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国公労連速報 2010年2月12日《No.2300》
幹部職員人事の一元化にむけ関連法案の国会提出へ
− 法案内容をめぐって全労連闘争本部が推進本部事務局と交渉 −
     
 

 

 公務員制度改革関連法案の国会提出が伝えられるもと、全労連公務員制度改革闘争本部は10日、公務員制度改革推進本部事務局と交渉しました。
 交渉では、現在の検討状況を明らかにさせるとともに、行政に求められる中立・公正性にもかかわる問題点を指摘しつつ、「全体の奉仕者」という憲法原理をふまえた法改正をおこなうよう求めました。
 これに対して、推進本部事務局は、幹部職員人事の一元化などをめざして、2月12日に法案を閣議決定し、通常国会に提出することを明らかにしました。

 事務次官から部長級への「降任」人事もまかり通る

 推進本部事務局との交渉には、全労連闘争本部から、小田川本部長、黒田事務局長、猿橋(自治労連書記長)、北村(全教書記長)、岡部(国公労連書記長)の各闘争委員が参加、推進本部事務局側は、藤巻事務局次長、駒ア参事官、境参事官ほかが対応しました。
 はじめに、藤巻事務局次長は、「幹部職員人事の一元化などにむけて制度検討をすすめてきた。最終案が取りまとめられたので、みなさんに提示したい」とのべ、国家公務員法改正法案や内閣人事局設置にかかわる諸法案(原案)の詳細を明らかにしました(法案概要は、別掲資料参照)。
 小田川本部長は、「あまりにも拙速な法改正であり、オープンな議論になっていない。幹部職員に限定したとしても、幹部職員も一般職員も同じ公務員だ。その点で、公務員労働者の労働基本権について結論が出ていないなかで、内閣に人事管理組織を設け、内閣総理大臣の権限強化をはかることには強い懸念を持つ」と基本的な問題点を指摘しました。
 これに対して、藤巻事務局次長は、「内閣主導による幹部職員人事の一元化という鳩山首相の指示がある。昨年廃案になった公務員制度改革関連法案のように、労働基本権問題に触れるものではない。そのことには理解をいただきたい」とのべ、今回の法案検討作業が、きわめて政治主導ですすめられてきたことが明らかになりました。
 また、事務次官を部長級にまで降任させることができるとする「人事の弾力化」について、「降任となれば、労働条件の一方的な不利益変更となる。そうした制度設計が、今後、一般職員の人事管理にも影響することが予想される」と闘争本部側が指摘したことに対して、藤巻事務局次長は、「標準職務遂行能力という客観的なモノサシにくわえて、新たに適格性審査も設ける。幹部職員として、適材適所の人材交流をすすめるべきと考える」とのべるにとどまりました。

 分限免職の回避を法的に明確にせよと強く主張

 関連法案のもう一つの柱である「民間人材登用・再就職適正化センター」の設置について、新センターが「国公法第78条4号(組織改廃にともなう分限免職)において離職を余儀なくされる職員」を対象としたものとしていることに対して、闘争本部側は、「年末に社保庁職員500人以上が分限免職された。その直後であり、慎重な検討にもとづく制度設計が必要だ」と指摘し、また、「社保庁職員に対しては、厚労省は、分限免職を回避する努力をしていない。官民人材交流センターも再就職などの支援をしなかった。国公法78条4号による離職を前提にするのなら、同時に分限免職回避を法的にも明確にすべきだ。また、分限免職規定の濫用防止規定も検討が必要だ」とせまりました。
 藤巻事務局次長は、「安易な分限免職は容認しないことは当然だ。また、この条項が、社会保険庁職員のように、みなさんが指摘されることと直接リンクしたものでもない」とのべ、あくまで天下りを禁止するためであることを強調しました。
 今後の検討にもかかわって、闘争本部側は、「公務員制度改革をめぐっては、労働基本権回復をはじめ多くの課題がある。そのなかで、幹部職員人事の一元化だけを先行させるべきではない。公務員制度改革の全体像を示したうえで、具体化されるべきだ」と求め、また、「とりわけ労働基本権問題は、検討がすすんでいる協約締結権は、国・地方ともにすみやかに結論を出すよう求める。その際、検討の過程では、全労連の参加や意見反映の機会を強く求める」などと主張しました。
 こうした主張をうけ、最後に、藤巻事務局次長から、「みなさんの意見はうけたまわった。予算関連の法案提出期限が2月12日になっており、法案はこの日に閣議決定して国会提出したい。公務員制度改革は、労働基本権問題をはじめ検討する課題はたくさんあり、これからもみなさんと意見交換できる場を十分に設けていきたい。本日の要請については、政務三役にもかならず伝えたい」との回答をうけ、推進本部事務局との交渉を終えました。
※「公務員制度改革」闘争ニュースNo.86 2010年2月10日(全労連「公務員制度改革」闘争本部発行)より転載。

【別添資料】
国家公務員法等の一部を改正する法律案の概要

○ 内閣の人事管理機能の強化を図るため、内閣人事局を設置し、幹部職員人事の一元管理に関する規定等を創設。
○ 国家公務員の退職管理の一層の適正化を図るため、官民人材交流センター及び再就職等監視委員会を廃止し、再就職等規制違反行為の監視等を行う新たな組織を整備。

T 内閣の人事管理機能の強化等
1 幹部職員人事の内閣一元管理
(1)適格性審査及び幹部候補者名簿
 @ 内閣総理大臣(内閣官房長官に権限委任)は、幹部職員、各任命権者が推薦した者及び公募に応募した者等について、幹部職に属する官職に係る標準職務遂行能力の有無を判定するための審査(「適格性審査」)を行う。
  ※ 幹部職員:事務次官、外局長官、局長、部長又はこれらに準ずる官職であって政令で定めるもの(「幹部職」)を占める職員。
 A 内閣総理大臣(内閣官房長官に権限委任)は、適格性審査に合格した者について、幹部候補者名簿を作成する。
(2)任免協議等
 @ 任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている者の中から幹部職員を任用する。
 A 内閣総理大臣又は内閣官房長官は、内閣の重要政策を実現するために内閣全体の視点から適切な人材を登用する必要があると判断するときは、任命権者に対し、幹部職員の任免について協議を求めることができる。
 B 任命権者は、幹部職員の任免を行う場合は、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議する。
(3)幹部職員の公募
   幹部職員の公募は、内閣総理大臣が一元的に実施する。

2 幹部職員人事の弾力化
 幹部職員について適材適所の人事を柔軟に行えるようにするため、事務次官及びこれに準ずる官職並びに局長及びこれに準ずる官職は、同一の職制上の段階に属するとみなす。また、事務次官及び局長級の官職から部長級の官職への降任について特例規定を設ける。

3 内閣人事局
(1)内閣官房に内閣人事局を置く。
(2)内閣人事局は、幹部職員人事の内閣一元管理に関する事務、国家公務員制度改革推進本部に関する事務を所掌する。これに伴い、国家公務員制度改革基本法の一部を改正する。
(3)内閣人事局長は、内閣総理大臣が内閣官房副長官の中から指名する者をもって充てる。
(4)設置時期は平成22年4月1日。

U 国家公務員の退職管理の一層の適正化
1 民間人材登用・再就職適正化センター
(1)内閣府に、民間人材登用・再就職適正化センター(以下「センター」という。)を置く。
(2)センターは、次に掲げる事務を行う。
 @ 組織の改廃等に伴い離職を余儀なくされることとなる職員の離職に際しての再就職の支援
 A 民間企業に現に雇用され、又は雇用されていた者の採用及び官民人事交流(現役職員の人事交流)の支援
 B 再就職等規制違反行為についての調査・勧善及び再就職等規制の例外承認【再就職等監視・適正化委員会に委任】
 C 再就職等規制等の適切な運用確保のために必要と認められる措置の勧告
 D その他法律の規定によりその権限に属させられた事項の処理
(3)センター長は、内閣総理大臣が指名する国務大臣をもって充てる。
(4)センター長の関係行政機関の長に対する協力要求及び意見陳述、関係行政機関の長以外の者に対する協力依頼を定める。

2 再就職等監視・適正化委員会
(1)センターに、中立公正の立場で、独立して職権を行使する第三者機関として、再就職等監視・適正化委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(2)委員会は、次に掲げる事務を行う。
 @ 再就職等規制違反行為についての調査・勧告及び再就職等規制の例外承認
 A 再就職等規制の遵守に関する指導・助言
 B 再就職等規制等の適切な運用確保のために必要と認められる措置の調査審議等
 C その他法律の規定によりその権限に属させられた事項の処理
(3)委員会は、委員長(常勤1名)と委員(非常勤)4名で組織。委員長及び委員は、役職員歴のない者から両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する。
(4)委員会に、再就職等監察官(役職員歴のない者を任命)及び事務局を置く。
(5)再就職等規制違反行為の調査・勧告に関する手続等を定める。

3 設置時期
 平成22年4月1日


以上

 
 
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