◆10月13日 全員参加の定時退庁時行動
2年連続の賃下げ許さず
昨年に続いて大幅な賃下げとなった今年の人勧の取り扱いをめぐって、政府内では、勧告以上の賃下げ(深掘り)を求める動きもあります。国公労連は、マイナス勧告の実施を許さず、10月13日に「全員結集の定時退庁行動」を行います。
◇政府へ要求打電を集中
【「深掘り」の動き】
菅首相は9月1日に発表した民主党代表選の政見で、人事院が8月に勧告した国家公務員一般職の平均年間給与9万4000円減を上回る給与削減をめざす考えであることを表明しました。
菅改造内閣の片山善博総務相は9月21日の記者会見で、「国の財政が厳しく、いわば非常時であり、平時の仕組みをそのまま適用するのは問題があるのでないか。勧告は勧告としながらも、深掘りがあってもいいのではないかという意見もある」と述べています。
【「人勧尊重」を強調】
国公労連は、菅内閣改造後の9月29日、総務省人事・恩給局交渉を実施しました。対応した総務課長は、人事院勧告の取り扱い検討状況について要旨次のような回答を行いました。
<1>人勧制度は労働基本権制約の代償措置の根幹をなすものであり、本年度の国家公務員の給与改定に当たっても、総務省としては同制度を尊重するという基本姿勢にたって検討していく。
<2>現時点でも片山総務大臣は代償措置としての人勧は尊重の上で、厳しい財政事情をどう考えるのか議論があり、部内で議論するとのべており、従来の基本姿勢と違うことは述べていない。
【中闘での確認】
国公労連は10月1日に中央闘争委員会を開催して、こうした動きを分析。10月中下旬が人勧取り扱い方針決定のめどと考えられるため、10月13日(水)に「全員結集の定時退庁行動」を配置することを決めました。同時に、政府に対する要求打電を集中することとし、以下の確認をおこないました。
*10月13日に向け、各単組は交替制勤務や窓口職場など画一的なとりくみが困難な職場の対応をはじめ、具体的な行動内容等を直ちに具体化し、全機関に徹底する。同時に、「期間業務職員制度」の運用問題を含め、各省当局との交渉・申し入れを強める。
*各県・ブロック国公は、職場・地域に見えるとりくみとするため、合同庁舎などでの退庁後合同集会の開催を追求する。
*県労連や民間単産などへの情報提供・支援要請を行うとともに、「総対話MAP2010」のとりくみとも結合させ、賃下げのスパイラルを断ち切る官民一体のたたかいを強化する。
*国公労連は、職場・地域からの運動を背景に政府・総務省との交渉・協議を断続的に強化し、勧告以上の削減はもとより、賃下げ勧告の実施断念を迫る。
*政府がそのような決定した場合には、政府に対する抗議打電を集中するとともに、法的対抗措置も含め改めて中央闘争委員会で議論し、とりくみを補強する。
*給与法「改正」案が国会に提出された段階では、全労連公務部会・公務労組連絡会に結集して、国会行動に積極的に参加する。
◇勧告上回る削減早急に結論
片山総務大臣が記者会見 9月21日16時NHK
片山総務大臣は閣議のあとの記者会見で、今年度の国家公務員の給与について、「財政が厳しいなか、人事院勧告より深掘りしてもいいのではないかという意見もある」と述べ、勧告を上回る削減を行うかどうか、早急に結論を出したいという考えを示しました。
今年度の国家公務員の給与について、人事院は、先月、55歳以上の管理職の職員などの月給を重点的に減額し、全体では月給を平均で757円、ボーナスを0・2カ月分引き下げるよう、内閣と国会に勧告しました。
これについて、片山総務大臣は閣議のあとの記者会見で、「人事院勧告は、労働基本権が制約されている代償措置として、基本的に尊重するというのは一つの重要なポイントだ」と述べました。その一方で、片山大臣は「国の財政が厳しく、いわば非常時であり、平時の仕組みをそのまま適用するのは問題があるのでないか(略)」と述べ、勧告を上回る削減を行うかどうか、早急に結論を出したいという考えを示しました。
また、片山大臣は、人事院勧告の基準について、「官民格差を調査するときに50人以上の企業を調査の対象にしているが、それがほんとうにいいのか。もっと柔軟に検討する余地があるのでないか」と述べ、あらためて検討する必要があるという考えを示しました。
◆職場とくらし見つめなおそう
【討議資料】国公労連2011年要求アンケート
「国公労連要求2011年アンケート」(3、4面に掲載)では、来春闘の賃金要求や「地域主権改革」及び労働基本権回復などの設問があります。それぞれの課題の状況などについて解説します。
◇生活と職場の改善
全体の底上げ、内需拡大を
人事院は、昨年に引き続いて大幅な年収減をもたらすマイナス勧告を強行しました。「民間労働者との均衡」が建前ですが、図表1のように民間主要企業では一定の賃上げが実施されています。人事院の民間給与実態調査でも、ベースダウンを実施した事業所はわずか1%にすぎません。
職場は連年の定員削減と業務量増などによって、職員の状態悪化は深刻です。長時間・過密労働で心身の健康を損ない、職場の人間関係も壊しています。深刻な職場実態を放置するのではなく、社会的にも告発していくことが求められます。
公務員の賃下げが民間労働者の賃下げにつながり、労働者のくらしと地域経済の疲弊は深刻です。消費の後退によって、デフレ不況が悪化するという負のスパイラルを断ち切ることが重要です。
すべての労働者の賃金改善で内需を拡大し、地域経済を立て直すことが求められます。そのためにも、公務員労働者と労働者・国民との共同で公務員バッシングを跳ね返していくことが重要です。
◇「地域主権改革」
公務・公共サービス低下招く
政府は、6月22日に決定した「地域主権戦略大綱」にもとづいた改革を強行しようとしています。その内容は、国民に対する最低限の生活や権利を保障する国の責任を投げ捨て、公務・公共サービスの後退を招くものです。
「義務付け・枠付けの見直し」は、国が定めた最低基準を廃止し、地方自治体がそれぞれ条例で定めるとするもので、財政力等の地域間格差によって住民サービスの低下が危惧されます。
「ひも付き補助金の一括交付金化」は、その大半が社会保障や義務教育の費用です。国の財政難の中で補助金全体が削られる危険性があります。
「国の出先機関原則廃止」は、全国知事会などの意見(図表2)を踏まえ、事務・権限の地方自治体への移譲などの抜本改革を進め、自主的かつ総合的に実施するとしています。しかし、出先機関の原則廃止や事務・権限の移譲は、公平・公正に、全国一律・継続的に提供されてきた必要不可欠な行政サービスが後退する恐れがあり、基本的人権の侵害につながりかねません。
同時に、職員の身分・労働条件にも重大な影響を及ぼすものです。
◇労働基本権回復
憲法とILO勧告の精神で
政府は、労働基本権回復を公務員制度改革の重要課題と位置付け、現在、協約締結権を「付与」するとして関連法案を来年の通常国会に提出するとしています。
憲法28条は公務員をふくむすべての労働者に労働基本権を保障しています。それにもかかわらず、戦後間もなく占領軍と日本政府は公務員の労働基本権を一方的にはく奪しました。
また、図表3にあるとおり日本は国際水準からも大きく立ち遅れています。ILO(国際労働機関)も日本政府に2002年以降6度にわたって労働基本権の保障を求めています。しかし、政府はILOの是正勧告についても実行をさぼり続けてきました。
先の通常国会での公務員制度改革の審議の中では、公務員の身分保障の見直しや人件費2割削減と関連させ、労働基本権を付与したうえで交渉によって給与を削減する議論が繰り返されました。
しかし、労働基本権の回復と人件費削減が連動するものではありません。まさに労使交渉の課題であり、組織の強化・拡大が課題です。
◇国公労連2011年要求アンケート
ダウンロードして活用してください
アンケート用紙(PDF)
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