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談話
 憲法と平和・民主主義をまもり、
 言論・表現の自由を確立する運動の強化を
 −世田谷国公法弾圧事件控訴審の不当判決に抗議する(談話)−
     
 

 

2010年5月13日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

 本日、東京高裁第6刑事部(出田孝一裁判長)は世田谷国公法弾圧事件の控訴審において、罰金10万円とする一審の不当な有罪判決を維持する判決を行った。
 2008年9月の一審判決は、猿払事件最高裁判決に安易に依拠したもので、「切り貼り判決」とマスコミからも厳しく批判された。その控訴審である東京高裁は、この間の社会的な情勢の変化や国際標準の視点からも猿払判決を検証し、一審判決の誤りを正すことが求められていた。しかし、出田裁判長は、一人の証人も採用せず実質的な審理を行わないまま、国公法102条、人事院規則14―7による公務員の政治的行為の規制について「猿払判決と見解を同じくするもの」であるとし、「憲法21条に違反するということはできない」と一審判決を支持した。
 判決は、政治活動を一律全面的に禁止した国公法、人事院規則は「行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼を確保するための予防的な制度措置」であるとし、「勤務時間外、職場と無関係の場所で行われたとしても、規制されることなく自由に放任された場合には、行政の遂行に支障をきたすおそれがある」としている。
 公務員の思想・信条が公務の遂行には一切影響しないことは、一審公判の中でも山瀬証人、田中証人が明らかにしている。にもかかわらず、このような判決を行うことは、公務員労働者に対する裁判官の偏見と言わざるを得ない。
 また、国公法、人事院規則が国際水準から見ても過度に公務員の政治的自由を制限していると指摘され、諸外国の公務員に政治活動の自由を保障されていることを明らかにした書証についても、各国はそれぞれ歴史や風土に違いがあると切り捨てた。36年前の猿払判決の判断から一歩も出ない今回の不当判決を断じて認めることはできない。
 全体の奉仕者である国家公務員の職務上の地位を利用した政治活動は許されるべきではないが、同時に国家公務員も主権者・国民の一人であり、自らの政治的信条にもとづく行為を一律全面的に禁止される合理的理由はない。このことは国公法弾圧堀越事件の高裁判決でも明らかにされている。
 宇治橋眞一氏と弁護団はこの不当判決に対して、本日ただちに上告した。今後、たたかいは最高裁に移る。
 国公労連は、憲法と平和・民主主義を守り、民主的公務員制度を実現するためにも、ILO勧告に沿った労働基本権の回復と公務員労働者の言論・表現の自由と市民的政治的自由の確立をめざして、いっそう運動を強化するものである。

以上



 
 
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