政府の労使関係制度検討委員会は11日、第6回会議を開催し、3回目のヒアリングを実施しました。この日のヒアリングでは、知事会、民間企業、独立行政法人、市長会と対応する労働組合から行いました。
大まかな意見について紹介します。
使用者側(公務当局)の意識・問題認識に疑問
〜都道府県・市長会のアンケート結果より〜
知事会を代表して、石井岡山県知事が47都道府県を対象に行った緊急アンケートの結果を報告しました。回答は、都道府県の知事部局が行ったもので、労働協約締結権の付与について、多くの都道府県はどちらともいえないという回答を行っています。
付与した方がいいと回答した都道府県は、5団体にとどまっており、懸念を表明する都道府県が半数を超えています。また、岡山県の実情に対する質問が出され、これに対し知事は、「今年度は大幅な給与カット(7.3%)に関する交渉を行ったこともあり、相当な時間(最終交渉は朝10時から翌3時半まで)をかけて行った」ことを回答しました。
この回答を受け労働側から、人勧と別個に交渉を行い合意しているのであれば、協約締結権を付与するのが当たり前との質問がだされました。これに対し知事は、人勧の意義は承知しているものの、やむを得ない措置として協力をお願いしているとの回答にとどまりました。
知事は、労働基本権を付与することは公務員制度の根幹にかかわることから慎重に議論するべきと回答しながら、交渉で賃下げについて合意していることとの整合性には答えませんでした。
市長会が行ったアンケートでは、92市区町を対象に83市区町から回答が寄せられ、付与した方がいい16市区町(19.3%)、付与しない方がいいは31市区町(37.3%)、どちらともいえない(43.4%)という結果が報告されました。
市長会が行ったアンケート結果の報告に続いて、実情を述べた会津若松市の担当者は、懸念要素について詳しく意見を述べ、賃金を自ら決定する意識を持ち得ていないことを露呈しました。
労使双方の意識が高まった(民間企業)
民間企業からのヒアリングは、NTT東日本を対象に行われました。はじめに使用者側は概況を説明し、複数労働組合が存在していることが組織規模の違いに配慮して交渉を行いつつ、同じタイミングで提示しているなどの基本原則を述べました。
その上で、合理化などを進めるには労働者の理解が欠かせず、良好な労使関係の構築に注意を払いながら、改善効果を上げることができたが、それも、賃金を自主決定できるようになったことの効果が大きいと述べました。
一方労働組合側からは、使用者側よりコストの合理化が迫られてきたが、関与することで一定の歯止めをかけることができ、組合員の理解も進んだと述べました。また、基本ベースは本部で一括して決定しているが、各事業で決めていることがあると述べました。
運営費交付金の壁は厚い
独立行政法人に対するヒアリングでは、使用者当局は自主決定できるようになったと回答していましたが、労働組合側は運営費交付金の壁があり、公務員準拠として労働条件が決定されていると回答していました。
こうしたやりとりから、国からの運営費交付金で事業を行っている独立行政法人では、国の労働条件(賃金)にあわさざるを得ない実態が浮かび上がりました。
しかしながら、育児休業などで国よりも上積みできるところがあるなど、自主決定ができる利点も報告されていました。
以上
|