2010年5月18日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
本日、改憲手続き法(憲法改正国民投票法)が施行された。本法律は、任期中の明文改憲をめざした安倍晋三首相の指示で2007年5月、国民の強い反対を押し切って強行成立されたが、最低投票率の定めがなく有効投票の過半数という少数の賛成でも成立する、テレビ等の有料意見広告が野放し、公務員の運動が規制されるなど重大な欠陥が指摘され、18項目もの附帯決議がつけられたものである。
また、附則で施行までの3年間に投票年齢を18歳からとすること(附則3条)、公務員の活動の自由を保障するために「必要な法制上の措置を講ずる」こと(同11条)などを国会に義務づけている。しかし、この3年間、それらにかかわる民法や公職選挙法、国公法等の議論や整備は全くされておらず、法整備義務に違反している。さらに、憲法審査会が設けられたが、参議院ではその規定すらできていない。
こうしたもとでの施行はすべきでなく、いったん白紙に戻して議論し直すべきである。
ところが、「施行期日」が迫るなか、新憲法制定議員同盟が「新しい憲法を制定する推進大会」を開催するなど、改憲手続き法の施行を当然視して改憲気運を盛り上げようと画策している。これらの集会には、民主党、自民党、公明党のほか、次々に結成された「新党」の多くも参加している。なかでも、自民党は「国民投票法が施行され、憲法改正が可能となる」と表明して、憲法改正原案を国会へ提出する考えを示すなど、執念を燃やしている。
一方、鳩山内閣は、普天間基地の「移設」や「政治とカネ」の問題など、国民の最大関心事には何ら応えず、5月14日に「国会改革」法を強行提出した。「国会改革」は、政治主導の名のもとに強権的な国家づくりと、内閣法制局長官の国会答弁を禁止するなど極限まで解釈改憲を推し進めようとするものである。つまり、明文改憲の動きとは別に、さらなる解釈改憲によって自衛隊の海外における武力行使に道を開こうとする危険きわまりない内容である。明文であれ、解釈であれ、改憲の動きを絶対に許すわけにはいかない。
いま、「核兵器のない世界」に向けたNPT再検討会議に向けたニューヨーク行動をはじめ、非同盟諸国で非軍事や米軍基地撤去、安保見直しなど全世界で平和を求める運動が大きな広がりをみせている。
国公労連は、憲法の尊重擁護義務を負う公務労働者として、「9条守ろう」のゆるぎない声を国民の多数にし、改憲発議をさせないために全力をあげる。そのため、引き続き「9の日」宣伝や署名活動、職場「9条の会」結成など、地域や職場で共同の輪をいっそう広げ、憲法を職場と暮らしに活かす運動に全国で奮闘するものである。
以上
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