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談話
 削減ありきの見直しは、行政サービスの低下もたらす
 行政刷新会議の独立行政法人の「事業仕分け」にあたって(談話)
     
 

 

2010年4月30日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

 政府の行政刷新会議は4月23、26、27、28日の4日間にわたり、104ある独立行政法人のうち47法人の151事業を対象に、民主、社民、国民新党の与党国会議員8人、有識者とされる民間人31人と枝野行政刷新担当相の計40人によって、事業の必要性、有効性、緊要性や事業の実施主体の適格性などについての検証を目的に「事業仕分け」をおこなった。
 今回は、昨年11月に次いで第2弾として、目的達成のために主に「無駄を省く」と称して効率性や費用対効果の視点でおこなわれ、42事業の一部も含めた廃止や53事業の縮減、ガバナンスの強化、約1兆6000億円の国庫返納を求めるなどの判定結果を出した。
 しかし、判定結果は独立行政法人制度改革の全体像を明らかにしないまま、画一的な視点で、1事業に1時間足らずの議論で結論づけるという拙速なものである。
 なんのために、このような派手な演出方法を採る必要性があるのかどうか甚だ疑問である。

 民間人の「仕分け人」に「構造改革」を推進してきた人物が数多くいることは、見過ごせない問題である。「構造改革」路線の「官から民へ」「小さな政府」のスローガンのもと、国民に対するナショナルミニマムが縮小、崩壊され、貧困と格差をもたらしたことは明らかである。そのような人物による「事業仕分け」に懐疑心を持たざるを得ない。
 また、「事業仕分け」の結論は法的拘束力を持たず、政府の判断に任されることになる。それなら恣意的に選ばれた与党だけの国会議員、民間人によらず、国権の最高機関である国会の予算委員会、決算委員会などの場でおこなう方が、公正で民主的である。

 独立行政法人は、「国民生活及び社会経済等の公共性の見地から確実に実施されることが必要な事務・事業」(独法通則法)と規定されているように、国の政策に基づき事業をおこなっている。今回の「事業仕分け」は、政策面を見ず現象面だけを見るという本末転倒と言わざるを得ない。
 国立病院機構の医師不足の中で、機構の医師の給与が安いことが議論になったが、医師不足の原因は、機構の給与が低いことが本質的な原因ではない。国の医療政策、とりわけ経済協力開発機構(OECD)の平均3.1人をはるかに下回る日本の医師不足を解消するための医師政策を論じなくして、医師確保は何ら解決しない。

 今回対象となった国公労連加盟の独法労組のある独立行政法人は、@国立科学博物館、A国立文化財機構、B製品評価技術基盤機構、C航空大学校、D情報通信研究機構、E宇宙航空研究開発機構、F国立病院機構、G医薬基盤研究所、H建築研究所の9法人である。これらの独立行政法人は、もともと国の行政機関であったが、企画立案部門と実施部門に分離して、実施部門が独立行政法人に移行した。原則企業会計を採用しているが、独立採算制は採っていない。公共性が高い事業(行政サービス)を提供しているため、利潤を追求することとは無縁であり、仮に利潤を追求するのであれば公共性を損ない、行政サービスの低下をもたらすことは必至である。

 私たち国公労連は、税金の無駄使いや天下りの根絶を大いに進めるべきと考える。
 しかし、独立行政法人が設立されてきた経緯も異なり、事業も様々な分野に及んでいることを考慮するなら、事業の見直しは画一的な効率化一辺倒ではなく個々の事業を精査する必要があり、削減ありきで事業や法人の廃止、民営化、地方移管等をおこなうべきではない。また、見直しによって雇用問題を発生させないことは当然である。
 国公労連は引き続き、国民生活や社会経済の安定等に不可欠な事業について、国の責任で拡充することを求めて奮闘していく。

以上



 
 
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