2010年3月9日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
鳩山内閣は、3月5日「地域主権改革関連2法案」を閣議決定した。2法案は、(1)地域主権戦略会議の設置と「義務付け・枠付け」の見直し、(2)国と地方の協議の場に関する法律案となっている。
「地域主権改革」について法案は、「日本国憲法の理念の下に、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革」と位置づけたが、新自由主義的な自己責任論であり憲法と相容れない。主権は憲法が規定するとおり国民にあるのであって「地域」にあるのではない。
「義務付け・枠付け」の見直しでは、国が定める施設等の基準や自治体の事務の関する国の関与などを緩和や廃止して、地方自治体の事務などに委ねることとしている。たとえば、待機児童解消を理由に保育所の設置基準の緩和をあげているが、居室面積基準を後退させれば、児童の詰め込みが横行し、安心・安全の健やかな成長を脅かすことになる。
国と地方の協議の場は、憲法で規定する地方自治本来の趣旨を前提に、国と地方が対等の対場で、国と地方の役割と権限および税財源などを協議すべきであって、「構造改革」路線を競うかのようなこの間の議論は問題視せざるを得ない。
過日開催された第2回地域主権戦略会議では、義務付け・枠付け、権限移譲、一括交付金化、国の出先機関改革などの検討を進め、今年6月に「地域主権戦略大綱」(仮称)の原案を策定するとしている。義務付け・枠付けや国の出先機関の見直しは、「国民の最低限度の生活・権利を守る国の責任」放棄につながり、一括交付金化によって財政的な裏付けを失うこととなれば、地方間格差をいっそう加速させることとなる。
鳩山政権は、「構造改革」がもたらした貧困と格差の解消、是正を求める国民の声をもとに誕生したが、財界・大企業中心、アメリカ追随の政治は変わらず、国民生活優先の政治は実現していない。
国公労連は、「構造改革」路線を継承する鳩山内閣の「地域主権改革」の欺瞞性を暴露し、2法案の徹底審議を求めるとともに、今年夏に予定されている「地域主権戦略大綱」策定を許さず、国の国民に対する責任・義務を明らかにしていく。そのため、総対話MAP運動の取り組みで国民との双方向性の対話を旺盛にすすめ、憲法をくらしと行政にいかす国民本位の行財政司法めざしてとりくみを強化する。
以上
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