◆「違法な分限免職は納得できない」
全厚生組合員、雇用確保求め不服申し立て
◇社保庁職員525人の分限免職(解雇)を強行
1月1日、日本年金機構が発足し、社会保険庁が昨年末で廃止になりました。厚生労働省の長妻大臣は12月28日、社会保険庁の525人の職員に対して、国公法第78条4号による分限免職(解雇)を発令しました。行政の公正・中立性を保障するため身分が保障されている国家公務員の大量解雇は例がありません。
これに対し、国公労連加盟の全厚生労働組合(全厚生)の組合員31人が1月18日、人事院に処分撤回を求める不服申し立てを行いました。
分限免職処分撤回を求める不服申し立ては18日までに、全厚生組合員以外にも9人おり、計40人になります。
◇二重処分は違法
日本年金機構は年金業務を引き継ぐにもかかわらず、社保庁職員の採用を制限するとともに、民間から1000人以上も正規職員を新たに採用しています。国公法78条4項による「廃職」や「過員」という処分理由とまったく矛盾しています。
過去に処分歴のある社保庁職員は、日本年金機構への応募自体が拒否されました。処分の多くは「業務目的外閲覧」ですが、様々な外圧の中で行為の内容に見合わない重い処分が行われました。
過去の懲戒処分などを理由に分限免職にするのは、同一の非違行為に対する二重の不利益処分であり、違法です。
◆「私たちの専門性をいかせる仕事に戻せ」
申し立て者3氏が記者会見
人事院に不服申し立てを行った全厚生組合員の3氏が同日、要旨以下の記者会見をしました。
◇全厚生中部社会保険支部(35歳)
私は、マスコミ報道がおかしいものと感じ、その確認として国会議員1人の閲覧をしたことが「のぞき見」として戒告処分された。人事院に不服申し立てをしたが棄却された。懲戒処分は納得できなかったが、「がんばれば新組織にいける」と当局に言われ、残業、休日出勤もしてきた。
しかし、懲戒処分歴のある者は年金機構に採用されないとの閣議決定が行われた。それでも私は希望を出したが、社会保険庁は年金機構に提出する名簿から私の名前を排除した。官民人材センターからの斡旋はあったが、希望する公務職場への就職については最初から相手にされなかった。
年金機構が発足したが、人員不足で職場は混乱している。分限処分はとうてい納得できない。
◇全厚生四国社会保険支部(55歳)
36年10カ月、社会保険庁の職員をしてきた。厚労省もしくは他省庁への希望を出したが、受け入れられず、処分歴のある人が採用され、処分歴のない私が不採用となった。処分を受けていないのに、なぜ採用にならなかったのか、まったくわからない。納得していない。
非常勤職員にも応募したが電話1本で門前払いされ、黙っていられなくなり、今回、人事院に不服申し立てをした。
仕事については経験を重ねてきており、自負を持っている。経験と専門性を生かせる公務の仕事に就かせるべきだ。
◇全厚生四国社会保険支部(34歳)
懲戒処分がまったくないのに年金機構の不採用となり、分限免職となった。無遅刻無欠勤であり、有給休暇もほとんど取得せず、休日を含め、毎日遅くまで残業し、誇れる仕事をしてきた。上司や部下とのトラブルも一切なく、むしろ信頼され、頼られる存在だった。年金機構は今までの勤務実績を重視するとしていたのに、なぜ不採用になったかがわからない。
このような形で正規職員が解雇されることが全国で起きてしまうのではないか。そういうことを許さないためにも、今回不服申し立てをした。
◆【2010春闘】内部留保で賃上げ雇用確保を
春闘共闘・全労連が経団連包囲
全労連、国民春闘、東京春闘共闘は1月19日、2010年の春闘宣伝行動を実施しました。厚労省前行動、東京・丸の内デモのあと、大手町の日本経団連会館を約800人が包囲しました。
全労連の大黒作治議長は経団連前で「購買力を引き上げ景気回復し、貧困を解消しよう。そのために、大企業の内部留保を社会に還元し、賃金と最賃を引き上げよう」と訴えました。
JMIU(全日本金属情報機器労組)の三木陵一書記長は「職場で賃上げ要求を掲げることが大切。財界の攻撃をはね返し、賃上げで不況打開しよう」とのべました。
日本経団連は同日、今春闘交渉の指針とする経営労働政策委員会報告「危機を克服し、新たな成長を切り拓く」を発表しました。そのなかで、内部留保還元を否定し、賃上げはおろか定期昇給の凍結、正規と非正規との均等待遇反対などを打ち出し、深刻な労働者の要求に背を向ける主張をしています。
◆行政は生活再建への支援を
【年末年始】ワンストップの会が奮闘
年末年始に国と都は、生活困窮者向けに宿舎と食事などを提供する公設「派遣村」を設定し、12月29日から1月18日まで、家と仕事を失った人への支援事業を行いました。昨年の「年越し派遣村」実行委委員会有志でつくる「年越し派遣村が必要ないワンストップサービスをつくる会」(ワンストップの会、代表・宇都宮健児弁護士)は、都が設定した施設内外で連日、相談活動にとりくむとともに、行政の運営体制の改善などを申し入れました。
ワンストップの会では、公的派遣村を実施させたことは大きな成果としていますが、今回、失業の長期化で失業給付が切れ、家賃が払えなくなって路上に出ることになった人たちが増えているにもかかわらず、生活再建にむけての支援は不十分だったとしています。
◆生きた理論を活動の原動力に
【国公労連】勤通大受講を推薦
2010年の勤労者通信大学(勤通大)が2月に開校します。国公労連は勤通大「労働組合コース」と「憲法コース」を推薦しています。
「労働組合コース」は、非正規の拡大と「構造改革」の破綻など情勢の変化を踏まえ07年にリニューアルしました。公務員の労働基本権回復が現実課題となるなかで「労働組合コース」を受講し、権利問題の強化をすることにしています。
「憲法コース」で「9条」改憲阻止とともに憲法を暮らし、行政、職場に生かすたたかいの展望を学ぶことができます。
「労働組合コース」「憲法コース」受講期間=約6ヶ月。「労働組合」コース受講料=1万2000円。「憲法コース」受講料=8000円。
◆最優先せよ、国民生活改善
【国会開会】霞ヶ関デモに300人
第174通常国会開会日の1月18日、東京・霞が関の官庁街から国会に向け、国民要求実現を求める労働組合や民主団体など約300人が参加するデモ行進がありました。主催は国民大運動実行委員会や国公労連など。
国会会期は6月16日までの150日間。国民の生活改善を最優先するための施策や「政治とカネ」の問題の究明が求められています。
◆読者のひろば 私のひと言
【許せぬ分限免職】(全労働埼玉支部のなかまから)
社保庁の分限免職は許せません。永年培ってきた仕事をそうたやすく奪うなんて、安心安全の年金を作るのが必要ではないか。
【不当な処分】(全司法福岡支部のなかまから)
社保庁職員の分限免職の記事を興味深く読ませて頂きました。社保庁職員の雇用確保とともに、今後の公務員改革において、このような不当な処分が先例化しないように行動が必要だと思いました。
【政権が変わっても】(全建労地理支部のなかまから)
第174国会が始まりましたが、政権が変わっても「政治と金」が争点です。自分たちで決めた政治資金規正法を守れない国会議員たちから、事業仕分けで必要な仕事も削られ、職員の給与は下げられる。こんな理不尽なことって許せないと思います。
【戦争に荷担せず】(全司法大阪支部のなかまから)
全建労地理支部の皆さんの「戦争に荷担する測量・地図づくりはしないという組合結成当時の決意を引き継ぐ」との記事。すばらしい!
【政権の限界が】(全税関東京支部のなかまから)
普天間基地問題は廃止あるのみ。鳩山政権の右往左往ぶりに政権の限界をみたようです。アメリカ軍は決して抑止にはならない。憲法9条が唯一の抑止力となることを理解すべきですね。
【元気に通学】(全運輸中部支部のなかまから)
布団から出るのがつらい寒い朝ですが、小学生たちは皆勤めざし今日も出かけて行きます。君たちが元気に通学してくれるから、母も仕事を続けられる。ありがとう。
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