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国公労新聞 2009年7月10日号 第1307号
 
 

 

◆総選挙特集
 今こそ「構造改革」路線の転換を

◇公務労働者の未来にかかわる争点は
 総選挙が間近に迫っています。「政権交代」の言葉が踊りますが、問われているのは政治の中身。雇用や労働条件、職場と行政など国公労働者の課題はどれも政治の中身に大きく左右されます。総選挙は、雇用破壊、社会保障切り捨て、公共サービス切捨てで貧困と格差を拡大してきた「構造改革」路線を転換するチャンス。私たちの一票で政治が変えられます。

◇公務員削減、出先機関 ― 切り捨てがもたらすものは
 政府は新たな定員合理化計画を閣議決定しました。「これ以上一人も減らせない」との多くの国公労働者の願いをふみにじる自民・公明与党。一方、民主党も公務員の総人件費の2割削減を主張しています。
 「地方分権改革」でも国の出先機関の廃止・地方移譲が中心課題とされています。行政の民間委託の拡大でワーキングプアが広がっています。
 国の役割を外交や防衛などに限定し、暮らしや雇用は地方や国民の自己責任とする政治を許すのか、憲法にもとづいてナショナル・ミニマムを保障する国の責任として行政や司法の体制を拡充・強化する政治を実現するのか、この総選挙の重要な争点です。

◇中立・公正性を損なう ― 公務員制度改革でいいのか
 政治と行政に対する国民の不満をすり替える公務員バッシングが強まるとともに、「全体の奉仕者」として公正・公平・民主的な行政を進めるために定められた国家公務員法の基本が崩されようとしています。
 内閣による幹部人事の一元管理や官民人材交流など、政権政党や財界・大企業に忠実な「もの言わぬ公務員」づくりと行政の変質が狙われています。
 アメリカ言いなり、財界・大企業中心の政治を推進する公務員制度とするのか、公務員の市民的・政治的自由と労働基本権を全面的に回復し、全体の奉仕者として国民の権利を保障する民主的な行政とそれを支える公務員制度を確立するのか、が問われています。

 
 

 

◆新たな定員「合理化」計画
 「5年間10%以上」を閣議決定

 政府は7月1日、2010年度以降の定員管理について、2010年度から2014年度までに今年度末定員の10%以上を「合理化」する新たな定員合理化計画を閣議決定しました。
 計画は、「地方分権改革」の推移を見守るとして、次年度には年度末定員の2%以上(合理化目標数6066人)を「削減」することとし、以降4年間の合理化目標数は出先機関の改革大綱等による合理化を反映させるとしています。
 国家公務員の定員は、「行政機関の職員の定員に関する法律(総定員法)」によって、業務量や行政需要の増大にかかわらず、その上限が法律によって厳しく制限されています。一方、05年度から09年度までの5年間に10%以上とされた「定員合理化計画」による「合理化」と06年度から5年間で5・7%以上の「行政機関の定員純減」(06年閣議決定)により、09年までの4年間で2万2511人もの定員純減が強行されています。
 国公労連岡部勘市書記長は2日、定員合理化計画の決定に断固抗議し、計画の即時撤回を求める談話を発表しました。

◇公示後もできるこんな取り組み

 支部や分会の機関紙でも、選挙に直接ふれなければ、通常行っている要求と政党・候補者とのかかわりを宣伝することはできます。
 私たちの要求に各政党・候補者がどのような態度や政策を掲げているのかなど、労働組合の立場から職場に広げましょう。

 自らの要求の「憲法改悪反対」「サラリーマン増税反対」等にもとづく宣伝・署名行動などは、通常どおり実施できます。

 電話による投票の依頼は自由です。
 公務員の「地位利用」にならない限り、電話での投票依頼は自由です。

 直筆の封書による投票依頼も自由にできます。
 知人・友人や親戚など親しい人にあてた自筆の封書の中で、私用のついでに投票依頼や応援は自由にできます。

 個々面接による投票の依頼も自由にできます。
 知人・友人などにたまたま出会ったときや、他の要件で人を訪ねた際に、投票依頼や応援依頼をすることは自由です。

 演説会に参加し、政策への理解を深めましょう。
 個人演説会や政談演説会などに参加することはもちろん、知人・友人を積極的に誘うこともできます。

 後援会への加入やカンパへの協力も自由にできます。
 国家公務員であっても後援会には加入できます。ただし、役員になることはできません。また、カンパに応じることは差し支えありません。

◇公務員の市民的・政治的規制は憲法に反するもの
 政治活動・選挙活動の自由は、すべての国民に保障された憲法上の権利です。「言論・表現の自由」(21条)や「思想・良心の自由」(19条)とかかわり、基本的人権の中核です。国家公務員といえどもその例外におかれていません。現行法は国家公務員の政治活動を大きく規制していますが、これは国際的にも問題視されるきわめて不当なものです。


◇当日投票できない人は事前に投票を
・期日前投票  仕事や旅行などの私用で投票できない場合は、選挙人名簿に登録されている各区市町村の期日前投票所にて投票ができます。期日前投票は、公示日の翌日から投票日の前日までの午前8時30分から午後8時まで行えます。
・不在者投票  期日前投票制度が、選挙人名簿に登録されている各市区町村であるのに対し、名簿登録地以外の各区市町村や入院している病院などで投票する制度です。投票期間等は期日前投票と同様です。
 詳しくは各選挙管理委員会へ問い合わせの上、投票しましょう。

 
 

 

◆労働基本権の保障を ― ILOが5度目の勧告

◇すべての労働組合に対して公正な取り扱いを求める
 ILO(国際労働機関)理事会は6月19日、同結社の自由委員会で審議・確認された日本の「公務員制度改革」にかかわる「中間報告」を採択しました。
 「中間報告」は、今年3月にILOに提出した全労連からの追加情報にもとづくものです。追加情報では、労働基本権付与には一切触れていないことや労使関係制度検討委員会の構成が連合代表のみで全労連代表が排除されている偏りの問題点を指摘しています。そして、「公務員制度改革」が、労働組合との十分な交渉・協議もないままに、公務員人事管理の一元化や「内閣人事局」の設置が決定されてきたことなどを示し、公務員労働者の労働基本権のすみやかな付与を訴えてきました。
 ILOの「中間報告」では、日本政府に対して「すべての関係する労働組合と完全かつ率直な協議」のもとに、ストライキ権をふくむ公務員の労働基本権の付与を求めています。
 とりわけ、政府の労使関係制度検討委員会にかかわって、全労連推薦の委員が排除されていることは、全労連の主張にもとづき、「すべての代表組織に公正な取り扱いをおこなう必要がある」として、「信頼を取り戻す」ための措置を求めていることは注目されます。
 今回の勧告によって、「公務員制度改革」にかかわる日本政府への勧告は、2002年11月、2003年6月、2006年3月、2008年6月に続いて5回目です。たびかさなる勧告を受けて、憲法と、結社の自由原則という国際的なルールに沿って、日本政府に誠意ある対応を求めていく必要があります。

 

 

◆日本年金機構でどうなる年金
 安心年金つくろう会が院内集会

 安心年金つくろう会は6月25日、国会内で「日本年金機構でどうなる年金」院内集会を開き、70人が参加しました。
 集会では、日本共産党の小池晃参議院議員が国会情勢を報告しました。
 全厚生の峰副委員長は、「業務センターでの再裁定が今でも60万件残っている。業務に習熟した職員でないと派遣や委託では困難だ」と指摘。
 首都圏青年ユニオンの川添書記長は、「今まで排除されてきた人たちもカバーできる社会保障制度をつくる運動を」と訴えました。 
 東京国公の植松事務局長は、7月末に安心年金つくろう会の準備会を発足させ、東京の中にしっかりした運動体をつくりたいと決意を述べました。

 
 
 
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