2011年10月28日
日本国家公務員労働組合連合会
中央闘争委員会
政府は本日、2011年人事院勧告にもとづく賃金改定を見送り、6月3日に国会提出を強行した「国家公務員給与の臨時特例に関する法律案」(以下「賃下げ法案」)の早期成立をめざすことなどを閣議決定した。
国公労連は、現行制度にもとづく人事院勧告を無視した政府による憲法違反の暴挙に断固抗議する。政府に対し、「賃下げ法案」の撤回を改めて強く求める。
公務員労働者には、すべての労働者に保障されている労働基本権が憲法に反して不当に制限されており、その「代償措置」の一つが人事院勧告であると言われてきた。政府は「人事院勧告制度尊重」の立場を公言してきたにもかかわらず、今回、人事院勧告を無視したこと、さらに、現行制度にもとづかない「賃下げ法案」を強行しようとすることは「二重の憲法違反」である。しかも、3年度にわたって人事院勧告を無視することとなる賃下げ法案の違憲性は、「人事院勧告が将来への明確な展望を欠いたまま相当の期間にわたり完全に実施されないような状況に陥った場合には、実際上画餅に等しいとみられる状態になったもの」との判例からも明らかである。
また、政府は「賃下げ法案が11年人事院勧告の内容及び趣旨を内包している」として、人事院勧告無視ではないと強弁しているが、全くの詭弁であり屁理屈をこねているにすぎない。
国家公務員法第28条は、「勤務条件の基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない。」と定めている。人事院勧告は、国家公務員の給与を、社会一般の情勢に適応させるべく行われるもので、勧告を超える引き下げが行えないことは法文上も明らかであり、「賃下げ法案」には何ら根拠がないことを逆に証明している。
さらに、「賃下げ法案」提示の際の理由は、「国の厳しい財政事情」と「総人件費2割削減の政権公約」であり、ここにきて「震災への対処」を理由とすることは、憲法違反との批判をかわし、正当化しようとする姑息な態度と言わなければならない。
歴代政権の政策にもとづく財政悪化の責任を公務員労働者に転嫁する「賃下げ法案」は、@国家公務員総人件費2割削減には何の道理も根拠もないこと、A625万人労働者に波及して経済をいっそう冷え込ませ、震災復興にも逆行すること、B全国で行政を支え奮闘している公務員の士気を下げること、など重大な問題があることを重ねて指摘する。
「賃下げ法案」は、大企業には減税する一方で、復興財源確保を口実とした庶民増税や「社会保障と税の一体改革」による国民負担増の押しつけ、TPP交渉参加など、国民生活破壊に向けた露払いであることは明らかであり、断じて認められない。
国会では、第3次補正予算と一体での「賃下げ法案」の審議が想定される。国公労連は被災者本位の震災復興などの国民的課題とも結合させ、「賃下げ法案」の廃案をめざしていっそう広範な労働者・国民との共同を広げ、全力で奮闘するものである。
以上
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