全労連公務員制度改革闘争本部は4日、政府が国会提出をねらっている国家公務員法「改正」法案など関連法案をめぐって、2月27日につづいて国家公務員改革推進本部事務局と交渉しました。
審議官クラスをまじえたこの日の交渉では、人事院から内閣人事・行政管理局への権限移管をねらう級別定数の管理について、推進本部事務局は、管理運営事項とする従来の主張を変えず、交渉は平行線をたどりました。
人事院との合意を得るにはまだ道のりがある(推進事務局)
改革推進本部事務局との交渉には、全労連闘争本部から、黒田事務局長を先頭に、柴田(自治労連書記次長)、東森(全教書記長)、岡部(国公労連書記長)の各闘争委員が出席、推進本部事務局側は、渕上、古賀の両審議官、高田、米女、駒﨑の各参事官ほかが対応しました。
はじめに、現状について古賀審議官が、「予算に関連しない法案の提出しめきりである3月10日にむけて努力してきた。各省との協議はすすんでおり、人事院とも具体的な協議を続けているが、人事院との合意が得られる方向が見えてくるには、まだまだ道のりがある。10日に提出するには、今週中に与党手続きに入る必要があるが、現時点ではきびしい。しかし、10日がだめならば13日の提出をめざすなど、事務局として作業を続けていく」と説明しました。
前回の交渉では、人事院から内閣人事・行政管理局に機能が移管されたあと、人事院の「意見聴取」などのあり方が問題になりましたが、そのことにかかわって、「級別定数の管理などにかかわる企画・立案や実施の機能を、内閣人事・行政管理局と人事院とで分担することとなる。したがって、公正・中立な人事行政を維持するうえで、専門機関である人事院から意見を聞くこととなる」とのべつつも、「内閣人事・行政管理局に権限が移っても、中立・公正性を維持するうえではまったく問題ないと考えているが、人事院や労働組合から懸念の声があったので、そうした懸念を払拭するために、人事院から意見を聴くという点を加えた。みなさんに理解してもらうため配慮したものだ」などとして、人事院からの意見の申出や意見聴取は、反対意見を抑え込む手段であるかのような回答を示しました。
また、闘争本部側が、「公務員制度改革基本法は、幹部職員人事の一元管理を想定したものだ。関連法案は、一般職員をふくめた級別定数の管理が示されており、基本法が想定した範囲を超えるものだ」と指摘すると、推進事務局側は、「基本法は級別定数には触れていないが、国会審議でもさまざま質疑がされており、そうした議論をふまえた解釈の範囲であり、基本法が定めたものを超えていない」などと強弁しました。
憲法に触れる労働基本権問題を「労使慣行」に矮小化
「工程表」をめぐる交渉から基本的な問題となっている級別定数の労働条件性にかかわって、闘争本部側があらためてその点を追及すると、「級別定数は管理運営事項であり、今年に入っても、国会でそうした議論がされている」とこれまでの主張を一歩も変えなかったことから、「内閣人事・行政管理局は、人事院のように中立な「第三者機関」ではなく、明確に使用者だ。労働基本権が保障されていないのに、交渉が成り立つのか」とせまりましたが、「いままでやってきた労使慣行を否定するものではない。実態をふまえて仕組みを考えていく」などと回答し、憲法に関わる労働基本権の問題を、「労使慣行」の問題に矮小化しました。
これに対して、闘争本部側は、「官民比較にもとづく水準、および、その配分によって個々の給与が決定されていく。配分は級別定数とかかわることからも、勤務条件性は明らかだ。だからこそ、『第2の賃金闘争』としての昇格闘争がある。そうしたこれまでのたたかいさえ否定することになる」と主張すると、「これまでの労使慣行をふまえて対応する。みなさんの心配が小さくなるように仕組みをつくっていく」などとの回答を繰り返しました。
このように、交渉は平行線をたどり、最後に黒田事務局長は、「今日の話を聞いても、とうてい納得できないし、法案策定作業がこのままうまくいくとはとても思えない。あらためて、関連法案の策定反対を表明する。また、労働組合との交渉・協議に誠意を持って対応し、納得と理解のもとですすめるべきだ。その立場から、性急な法案の閣議決定、国会提出は断じて行うな」と強く求め、この日の交渉を終えました。
※「公務員制度改革」闘争ニュース2009年3月4日《No.77》(発行=全労連「公務員制度改革」闘争本部)より転載。
以上
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