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国公労新聞2010年4月10日号(第1323号)
 
 

◆【東京高裁】国公法弾圧「堀越事件」で逆転無罪

 休日に自宅近くで日本共産党のビラを配り、国家公務員法と人事院規則違反(政治活動の制限)に問われ、一審で罰金10万円、執行猶予2年とされた元社会保険庁職員の堀越明男さんの控訴審判決が3月29日に東京高裁であり、裁判長は「被告の行為を刑事罰に処することは、表現の自由を保障した憲法に違反する」として逆転無罪を言い渡しました。

◇政党ビラ配布「勤務外活動処罰は違法」

 中川隆夫裁判長が判決冒頭「原判決を破棄する。被告人は無罪」とのべると傍聴席から期せずして拍手が起こりました。ただちに「無罪」の垂れ幕が東京高裁前の支援者に示されると大きな歓声と拍手が起こりました。

【勇気と確信を】
 逆転無罪判決を受けて同日夜、都内で勝利報告集会が開かれ、131人が参加しました。
 冒頭あいさつにたった国公労連の宮垣忠委員長は、全建労OBという女性から喜びの電話が国公労連にあったことを紹介し、「勇気と確信を与える判決だった。国家公務員が国民として政治信条を持って行動することを禁止する理由がないことが示された。国家公務員の労働基本権の回復と一体で市民的・政治的自由の確立を求めて奮闘する」とのべました。
 各支援団体や、国公労働運動に携わってきた経験を東京高裁法廷で証言した国公労連顧問の山瀬徳行さん、5月13日に控訴審判決を受ける世田谷国公法弾圧事件の当事者の宇治橋眞一さん(元厚生労働省本省職員)らがあいさつしました。

【喜びと決意が】
 無罪判決を勝ち取った堀越明男さんは、「憲法がある限り無罪になると信じていた。国家公務員がビラをまく行為が何ら犯罪にあたらないと裁判所が認めたことが最大の喜び。最高裁まで行くことになろうが最後までたたかう」と喜びと決意をのべました。

◆<談話>言論・表現の自由と公務員の市民的権利の確立に向け運動を強化する
 国公法弾圧「堀越事件」の逆転無罪判決について

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◆つくろう!労働協約結べる強く大きな組合を
 = 4月〜6月国公労連組織拡大月間 =

 公務職場の組織拡大と強化は、かつてない正念場を迎えています。来年の通常国会には労働基本権付与の国公法改正案が提出される予定です。国の出先機関廃止を跳ね返し、諸要求を前進させるためにも、この月間での組織の拡大と強化が不可欠です。

◇すべての未加入者に視野を広げて

【「この国のあり方」が問われる緊迫した情勢】
 国家公務員に労働協約締結権を付与すべきとする「労使関係制度検討委員会」の報告を踏まえて政府は、来年の通常国会に関係法案を提出するとしています。
 労働協約締結権は、民間の仲間と同じように労使交渉によって賃金・労働条件を決定する権利です。労使対等で労働条件を決定するためにも労働組合の拡大と強化が重要です。
 一方、独立行政法人も「無駄排除」を口実とした事業仕分けによる「大合理化」が狙われています。また、総人件費2割削減ともかかわって、国の出先機関廃止を狙う「地域主権改革大綱」の6月策定作業が進むなど、重大な局面を迎えます。
 こうした「合理化」を許さないためにも、社保庁職員の分限解雇撤回闘争ともあわせて労働組合の重要性を訴え、組織を強く大きくすることが重要です。

【非正規労働者の仲間ともに】  官製ワーキングプアといわれる非常勤職員や委託労働者の処遇改善も公務員労働者の重要な課題です。政府や人事院は、私たちの粘り強い要求と運動のなかで、非常勤職員の処遇改善策を示し、日々雇用制度の改正も検討しています。
 職場で一緒に働いている非常勤職員や委託労働者などに対して、より良いサービスや働きやすい職場、さらなる労働条件改善や実効ある制度改正を実現するために、「あなたも、労働組合へ」と加入を呼びかけましょう。

【組織拡大は、要求実現の最大の力】
 組織の拡大は仲間の雇用と労働条件を守り、要求を実現するための最大の力です。労働基本権の回復も視野に、組織の総力をあげて2010年春の「月間」を成功させましょう。

◇全医労
 新採の拡大に全力 青年主体に組合説明会

 全医労にとって一年間の組織勢力の命運を決めるといっても過言ではない新採用者拡大の取り組みが4月1日から本格スタート。各支部は、2月段階から青年を中心とした「新歓成功プロジェクトチーム」を立ち上げ、組合説明会・歓迎会の企画・準備に奮闘してきました。

【近年にない成果が】
 特に、この4月から非特定独立行政法人に移行したナショナルセンター支部は、新採用者拡大の成功に焦点をあて、朝ビラ・退勤時間調査等を計画的に展開し、組合説明会当日を迎えました。そして、2日の成育医療センター支部は11名、5日の国際医療センター支部では27名という近年にない拡大成果を達成することができました。
 さらに、今年のもう一つの特徴点は、説明会の企画から当日の進行、加入呼びかけを青年が主体的に担い、活躍した支部が増えてきた点です。次代の活動家育成の上でも、拡大成果と同等以上の成果と言えます。
 4月5日までの新採用者拡大数は全国で約650名。全国大会を増勢で迎えるために、5月ギリギリまで、取り組みを強めていきます。

◇全気象
 すべての職場で拡大を 攻撃はねかえす力

【慢性的な要因不足 どの職場も大変】
 気象庁の職場は、現業や官執勤務の区別なくいずれの職場も大変な状況になっています。定員削減による組織や業務の集約化・集中化、相次ぐ新規業務の「見切り発車」、氾濫する新システムやソフトウェア。昨年の全気象大会でも「職場のなかで、できる人、できない人という見方が広がっていて、お互い認め合うという雰囲気がなくなってきた」「現場の厳しさなどから予報官を希望する人が少なくなっており、気象庁の根幹に関わる問題だ」「休職者が後をたたない」など、切実な声がだされています。

【拡大・強化は重要】
 これらの要因のひとつは、連年強行される定員削減による慢性的な要員不足で、私たち自身が何もしなければ、ただただ加速し続けていくばかりと言っても過言ではありません。構造改革のなかで切り捨てられていく行政サービスの実態と合わせて、公務をめぐる現状を国民との対話を通じて広げていくことが、「公務員バッシング」を乗り越え構造改革を押しとどめていくカギになります。
 そのために、組織の拡大・強化は重要な課題で、全気象は、3月から5月を組織拡大月間に設定し、「すべての職場・分会で1人の拡大!国公共済会に1人の加入!」のスローガンのもと、運動をすすめています。

◇全建労
  すべてを対象に加入訴え 委託職員は建交労と連携

 全建労は、同じ職場に働くすべての労働者を対象に労働組合への加入を訴えています。
 職場には常勤職員、非常勤職員と委託職員がいっしょに働いています。常勤職員と非常勤職員は全建労に加入できますが、委託職員の場合は間接雇用で全建労に加入できません。そこで生公連(正式名称「生活関連公共事業推進連絡会議」)を通じて、生公連加盟の建交労(正式名称「全日本建設交運一般労働組合」)への加入をすすめています。

【「解雇」余儀なくされる委託職員】
 職場には多様な委託職員が働いていますが、具体的な取り組み事例は、職場の公用車や安全パトロール車を運転する車両管理業務の委託職員です。
 車両管理業務は、当局が3年前に指名競争入札から価格のみの一般競争入札方式にしたことで、業務を受注できなければ職員は「解雇」を余儀なくされることになりました。また、ダンピング受注により賃金が大幅に引き下げられるという問題が発生し、労働者にとって最も厳しい解雇の問題と賃金の改善が大きな要求となりました。
 具体的には、職場の全建労の役員が車両管理員の車庫で説明会を行い、労働組合への加入をすすめ、数回の説明会後に職場の車両管理員がまとまり建交労の支部を結成するというものです。
 これまで建交労の役員の方たちと共に、会社側の代表との団体交渉で、解雇一時金や退職金、賃金の改善などの要求を勝ち取りました。
 今年もダンピング受注や入札により会社が変わったことで解雇問題が相次いでいます。職場で説明会等に取り組み労働組合への加入を訴えています。

◇全港建
 非常勤職員を積極的に拡大 全体の組織強化にも

【全港建四国地本発】
【非常勤組織率50%】
 現在、全港建四国地本での非常勤職員組織率は50%です。当初は雇用期間延長の要求の実現など、非常勤へのメリット論に議論が終始していましたが、「先ずは考えるよりも動くこと」を決め、全支部でとりくんでいます。ある支部では非常勤職員の組合員に引っ張られて支部役員が「9の日宣伝行動」に参加するようになるなど活動が活性化し、組合全体の組織強化にもつながり、貴重な教訓と財産となっています。

【組合入って心豊かに】
(全港建四国(非常勤組合員)のなかまから)
 私はこの3月で雇い止めとなりますが、組合への加入のお話を頂いた時には雇用期間が決まっている私たち非常勤職員にはあまり関わりがないように思っていました。
 しかし、いろいろな交流や学習の場に参加し、地域や職種を越えて活動する多くの方と接するうちに組合に対する意識が確実に変わりました。行動する事の大切さを教えていただき「何ができるかわからないけど、仲間と集って活動の場を広げて行こう」といろんなことに積極的に参加させていただくようになり、少し心が豊かになったような気がします。
 今では組合への加入を熱心に薦めて下さった方々に心から感謝しており、活動で得た意識や経験を今後も繋げていきたいと思います。たくさんの非常勤のみなさんの組合加入を望んでいます。

◇全労連・全国一般
 労働協約で法律以上の要求が勝ち取れる

 未組織の職場に労働組合の旗を立てることは敵地に踏み込むようなもの。当然強い抵抗が起こり争議に至ることもあります。要求実現のために過半数を組織し労働協約締結権を握るべく日常的な組織化に取り組んでいます。

【組合拡大の勢いが要求を実現させる】
 昨年公然化したアデランスグループ支部は、組織率は1割程度ですが全社員対象のアンケートや毎週のニュース発行で職場の声を集め信頼を得ています。
 30歳で年収300万円という低賃金を生んだ賃金体系是正にむけての労使協議会の設置や、中堅社員の賃金引き下げの中止や残業代支払いなど、初めての春闘で数度の団交を行い、大きな成果を獲得。「毎日が拡大月間」と、じりじり組合員を増やしている勢いが要求を実現させています。

【日常からの未加入者への働きかけを】
 また、隅田川の水上バスの船長・機関長が加盟する東京都観光汽船分会では、賃金体系の改悪を含む就業規則変更提案に際し、分会に交渉権をゆだねる「委任状」を未加盟の労働者ほぼ全員から取り付け、少数でも多数派を握り改悪を凍結させた経験があります。この時署名した人達を組合に迎え入れ、過半数を握り労働協約締結権を獲得しました。
 労働協約によって法律以上の要求を勝ち取るのが労働組合の真骨頂。まずは要求を多数派にするため、組合員一人ひとりが日常的に未加盟者に働きかけることが欠かせません。


◆現場から混乱状況を告発
 年金機構3カ月検証する院内集会

 安心年金つくろう会主催の「どうなる?私たちの年金〜年金機構発足3カ月を検証する院内集会」が3月26日に国会内で開催され、87人が参加しました。
 主催者を代表して宮垣国公労連委員長が、「経験ある職員が排除され、年金機構の職場が混乱している」とのべ、「分限免職した経験ある職員を職場にもどせ」とあいさつしました。
 現場からの告発では、「年金機構スタートから大混乱。記録問題の再裁定件数が半分に落ちた」、「電話は鳴りっぱなし、来客者の3時間待ちはざら。責任の所在が曖昧になっていて、指示系統も機能していない」と現場の状況が生々しく報告されました。


◆国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部を設置

 国公労連は3月23日に中央闘争委員会を開き、社保庁職員の不当解雇撤回を求めるたたかいを推進する「国公労連社保庁職員不当解雇撤回闘争本部」の設置を確認しました(本部長・宮垣忠国公労連委員長)。闘争本部は、不当解雇撤回のための指導と企画、調整を行い、運動を推進します。
   ◇   ◆
 JMIU住友重機械支部が同日、社保庁不当解雇撤回の支援カンパ3万円を国公労連に寄せてくれました。
 住友重機械では、賃金・昇格差別などJMIUへの不当労働行為が行われていました。これに対して、争議支援共闘会議が結成され、共闘会議議長を堀口士郎国公労連委員長(当時)が務めました。争議は08年2月に勝利和解。国公労連の支援に対するお礼もあり、カンパを寄せたものです。


◆国公労連・独法労組が民主に要請

【効率一辺倒の事業仕分けでなく、事業拡充が必要】
 国公労連は3月25日、独立行政法人の「抜本的な見直し」「事業仕分け」にかかわって民主党に対する要請を行いました。
 国公労連は川村好伸副委員長を責任者に6独法労組の代表を含む11人が参加し、民主党は今野東副幹事長(内閣府・国家戦略、行政刷新担当)が対応しました。
 冒頭、川村副委員長は、要請書を手交し、独立行政法人(独法)の見直しにあたって、効率化一辺倒の「事業仕分け」などでなく、国の責任で拡充を図ることを求めました。
 各独法労組の代表がそれぞれの独法が国民生活に対して担っている役割を説明し、国の責任で存続・拡充を図るよう要請しました。

【「重要さわかった」】
 要請を受けた今野副幹事長は、「みなさんの仕事が国にとっても大変重要であることがよく分かった。なにがなんでも独法の事業を切り捨てるということではなく、事業の中身を見ながらこれから仕分けを行う。たとえば、天下り問題などで独法の役員だけが巨額の給与をもらっているなどという実態を見極めた上での仕分けになる。うっかりすると大変重要な仕事を仕分けで切り落としてしまう可能性もあるので、そこは十分に気をつけなければいけない。いただいた要望は、枝野行政刷新担当大臣に届ける」と答えました。
 最後に、川村副委員長は、天下り問題については従来から改善を主張していることと、行政刷新会議と国公労連との協議が十分行えるよう橋渡しを求めて要請を終えました。


◆行政サービス拡充求める意見書を採択
 沖縄・恩納村、宮崎・高鍋町など

 行政サービスの拡充を求める意見書が沖縄の外多良間村で3月15日に、恩納村で3月18日に採択され、沖縄県内では合計6議会となりました。
 沖縄県国公が昨年提出した行政サービス拡充の陳情で審議未了や議員配布で終わった議会に対し、再度、要請趣旨も加えた陳情書を送付しました。その結果、恩納村、外多良間村の議会採択となったものです。
 恩納村で採択された要請事項は、<1>地方に犠牲を強いる「地方分権改革(地域主権)」は行わないこと、<2>サービス低下を招く国の出先機関の統廃合は行わないこと、<3>一律削減の定削計画は行わないこと、<4>行政サービス確保に必要な権限と財源を確保すること、となっています。
 宮崎県高鍋町議会でも3月19日に「行政サービス拡充を求める意見書」が採択されました。宮崎県国公による2月25日の地域総行動での議会要請を受けての採択でした。


◆展望鏡

 国公法弾圧「堀越事件」の控訴審で、東京高裁・中山隆夫裁判長は、堀越昭男さんに逆転 無罪判決を言い渡した▼新聞各紙の社説は、多くが「時代に沿う当然の判断(朝日)」「注目すべき問題提起(毎日)」「むやみな規制許されぬ(北海道)」「時代とともに法も変えよ(新潟日報)」「言論封殺の捜査にクギ(中日・東京)」と判決を歓迎。あいもかわらず批判するのは「適正さ欠く逆転無罪判決」の産経と「公務員の中立が揺らがないか」の読売のみだ▼堀越さんを24時間監視し、政党機関紙を配った行為を犯罪とするため、多いときは1日11名の警察官が車4台ビデオカメラ6台をもって尾行し、その行動を盗撮、延べ200名もの警官が動員されていたことが裁判で明らかになっている。堀越さんは「裁かれるべきは公安警察だ」と言い続けてきた▼高裁判決は、公安警察の違法捜査に言及しなかったが、3月30日付東京新聞1面の「筆洗」では、同じ警視庁公安部が威信をかけて捜査してきた国松孝次警察庁長官の銃撃事件が公訴時効を迎えるなか、「税金の使い方がおかしくないですか」と指摘している。全く同感だ。(M生)


◆読者のひろば 私のひと言

【良識ある逆転無罪】(全気象東京地本のなかまから)
 国家公務員の政治活動禁止の反動判決が控訴審で逆転無罪。一定の良識が示されてひと安心。というか一審判決がひどすぎました。小泉政権で頂点に達した国家公務員の人権無視の流れに歯止めをかけてほしいものです。

【子ども手当決まり】(全労働山形支部のなかまから)
 子ども手当法案がやっと決まりました。我が家は大助かりなのですが…累進課税をもっと強めるのがいいのかなぁ〜なんて考えています。

【他人事ではない社保庁】(全運輸中部支部のなかまから)
 先日、全運輸の本部オルグがあり参加しました。改めて社保庁の件が他人事ではないことを思いました。国公全体で、不当な公務員攻撃をはねかえしましょう。


 
 
 
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