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国公労連速報 2010年11月26日《No.2447》
 ストライキ権に関する懇談会を立ち上げ
 ――有識者により公務員の争議権のあり方を幅広く検討
     
 

 

 政府は、蓮舫公務員制度改革担当大臣の私的懇談会として、「国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会」を立ち上げ、26日には第1回会議が開かれました。
 懇談会は、国家公務員のストライキ権のあり方について検討することを趣旨に、有識者10人(別掲1)で構成されています。
 この懇談会でどのような方向で取りまとめがおこなわれるのかは不明ですが、年内に5回程度の会合が予定され、急ピッチで検討をすすめようとしており、全労連闘争本部でも、当面、傍聴行動などを通して監視を強めていくこととしています。

 初会合としてフリーに問題意識を交換

 26日の第1回の会議開催にあたり蓮舫大臣は、「11月1日の閣議で、自律的労使関係を措置する法案を、次期通常国会に提出することを確認した。労使関係制度検討委員会の最終報告は協約締結権を中心にしたものであり、残された課題である争議権について早期にとりまとめていただきたい」とあいさつしました。
 懇談会は、労使関係制度検討委員会でも座長をつとめた今野浩一郎氏(学習院大学経済学部教授)を座長に選出し、公務員制度改革推進本部事務局から、労働基本権をとりまく基本的な事項についてのレクチャーをうけたのち、フリーに討論しました。  討論では、「自律的労使関係の自律的とはどのような意味が込められているのか」「民間と公務員とは違う。今回の目的・意義を深めてほしい」「協約締結権と争議権はセットであるべきなのか」「国家公務員によるストライキをともなう争議件数は、1986年以降激減して最近はゼロである。こうした状況のもとでの争議権のあり方の検討も必要だ」など争議権をめぐる論点や議論の進め方について意見が出されました。
 また、政府が、協約締結にかかわる法案を次期通常国会に提出するとしているなかで、「協約締結権回復のもとでの使用者機関が明らかになっていない。それを前提にしない争議権の検討は、条件付きの論議になるのではないか」「入口の団体交渉・協約締結の具体的イメージがあると論議しやすい」「争議権が労使関係を対等にする。自律的労使関係確立のために争議権付与をどうすればいいのかの論議が必要だ」「給与を下げるために労働基本権を付与するんだというマスコミ報道もあるが、決定システムとその中身は違う」「交渉のしかけ1つとっても、いろいろな選択肢があり、それに基づく選択肢もあるのでやってみなとわからない。事務局でイメージとかシミュレーションをつくってもらいたい」などの要望も出されました。
 議論のなかでは、「労使関係を対等とするためには争議権が付与される必要がある」「公務員制度改革は道半ばであり、集大成させるにはまだまだかかるが、前へ出て行くことが必要だ」など争議権回復を求める積極的な意見もありました。
 これらの意見をうけて、蓮舫大臣は、「懇談会では論理的、客観的にやっていただきたい。最終的な取りまとめについては、政治判断としたい」とのべ、今後、事務局から提案のあった論点(別掲2)にそって検討していくことが確認されました。





(別掲1)

国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会について(抜粋)

国家公務委員制度改革推進本部事務局

1、開催の趣旨
国家公務員の労働基本権、特に争議権のあり方について検討するため、有識者で構成する「国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会」を開催する。

2、検討内容
@ 自律的労使関係を構築するうえでの争議権の意義
A 争議権を付与する場合において、公務員の職務の公共性と争議権を調和させるための規制措置
B その他

  委員名簿
 飯尾 潤  政策研究大学院大学教授
 石原 信雄 地方自治研究機構会長
◎今野浩一郎 学習院大学経済学部経営学科教授
 櫻井 敬子 学習院大学法学部法学科教授
 原田 清志 日本電信電話株式会社 総務部門 労働担当部長
 丸山 建藏 元日本労働組合総連合会副会長
 山川 隆一 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
 吉崎 達彦 株式会社双日総合研究所取締役副所長
 与良 正男 毎日新聞社論説副委員長
 渡辺 章  専修大学大学院法務研究科教授
 ※◎印は座長


(別掲2)

争議権に係る主な論点(案)

1、自律的労使関係を構築する上での争議権の意義
@ 国家公務員制度改革基本法に規定された自律的労使関係制度を措置する趣旨に照らし、争議権を付与する場合、その目的は何か
A 公務員の「地位の特殊性」と「職務の公共性」に照らし、争議権を含めた公務員の労働基本権に対し必要やむを得ない限度で制限を加えることには十分合理的な理由があるとした最高裁判決(全農林警職法事件判決)との関係をどのように考えるか
※同判決においては、公務員の「地位の特殊性」と「職務の公共性」に照らし、争議権を含めた公務員の労働基本権に対し必要やむを得ない限度で制限を加えることには十分合理的な理由があるとされた。
B 争議権を付与することに国民の理解が得られるか


2、争議権を付与する場合において、公務員の職務の公共性と争議権を調和させるための規制措置
@ 付与の範囲
・争議権を付与する公務員の範囲について明確な基準の設定は可能か。例えば、航空管制、特許、登記、入国審査、検疫、植物防疫、原子力安全、邦人保護等、業務で付与する範囲を定めることはできるか。また、職位(例:管理職、非管理職)で付与する範囲を定めることはできるか。
A 争議行為の手続等に係る規制、調整システム
・争議行為の予告等の手続や、第三者による緊急調整の仕組み・緊急調整の決定後の争議行為の一定期間の禁止等をどのように考えるか。
※民間労働法制では、公益事業(運輸、郵便、信書便、電気通信、水道、電気・ガス、医療・公衆衛生)にこれらの仕組みあり。
・職員の安全や経済社会の円滑な運営を確保する観点からの争議行為規制措置をどう考えるか。
※民間労働法制では、争議行為を行っている事業場においても、労働者の安全保持施設の正常な維持・運行を停廃させる等の争議行為は禁止。また、電気の正常な供給を停止する行為等は禁止。
B 違法な争議行為の企画等の防止
・違法な争議行為の企画、助長等に刑事罰を科すか。
C 使用者(政府)の対抗手段
・使用者(政府)は争議行為への対抗手段としてどのようなものを持ち得るのか。
※民間では事業所閉鎖等が可能。公務において、国民向け窓口の閉鎖等が可能か。できない場合、対等の立場での交渉といえるか。
D 第三者に対する賠償責任
・争議行為により第三者(国民、民間企業)等が損害を被った場合、国は賠償責任を負うか。

(公務労組連絡会「公務ネットニュース」より転載)



以上

 
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