2011年5月17日
日本国家公務員労働組合連合会
中央闘争委員会
政府は5月13日、国公労連に対して、2014年3月までの間、国家公務員の俸給と一時金の1割カットを基本に引き下げることを正式に提案してきた。
仮に、この賃下げが強行されれば、国家公務員にとどまらず民間労働者を含む625万人の賃下げにつながるものであり、労働者の生活と地域経済に深刻な打撃を与えることとなる。政府の提案は国の財政事情を口実としているが、累積した財政赤字は公務員の賃金が原因ではなく、政府による賃下げは断じて認められない。同時に、以下の点から今回の提案は撤回するよう求める。
そもそも政府の賃下げの理由である民主党の総人件費2割削減方針そのものに根拠や道理がないことが問題である。東日本大震災の復興財源の確保も口実としているが、米軍への思いやり予算や政党助成金などには手をつけず、真っ先に公務員賃金の削減を打ち出すことは、消費税の増税をはじめとした新たな国民負担増にむけた露払いであることは明白である。
雇用情勢の悪化や国内消費の伸び悩み、節電対策による企業の生産活動縮小などによって、景気の低迷が懸念されている。そうした中で、政府自身も「給与引き下げが消費の冷え込みにつながることは理論的に否めない」との認識を示しており、公務員の賃下げがこれから復興をめざす日本と地域の経済にとって重大な足かせになることは明らかである。
東日本大震災の復旧・復興に多くの公務員労働者が最前線で奮闘していることを踏まえれば、一方的な賃金引き下げが職員の士気を大幅に削ぐことは明らかである。公務員としての震災復興への貢献は、自らの賃金を差し出すことではなく、行政としての責任を果たすことによって被災者と地域の活力を引き出すことであり、臨時増員も含めた行政体制の拡充こそが不可欠である。
今回の賃金削減の位置づけが「総人件費2割削減」か「震災復興の財源確保」かに関わらず、使用者である政府が国家公務員の賃金を直接引き下げる攻撃であり、人事院勧告にもとづかない給与の引き下げは、何の道理も根拠もない憲法違反の暴挙である。公務員も労働者であり、その基本的権利を無視した暴挙は断じて認めることはできない。
国公労連は、今春闘において地域経済の再生をめざす公務民間一体の賃金闘争を展開するとともに、「21世紀国公大運動」のとりくみとして国民との対話・共同を進め、国民の安心と安全を確保する国の行政と出先機関の役割を幅広く訴えてきた。
国公労連は、未曾有の震災から被災者本位の復旧・復興を進めるとともに、国民の安心・安全が大切にされる社会を確立することを求める。そのため、国の責任と大企業の社会的責任を明らかにし、国民本位の行財政・司法の実現とそれを担う公務労働者の権利を守るために引き続き奮闘するものである。
以上
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