◆国公労連第56回定期大会ひらく
「憲法をくらしと行政にいかそう 今こそ国民の中へ国民とともに」をスローガンにかかげ、国公労連第56回定期大会が8月26日から3日間、東京・文京区の全労連会館で開かれました。大会では、活発な討論ののち、運動方針を決定し、「国の行政責任を放棄する「地域主権改革」に断固反対し、国民の生存権など基本的人権を保障する公務・公共サービスを守るため、国公労働者のプライドをかけて全力でたたかい抜く」との大会宣言を決議しました。
◇国民の基本的人権を保障する
公務・公共サービスを守ろう
「2010年度の運動方針案」と「2010年秋年闘争案」を提案した国公労連の岡部勘市書記長は、「地域主権戦略大綱にもとづく国の出先機関改革、労働基本権と公務員制度改革などが来年の通常国会に向け、正念場を迎える」とのべました。
そして「構造改革」路線の根本的転換をめざす対抗軸に、憲法をくらしと行政にいかす「21世紀国公大運動」を位置づけると強調。その具体化として、「総対話MAP」運動を継続・発展させ、出先機関のある773地方議会に働きかけ、過半数の意見書採択を目標に、12月議会を中心にとりくむことを提起しました。
また、今年の人勧が2年連続の大幅な年収減となったこと、とりわけ50歳代後半層の賃金減額措置を強行したことを批判し、人勧の取り扱いに関する閣議決定前の重要な局面では、政府に対し超勤拒否・定時退庁行動を配置することなどを提起しました。
討論では、「21世紀国公大運動」、賃金など労働条件、労働基本権回復、社保庁職員の不当解雇撤回、組織強化・拡大など、45人が活発に発言しました(討論の詳細は次号)
最終日に採決がおこなわれ、すべての議案を満場一致で可決・承認しました。
◆国公労連宮垣忠委員長あいさつ(要旨)
正念場迎える激動の1年 全国の職場・地域で奮闘を
◇10人勧めぐり
2年連続の賃下げの人勧取り扱いをめぐり、新聞各紙が、「勧告を修正し下げ幅の拡大を検討すべき」とあおっています。財界が、法人税減税と消費税増税を要求するなかで、大新聞各紙も消費税増税論議を促(うなが)しており、総人件費2割削減を消費税増税の露払いにしようとしているからです。
◇公務員制度改革
政府は、協約締結権と引き替えに公務員を自由に解雇できるようにしようとしています。しかし、公務員の身分保障は、情実人事を排し、公正性を確保することが民主的、能率的な運営に資するものであり、労働基本権制約と関係ありません。賃下げやリストラの手段とするのは論外です。
先進諸国では、基本権が付与されて、ストが実施され、労使交渉で国が財政赤字であっても公務員賃金の引き上げが行われています。
次期通常国会に公務員制度関連法案が提出され、基本権の制度設計もすすめられようとしています。 少数組合を排除する仕組みの「排他的交渉代表制」も検討されてきました。交渉単位に複数の組合があっても、少数組合は使用者と交渉できないという制度であり、断固反対です。非常勤も含めて過半数の組織をめざし、職場からの組織拡大・強化のとりくみが重要となっています。
◇「地域主権改革」
民主党政権が推進しようとしている「地域主権改革」は、地域に構造改革の執行責任を委ね、国によってある程度絞られた財源のなかで、地域の自己責任で構造改革を遂行させ、福祉や介護、医療、教育の切り捨てを行わせようとするものです。
◇社保庁解雇撤回を
社保庁職員525人に対する分限免職処分の取り消しと「懲戒処分を受けた職員は採用しない」という基準を撤回させ、希望する旧社会保険庁職員を正規職員に採用させ、その経験と能力を活用させることが、国民が安心できる年金制度を確立するうえでも重要です。
京都の全厚生の仲間15人が「分限免職の取り消し」を求めて提訴しました。人事院審理と京都での裁判勝利をめざすたたかいと全厚生闘争団を支える会の会員拡大に全国の仲間のみなさんの引き続く支援をお願いします。
◇プライドをかけ
今年度は、国の出先機関改革、労働基本権回復と公務員制度改革などが来年の通常国会に向け正念場を迎えるため、激動の1年になります。
いわれのない公務員バッシングにひるむことなく、公務・公共サービスを担う労働者としてのプライドをかけて、国民のための民主的な行財政・司法の確立をめざしましょう。国公大運動を全国の職場・地域から展開しましょう。
◆国公労連2010年 秋季年末闘争方針のポイント
◇出先機関がある733地方議会の意見書採択を
1.憲法をくらしと行政にいかす「21世紀国公大運動」のとりくみ
「総対話MAP運動」を継続・発展させ、<1>出先機関がある733地方議会に働きかけ、過半数の採択をめざす(12月議会を中心)、<2>全県で月1回の宣伝行動を実施する、<3>市民対話集会、行政相談、マスコミ要請などにとりくむ。
11・18中央行動を「地域主権改革」反撃の秋闘最大の山場とし、地元選出議員への要請を中央地方で実施する。
地域主権戦略会議やマスコミ、政党等への要請・懇談を実施する。
2.賃金など労働条件改善、働くルール確立
秋闘第1波全国統一行動週間(9/27の週)に職場集会を実施し、要求書を提出し、上申闘争をとりくむ。
人勧取扱の閣議決定前の重要局面で、対政府の超勤拒否・定時退庁行動を全員結集めざし実施する。戦術等は国公労連中央闘争委員会で決定する。
11月15日の週を秋闘第2波全国統一行動週間とする。
全組合員対象の「春闘要求アンケート」を10月からとりくむ。
評価者研修の充実など人事院、総務省との交渉・協議を強める。
昇格要求書を提出し、査定期までねばり強くとりくむ。
期間業務職員の育休等の早期制度実現と、共済組合からの休業中の賃金保障等を求める。
労働条件関連予算充実めざし、12月初旬に財務省交渉を実施する。
春闘方針案と統一要求案を12月上旬に提起し、拡大中央委員会(1/28)で決定する。
単組、ブロック・県国公春闘討論集会を12月〜1月に実施する。
労働安全衛生活動を重視し、長時間過密労働解消の当局追及などとりくみを強化する。
高齢期雇用にかかわり、働きつづけられる職場環境の整備をめざし、「要求ひとこと寄せ書き」をとりくむ。
3.労働基本権回復、民主的な公務員制度の確立
「労働基本権の確立署名」を3月末までに30万筆目標にとりくむ。
公務員制度改革関連法案の国会提出に対して、議員要請などをとりくむ。
国公法弾圧2事件の最高裁勝利のため、全労連、自由法曹団と支援組織を結成し、「学習決起集会」(9/30)にとりくむ。
第31期中央労働委員会の労働者委員の公正任命の実現をめざす。
4.独立行政法人、国立研究機関のとりくみ
賃金・労働条件の底上げをめざす。
独法の「政策と要求」を確立して国会議員・政府要請を強める。
運営費交付金の増額などでの財務省交渉を12月初旬に実施する。
5.社会保険庁の不当解雇撤回、日本年金機構に対するとりくみ
社保庁不当解雇の撤回めざし、全労連争議総行動(10/22)に結集して奮闘する。
「全厚生闘争団を支える会」を年末までに、団体1000以上、個人5000以上をめざす。
処分撤回・雇用確保要請署名(対厚大臣)と迅速・公正な判定要請署名(対人事院総裁)のとりくみを継続する。
安心・信頼の年金制度を求める請願署名(10月末集約)をとりくむ。
全厚生組織の確立、拡大を支援し、各県国公との連携を強化する。
6.雇用、社保拡充など国民的課題
派遣法「改正」案の修正を求め、議員要請や宣伝行動などにとりくむ。
全労連「ディーセントワークデー」(第3金曜)に参加する。
消費税廃止各界連絡会に結集する。
全労連の「公契約運動交流集会」(9/30)に参加し、「公契約法」の制定をめざす。
「市場化テスト法」の廃止をめざして、告発資料や政策をとりまとめる。
「反貧困ネットワーク秋の大集会』」(10/16)・東京)に参加する。
「食の安全」をめざすグリーンウェーブ(10月〜12月)に参加する。
7.改憲阻止、平和と民主主義擁護など
「9の日」宣伝行動を継続し、「憲法共同センター」の署名にとりくみ、共同センター全国交流集会(11/14)に参加する。
衆参議員定数の削減を許さないため、宣伝・署名等にとりくむ。
普天間基地撤去にむけ新聞意見広告などにとりくむ。
「日本平和大会」(12/3〜5、佐世保)に参加する。
沖縄県知事選(11/28投票日)での革新候補の勝利めざし、県国公とともに奮闘する。
8.組織の整備強化・拡大のとりくみ
秋の「組織拡大強化月間」(11〜12月)にとりくむ。そのため、10月を準備月間とする。
11/22の週に組合加入の宣伝を実施する。
国公一般結成にむけた準備を地方ですすめる。
2010年中央労働学校(12/7)を都内で開催する。
勤通大「労働組合コース」「憲法コース」の今期受講者の全員修了を追求し、来期の勤通大の受講促進にとりくむ。
「国公労調査時報」の定期購読者の拡大を各級機関・組合員を中心に推進し、購読料未収金の解消に努力する。
◆メッセージ・祝電【敬称略】
【労働組合】
郵産労、自治労連、全教、日高教、全損保、国労、国会職連、民放労連、JMIU、全港湾、検数労連、生協労連、年金者組合、学研労協、全農協労連、国民春闘共闘、特殊法人労連、福祉保育労、日本医労連、全厚労、学支労、水資労、金融労連、通信労組、国土交通省管理職ユニオン、全労連・全国一般、航空安全会議、全国私教連、金属機械反合闘争委員会
【民主団体等】
全商連、労働者教育協会、憲法会議、農民連、原発住民センター、年金実務センター、いのちと健康センター、婦団連、全労済、平和委員会、新婦人、うたごえ協、安保中実委、国民救援会、じん肺支援連絡会、公害患者の会連合会、労働総研、治安維持法国賠同盟、全日本民医連、全国革新懇、日本労協連、労金協会、消費税をなくす全国の会、全生連、日本科学者会議、国民大運動実行委員会、食健連、自治体問題研究所、保団連、日本母親大会、中央労働委員会、労金新橋支店、(有)陽光堂印刷、(株)きかんし、あかつき印刷、教宣文化社
◆2010秋季年末闘争の主な行動展開
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※クリックするとPDFが出ます。 |
◆国公労連本部新執行体制
中央執行委員長 |
宮垣 忠 |
中央執行副委員長 |
阿部 春枝、岩崎 恒男、川村 好伸 |
書記長 |
岡部 勘市 |
書記次長 |
秋山 正臣 |
中央執行委員 |
上田 宗一、大西 秀樹、大屋 武士、
小田川義和、上川 明保、門田 敏彦、木下 芳宣、
木方慎太郎、國枝 孝幸、黒田 健司、瀬谷 哲也、
高木 晃人、仲里 孝之、中島 清文、丹羽 佐俊、
橋本恵美子、原田 裕行、松渕 秀美、渡邉 政幸 |
書 記 |
伊藤 良文、井上 伸、中田 智子 |
会計監査委員 |
久保 久男、土井 敏子、一森 進治 |
◆「日本母親大会in福島」で訴え
全厚生不当解雇撤回闘争団8秋田)小畑さんに拍手・声援
◇「私たちを元の職場に戻して」
7000人の参加者に支援よびかけ
【全厚生発】8月28、29日、「第56回日本母親大会in福島」が開催され、1日目の全体会で7000人の参加者を前に、全厚生闘争団当事者の小畑佐久子さん(秋田県)が、支援の訴えを行いました。会場からは、「がんばれ」のかけ声とともに、大きな拍手が寄せられました。
2日目の分科会会場入り口では、猛暑の中、2800枚の支える会リーフレットを配布。リーフを受け取った参加者から次々に「がんばって」との激励が。全厚生は、小畑さんなど闘争団当事者の東北・年金機構本部・南関東・中部の各支部と本部から8名が参加。全厚生OBの杉崎さんら2人の応援もあり、10人でリーフを配布しました。
小畑さんは、参加した分科会でも発言。助言者である福島大学の先生が早速、お金を添えて「全厚生を支える会」に申し込んでくれるなど、支援の輪を広げることができました。
◇許せない厚労省のクビ切り 小畑佐久子さんの訴え
昨年末、社会保険庁は解体・民営化され、日本年金機構が発足しました。長妻厚生労働大臣は、社会保険庁の廃止にともない、525人もの国家公務員を不当解雇しました。私もその解雇された一人です。私は社会保険庁に就職して26年間、国民のために一生懸命年金業務につくしてきました。
労働者の生活と権利を守るべき厚生労働大臣が自ら職員の首切りを行うことは、到底許すことはできません。
この不当解雇に対して今年1月、39人の全厚生組合員が、集団で人事院に処分取消を求め不服申立を行い、そのうち京都の仲間15人が7月23日、京都地方裁判所に提訴しました。
社会保険庁から年金業務を引き継いだ日本年金機構は、専門知識を身につけたベテラン職員の不足で大混乱しています。年金機構職員の半分が非正規職員になり、新たに1万人が採用されましたが、一方で、2400人もの職員が業務について行けず退職しています。
年金記録問題を解決するためにも、安心して暮らせる年金制度をつくるためにも、不当解雇を撤回し、私たち旧社会保険庁職員を年金の職場にもどしてください。みなさまのご支援を心からお願いします。
◆【学習会】「補完性の原理」とは何か
行政責任を回避する理念
国公労連は8月19日、東京自治問題研究所常務理事の安達智則氏(都留文科大学講師)を講師に「『補完性の原理』とは何か―「地域主権改革」への対抗」と題しての学習会を開き、国公労連と単組本部役員を中心に36人が参加しました。
◇行政責任の回避
安達氏は、日本で通説化された『補完性の原理』の定義は「個人ができないことを家族が助け、家族ができないことを地域が、それでもできないことを市町村に、それでもできないことを都道府県が、それでもできないときに初めて国が乗り出す」というものと指摘。「つまり、まず自己責任があり、国の責任は最後だから、こんなに国が都合のよいものはない」とのべました。
◇住民からの疑問
そして、「補完性の原理」の典型例が東京・新宿区であり、「地域でできることは地域で」「民間でできることは民間で」「まずは自力で解決(自立、自助)」、次に「公助(公共によるサービス)」となるが、「区の役割(行政)」は「コーディネート」という新自由主義的な行政原理になっている。しかし、住民から「福祉の低下では?」「行政責任を回避・低下させる原理では?」との疑問が出ていることを紹介。
◇民主マニフェスト
安達氏は、民主党が09年総選挙マニフェストに「補完性の原理」を明文化したことを紹介し、今年の参院選ではこの用語はなくなったが、「新しい公共」「補助金の一括交付金化」などを打ち出しており、国と地方の役割分担として「地域主権戦略大綱」の焦点に「国の出先機関の原則廃止」があると指摘。
対抗的な行政原理として「市民のための市民による行政原理」を打ち立てていく必要があるとして、「公務労働の質量充実なくして、福祉国家はありえない」とのべました(安達氏の講演は「国公労調査時報」11月号に掲載予定)。
◆2009年度ブロック・県国公機関紙コンクール審査結果
◇最優秀賞は中国ブロック国公
★最優秀賞 |
「中ブロにゅ〜す」(中国ブロック国公) |
★優秀賞 |
「東京国公だより」(東京国公)
「四国ブロック国公」(四国ブロック国公)
「国公宮崎」(宮崎県国公) |
★努力賞 |
「神奈川国公」(神奈川国公)
「長野県国公」(長野県国公)
「愛知国公」(愛知国公)
「国公一般あいち」(国公一般愛知)
「中部ブロック国公」(中部ブロック国公)
「国公労大阪」(大阪国公)
「県国公」(広島県国公) |
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