充てる「法定率」を引き上げ、地方交付税総額の確保に配慮すべきことや、国庫補助負担金の廃止に伴う「一括交付金」の制度設計にあたっては、地方が必要な事業の執行に支障が生じないよう必要な総額を確保できるような交付基準の検討などを勧告している。「中長期の課題」では、国と地方の税源配分5対5を求め、さらに地方の課税自主権の拡充や地方債の起債自主権も重要な課題としている。
小泉政権が推し進めた三位一体改革による地方交付税および国庫補助金の大幅な削減、平成の大合併と昨秋以降の経済危機がさらに追い打ちをかけ、地方自治体の財政悪化は深刻である。これらは、「地方分権」の一里塚としてすすめられてきたが、今日のような事態を招いた政府の責任と政策の検証こそ行われなければならない。
今第4次勧告も、地方税制改革の名のもとに、国が本来責任をもつべきナショナルミニマムを形骸化させ、地方間の格差を拡大してきた自公政権下での「地方分権」に沿ったものであり、容認しがたい。
来年3月末までの設置期限となっている地方分権改革推進委員会は、今回の勧告でその任務を終え、その後継組織として「地域主権戦略会議(仮称)」が新設されると報道されている。
民主党の掲げる「地域主権」は、国と地方の役割分担を否定し、「二重行政やムダの排除」と称して国民に対する国の行政責任を放棄する、これまで自公政権が財界主導ですすめてきた「地方分権」と基本的になんら変わらないと言わざるを得ない。
鳩山政権は、地方分権改革推進委員会がこれまでまとめてきた4次にわたる勧告や地方自治体の置かれている現状を、憲法に定める地方自治の本旨に照らして検証し、「地方分権」「地域主権」のあり様を根本的に改めるべきである。
国公労連は、憲法の本旨が十二分に発揮され、地域住民が不安なく安心して安全に暮らすことができる地方自治をめざさなければならないと考える。そのためにも、国が果たすべき役割は大きい。
私たちは、国民の権利保障としての公正・中立・効率的な行政サービスを提供し得る体制の確立に向けて、広範な国民のみなさんとの双方向の対話をすすめる「総対話MAP」運動を軸に、ひきつづき全力をあげて奮闘する。
以上
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