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国公労新聞2010年7月10日号(第1329号)
 
 

◆最賃引き上げで貧困の解消と景気の回復を

 全労連、国民春闘共闘、東京春闘共闘は7月7日、最低賃金を全国一律で時給1000円以上をもとめて、早朝宣伝をかわきりに、厚労省、総務省、経産省前行動などを展開。昼休みの厚労省前行動(写真)には300人が参加。「最賃引き上げで貧困の解消と景気の回復を」と訴えました。


◆新規採用抑制に怒り
「国が3000人分も削減してどうする」

 政府は5月21日、来年度の一般職国家公務員の新規採用者の約4割減(地方出先機関は約8割減)を閣議決定しました。きびしい雇用情勢のもとで、地方出先機関などでの大幅な採用抑制は、地方での就職難をいっそう深刻にします。
 国公労連からの働きかけを受けた「高校・大学生、青年の雇用と働くル―ルを求める連絡会」(事務局・日高教)は、新規採用抑制に怒りの声を掲載したビラを作成し、「政府は雇用確保に責任を果たすべき」と主張。このビラで、佐古田日高教副委員長は「この春、進路未定で卒業した高校生が3万8000人おり、就職未決定者のために47都道府県で3300人の雇用枠が設けられたのに、国が率先して雇用を破壊してどうするのか」と怒りを表明。また、子を持つ親の声として「ハローワークや労基署など厚労省関係が最大の削減とは驚き」というコメントを載せています。
 国公労連は、現在、地域の大学、高校、専門学校などを訪問して採用抑制方針撤回を政府に働きかけるよう要請行動を行っています。


◆【2010年夏季闘争課題】
 職場からのとりくみ強化を

 2010年人事院勧告をめぐる攻防は、民間の春闘および一時金の妥結状況からもきびしいものとなっています。しかし、景気を回復させるためにも内需拡大が不可欠であり、組合員の生活と労働の実態にふさわしい賃金改善をもとめていく必要があります。職場段階から切実な要求実現のとりくみ強化がもとめられています。

◇【賃金】生活改善できる水準確保を

【賃金水準】
 10春闘での賃上げ結果は表1のとおりです。国民春闘共闘は加重平均で5771円、1.89%、連合は加重平均4879円、1.69%となっており、昨年とほぼ同様の結果となっています。
 一方、国家公務員の賃金水準は08年0・68%、09年には1・10%と前年より増加しています。こうしたことから月例賃金は、昨年同様マイナスとなる危険性があり予断を許しません。
 マイナス勧告を許さず、生活改善に向けたとりくみを強めていく必要があります。

【一時金】
 夏季一時金については、表2のとおりです。国民春闘共闘は、金額集計で63万8668円と昨年より0.41%減。連合は月数集計で2.12カ月と昨年と同月数となっています。しかし、表2にもあるように昨年冬の一時金の落ち込みが大きかったことから、今年の人勧においてマイナスの危険性が高くなっています。表3にあるように昨年4.5カ月から0.35カ月減少し4.15カ月となりました。
 一時金の年間支給月額がこれ以上引き下げられれば、4カ月を下回ることが懸念されます。支給月数が4カ月を下回っていたのは1963年当時であり、46年前の水準に逆戻りになってしまいます。
 そうさせないためにも、現行水準の維持・改善に向けて運動をすすめていく必要があります。

◇【非常勤】雇用期間上限突破へ

 人事院は、国公労連に対し、日々雇用の非常勤職員の任用形態の見直しに関わる人事院規則等の改正案を提示しました。当初人事院が示していた「3年雇い止め」は盛り込まれていません。これは私たちの運動の大きな成果です。
 人事院は現在、今回の規則改正等に関するパブリックコメントを7月29日まで行っています。
 非常勤職員の日々雇用形態の廃止は、任用制度以外の制度(退職手当、共済制度等)もかかわりますが、人事院は基本となる任用制度について先行的にパブリックコメントの手続きをすすめることにしたものです。任用以外の部分については、現在所管の制度官庁で別途検討中です。
 人事院は、今後、組合などの意見を踏まえ、8月上旬に規則・通達を改正し、10月1日施行というスケジュールを示しています。

【改正内容の概要】
<1> 日々雇用が更新されるという現行の制度を廃止し、会計年度内で業務に応じて最長1年間の任期を設定して任用する仕組みを新たに設ける(新たに期間業務職員とする)。
<2> 採用は、できる限り広く募集を行う。ただし、官職に必要とされる技能等や官署がへき地にある等公募により難い場合及び公募による必要がない場合として人事院が定める場合(能力が、勤務実績により実証できる場合に、原則として2回まで(努力義務))は公募によらない。
<3> 任期は、業務遂行上、必要かつ十分な任期を定めるものとする(不自然な任用中断日を設けない)。
<4> 1月を超える任期を定めた採用は、1月間の条件付採用期間設ける。
<5> 経過措置として日々雇用職員を期間業務職員として採用する場合、公募を行わないで採用することができる(期間通算をリセットする)。

◇試験制度の見直し

 公務員制度改革の一環として、人事院は2012年から試験制度を変えようとしています。
 新たな試験制度では、「総合職試験」「専門職試験」「一般職試験」が設けられ、「キャリア制度」の制度化につながる危険性があります。
 また、中途採用試験の導入も検討されていますが、採用抑制が行われていることなどから、機能するかどうかは疑問です。

◇病休制度の見直し

 人事院は、昨年の勧告で病気休暇制度の見直し検討を宣言し、今春闘の最終回答において今年の勧告をめどとすることを表明しました。
 多くの職場では、少ない人員の中で具合が悪くてもまともに休むことができずに、結果として長期に休まざるを得ない職員が増加しています。
 速やかに健康を回復し、働き続けることができるような職場環境に変えていかなければなりません。
 今回の見直しは、病気休暇を取得できる日数に影響します。国公労連は、病気休暇制度の見直しが職場に与える影響を見据えつつ、職場復帰プログラムの拡充など、福利厚生施策との一体的な見直しをもとめていきます。

◇その他の課題

 そのほか、「女性の採用・登用拡大計画」の推進、次世代育成支援法にもとづく行動計画の策定などもすすめなければならない課題です。

◇必要な予算確保を 福利厚生計画来年度見直し

 国公法73条は、職員の健康保持、安全確保、レクリエーション、厚生に関する福利厚生計画を5年ごとに策定することとしています。
 現在、政府による次期計画策定の作業が進められており、来春に確定することとしています。
 福利厚生は、労働条件に密接に関わるものであり、労使協議・合意で確定させるべきものです。
 国公労連は、政府の新たな計画策定に対して、意見表明の場を設けるよう求めるとともに、職場意見の集約を図っています。
 計画見直しにむけたポイントは次のとおりです。

 <1>健康保持対策
 定期健康診断の充実による疾病の早期発見は言うに及ばず、メンタルヘルスに関する対策の充実がポイントです。

 <2>安全管理
 災害のみならず、職員に危害が加えられるケースの増大に対する対策を充実させることが必要です。

 <3>レクリエーション
 自民党「無駄撲滅プロジェクトチーム」の指摘により、レクリエーション経費は予算要求ができなくなっています。
 レクリエーションの意義・目的等を再構成し、能率向上のために必要な事項を求めることが必要です。

 <4>その他の施策
 意欲や能率を増進し、安心して働き続けられることは、資質の向上や組織の活性化にもつながるものです。
 そのためにも、転居を伴う異動に対する支援を行う施策等が必要です。
 政府が定める福利厚生計画にもとづき、各府省は具体的なとりくみ計画を樹立し、実施することとなります。
 福利厚生計画の樹立とあわせて、必要な予算の確保をもとめていかなければなりません。

◇【定年を65歳に】雇用と年金の接続を

資料(PDFファイル181KB)

 人事院は、高齢期雇用(定年延長)にむけた意見の申出を今秋にも行うとしています。年金支給開始年齢は2013年度から段階的に延長されることから、雇用と年金の接続が図られなければなりません。
 人事院は6月3日、定年延長に向けた「検討課題」を示しましたが、国公労連は次のように考えます。

 (1)雇用と年金の接続を図る
 「年金改革」にともなう支給開始年齢の繰り延べの不当性を指摘しつつも、現状として、65歳に段階的に引き上げられることをふまえ、「無収入」期間ができないよう、支給開始までの雇用を使用者の責任できちんと保障させなければなりません。

 (2)永く働き続けられる職場環境を実現する
 高年齢職員が、健康で働きがいをもてる職場環境の整備は不可欠です。そのため、長時間過密労働の是正は当然です。高年齢職員の健康や身体能力も考慮し、本人の希望にもとづく新たな職域への転換を可能とする仕組みが必要です。

 (3)給与を引下げない
 人事院は、定年延長後の給与の抑制とともに、60歳前の給与引き下げを検討しています。しかし、仕事の内容が変わらないにもかかわらず、一定の年齢になったことだけを理由にした給与減額(降給)には合理性がなく認められまません。

 (4)地方・民間への波及効果も配慮する
 地方自治体や民間の制度にも大きな影響を与えることを念頭に、公務労組などとの連携も強めなければなりません。
 国公労連は、基本要求に基づき、人事院との交渉を強めます。

◇国公労連の要求(抜粋)

1.定年年齢の引き上げについて
(1)雇用と年金の適切な接続が図られるよう定年年齢を65歳に引き上げること
(2)段階的に定年を引き上げること

2.定年延長に伴う給与制度の見直し検討について
(1)定年延長に伴う給与制度は民間のモデルケースともなりうる仕組みとすること
(2)60歳超の賃金は高齢期にふさわしいゆとりある生活が維持できる水準とすること
(3)60歳以前の賃金について年齢等による差別は行わないこと

3.定年延長に伴う勤務環境の整備について
(1)職員が生涯にわたって健康で意欲をもって働き続けられるよう職場環境整備
(2)夜勤・交替制勤務者の高齢期における夜勤・変則勤務を免除する制度

◇定年延長に関する検討課題(抜粋)

1.定年制度の見直し
(1)段階的定年延長
(2)困難職種への対応

2.給与制度の見直し
(1)民間の雇用及び給与の状況等を踏まえた60歳超の給与
(2)60歳前の給与カーブの見直し

3.役職定年制

4.定年前の短時間勤務制

5.その他関連事項
早期退職を支援する措置など


◆「地域主権」の本質は
 公共サービスの水準維持が困難に

【熊本】幅広い分野から参加 市民対話集会に125人

 【熊本県国公発】熊本県国公と熊本県労連の共催による「くらしと地域を支える公共サービスを考える市民対話集会」が7月3日、熊本市内で開かれ、幅広い分野から125人(国公76人)が参加しました。
 集会では神戸大学の二宮厚美教授の講演とパネルディスカッションがありました。
 二宮教授は講演で、「地域主権」の名のもとに自己責任を押しつける分権化路線の危険性や、憲法視点からみた地域主権国家構想の本質を解りやすく説明しました。
 パネルディスカッションでは、「地域主権」や「出先機関改革」による問題点、今後の展望等について議論を交わしました。
 国の分野からは、労働者の権利が脅かされ、全国一律の水準確保が困難になる危険性について説明がありました。
 自治体の分野からは、道州制によって行政サービスがさらに切り捨てられるとの訴えがありました。医療からは、非常にきびしい労働条件について実態報告があり、国民のいのちに対して責任を持たないといけないとの話がありました。
 建築分野での「国民が求めているのは安心して働き、豊かに暮らすことを大切に」との発言など、幅広い視点から議論が行われました。

【兵庫】地域主権・道州制を考える シンポジウムに73人参加

 【兵庫県国公発】兵庫県国公は6月20日、「地域主権・道州制を考えるシンポジウム」を神戸市内で開き、国公OB、自治体、民間の仲間など73人が参加しました。
 冒頭、国公労連の宮垣忠委員長から基調報告がありました。その後、全労働、全法務、全運輸、全港建、全建労、全気象および国公近畿ブロックの各代表をパネラーにパネルディスカッションを行いました。事前に集めたアンケートでの質問などにパネラーが回答し、フロアでさらに議論を深めました。また、各職場が、地域住民とどう関わっているかなどの報告も行いました。
 参加者からは、「政府の本当のねらいがわかった」「今後も継続して開催してほしい」といった意見や、「公務の職場実態が今ひとつ伝わらない」「もっと一般市民に訴えるべき」などの意見がだされました。


◆「国立研究開発機関構想」を検証
 第28回国立研全国集会ひらく

 第28回国立試験研究機関全国交流集会が6月17日、国公労連と学研労協の主催で茨城県つくば市の筑波大学で開かれ、101人が参加しました。集会テーマは「研究機関の広報活動・説明責任」と「国立研究開発機関構想の検証」。
 総合研究大学院大学の池内了教授は記念講演で「科学者は、科学がいかに使われるか想像力を働かせ、何をもたらすか現実を直視し、誠実に、科学の有様を社会に伝える義務がある」とのべました。
 集会では、実行委員会から、「研究機関は独法制度になじまない」として「国立研究開発機関」を創設する動きが政府内(文科省、総務省、内閣府の副大臣・政務官)ですすんでいることを受けて、研究機関見直しにかかわる統一要求案を提起しました。
 分科会では、防災研の主任研究官(博士)から簡易な実験具により雪崩のメカニズムがわかる市民むけの実演もあり、広報活動にどうかかわるかなども話し合いました。


 
 
 
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