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国公労新聞2011年2月10日号(第1341号)
     
 
 

 

◆2011春闘
 内需主導の景気回復を
 方針補強「賃下げ」法案阻止へ

 国公労連は1月29日、第136回拡大中央委員会を開き、2011年春闘方針と2011年国公労連統一要求を満場一致で決定しました。「2011年春闘闘争宣言」を拍手で採択しました。

◇国公労連第136回拡大中央委員会ひらく

 宮垣忠委員長はあいさつで、「大企業の内部留保を還元させ、内需拡大で景気回復を実現しよう。日航と社保庁の解雇を撤回させよう」とよびかけました。
 岡部勘市書記長は、11春闘重点課題として、@公務員賃金改善、A労働条件改善、働くルール確立、B労働基本権回復等、C公務・公共サービス拡充のとりくみ、などを提起。また、春闘方針の補強として、政府がねらう道理なき「賃下げ」法案に対し、全労働者にかかわる国民的な闘争に発展させていく意義を強調し、地域総行動への結集、職場での全員結集の集会、当局追及、重要局面での実力行使態勢確立の議論をすすめること、などを提起しました。
 討論では、「国民的課題として、消費税増税反対を柱としてたたかうべき」(全港建)、「社保庁不当解雇撤回の人事院口頭審理が2月から始まる。傍聴行動への結集をお願いする」(厚生共闘)、「争議権回復を最後まで求めるべき」(人職)、「地域主権改革も、賃金問題も国民の理解なしに前進しない。地域に打ってでる」(全建労)、「賃下げ」法案阻止のためには「組合員1人ひとりが多様な力の発揮を」(全労働)、「賃下げの影響がそれぞれの地域にどれだけ影響が出るか宣伝すべき」(東北)、「不当な賃下げに、実力行使を含む最大の闘争態勢構築を議論する」(全運輸)などの発言がありました。
 中央委員会は、提起された2011春闘方針、国公労連統一要求等を満場一致で採択しました。
 役員選挙を行い、6人の中央執行委員を選出しました(4面参照)。

 
 

 

◆2011年春闘闘争宣言(要旨)
 2011年1月28日 国公労連 第136回拡大中央委員会

 深刻な雇用情勢がつづいているなか、1昨年末の社会保険庁職員525人の分限免職につづいて、昨年末には日本航空による「整理解雇4要件」を無視した165人の首切りが強行されるなど、労働者の尊厳が踏みにじられている。
 今春闘は、内部留保をため込みながらも労働者・下請けいじめを続ける大企業の横暴を規制し、外需依存の経済を内需中心に変えるたたかいがいっそう重要となっている。
 そのため、「賃上げで景気回復を」という要求を高く掲げ、誰でも1万円・時給100円以上の賃金改善、最低賃金1000円以上への引き上げ、非正規労働者の均等待遇などの実現にむけてたたかう。
 政府は現在、さらなる公務員賃金の引き下げにむけた「給与法改正案」の提出をねらっている。現行制度を無視した政府による賃下げを断固阻止するため、職場の仲間たちの怒りを総結集して重大な決意のもとでたたかいに臨む。また、公務員攻撃を「構造改革」推進の突破口にするというねらいを広範な国民の中に明らかにして、国民的な共同をひろげるため全力をあげるものである。
 民主党政権は、「地域主権改革」と称して国の責任を大きく後退させようとしている。このような状況のもと、「総対話MAP運動」を継続・発展させ、地域から世論構築のとりくみを強める。 とりわけ、菅内閣が、財界の要望に応え、TPP参加や大企業の減税と一体で消費税増税をねらっており、国民世論の構築に全力をあげる。
 協約締結権の回復が目前にせまるなか、憲法とILO勧告にもとづいて、労使対等で賃金・労働条件を決定する制度確立を求めて、職場の組織拡大・強化と結びつけてたたかうことが重要となっている。
 職場や地域での困難を乗り越え21世紀国公大運動を「みんなできめ、みんなで実践」し、国民の支持と共感を広げよう。
 春闘とともにたたかわれる、統一地方選挙で国民犠牲の政治のながれを変えよう。

 
 

 

◆国公労連2011年春闘方針補強
 「賃金引き下げ」法案阻止のたたかい強化について(要旨)

 たたかう構え、とりくみの補強
 (1)世論の支持・理解を広げ、国民的課題に

 @ 全労働者的・国民的課題として運動展開するため、各地で開かれる春闘討論集会などあらゆる機会で理解と共同を広げる。
 A 公務大産別規模で「要求・交渉・行動」を統一的にとりくむため、国公労連、自治労連、全教の各書記長、公務部会事務局長で構成する公務員賃金削減反対闘争委員会を設置し、運動の企画・調整を行う。各地方でも同様の体制を確立する。
 B 地域総行動への結集や大量宣伝リーフの各戸配布を含む積極活用を具体化する。
 C マスコミ対策、インターネットを活用した情報発信、各種団体要請などを強める。

 (2)対政府交渉の徹底強化

 @ 政府交渉を強化し、その不当性や問題点を国民的に明らかにしながら断念を迫る。  A 理論武装とともに、追及点の整理をすすめ、賃下げによる経済への影響、違憲性など研究者との協力・共同をすすめる。
 B 第1波全国統一行動(2/14の週)で全機関が要求書を提出し、所属長交渉・上申闘争を積み上げ、各府省当局を反対の立場に立たせる追及を強める。
 C 裁判闘争も視野にサポート弁護士との連携を強めるとともに、全労連とILO提訴への協議をすすめる。

 (3)職場からのとりくみ

 @ 「総対話MAP運動」とも結合させて地域から官民共同のたたかいに全力をあげる。
 A 第1波全国統一行動(2/14の週)の職場集会を全員参加で実施し、政府宛の要求書を採択・集中する。
 B 全職員対象の政府に対する要求署名を3月末集約でとりくむ。
 C 3・3中央行動に、国公労連として800人規模で結集する。
 D 第2波全国統一行動(3/17)を「賃下げ」課題での当面の「山場」とし、全職場で屋外を基本とする早朝時間外職場集会を実施する。
 E 「基本権の確立を求める請願署名」の目標完遂をめざす。3月議会での意見書採択めざすとりくみや、出先機関改革に反対する各県ごとの国会請願署名にとりくむ。

 (4)政府の態度決定が行われる重要局面での戦術等

 @ 国公労連中央闘争委員会で具体化をはかる。例えば、閣議決定日を含む前3日間の総務省前座り込み行動、定時退庁と退庁後の集会、主要駅頭等でのロングラン宣伝など最大限かつ多様な闘争戦術の行使に向けて、議論をすすめる。
 A 権利学習を強めるとともに、労働基本権の回復をめざすたたかいと一体で、実力行使(ストライキ)態勢確立めざす論議をすすめる。

 
 

 

◆国の責任を地方に押し付け
 「アクション・プラン 〜出先機関の原則廃止〜」を斬る

 菅内閣は2010年12月28日、国の責任を地方に押しつける出先機関改革「アクション・プラン〜国の出先機関原則廃止に向けて〜」を閣議決定しました。2012年の通常国会に法案を提出し、2014年度中に出先機関の「事務・権限の移譲を目指す」としています。

◇地域間格差拡げる広域実施体制

【出先の事務・権限 ブロック単位で移譲】

 「アクション・プラン」は以下のような内容となっています。
 @ 出先機関の事務・権限をブロック単位で移譲することとし、その枠組みとして広域実施体制の法案を2012年の通常国会に提出、2014度中の事務・権限の移譲をめざす。
 A 一般国道と一級河川については、事務・権限の移管を取り組んでいくことを提起し、公共職業安定所(ハローワーク)国と地方の一体的運営による検証を経て、地方自治体への権限移譲を検討する。
 B 国の事務・権限の徹底した見直しによる出先機関のスリム化・効率化をおこなう。
 C 財源の移譲、人員の移管に関わる必要な措置、仕組みを検討・整備する。

【国民の権利に関わる重大な問題】

 「アクション・プラン」は、国民の権利を侵害するなど重大な問題があります。
 国の出先機関である都道府県労働局や地方整備局、地方法務局、地方運輸局、経済産業局、総合通信局、地方厚生局などは、国民のくらしや雇用、安心や安全の確保など国民の基本的人権を保障する国の責任と役割を果たすために全国に配置されています。
 出先機関を廃止することは、これまで出先機関を介して国が国民に果たしてきた責任を放棄することに他なりません。

【国民が理解しないままに進められる】

 出先機関は廃止するが、事務・権限については広域行政体制で行うとしています。例えば関西広域連合などに移譲することで、国民・地域住民のくらしや雇用、安心や安全の確保は問題ないとしています。果たしてそうでしょうか。
 受け皿となる広域行政体制では、全国一律に平等、公正、継続性をもって安定的に提供されてきた国民にとって必要不可欠な公務・公共サービスの後退が懸念されます。
 また、地域主権戦略大綱で「地域主権改革が進展すれば、おのずと地方公共団体間で行政サービスに差異が生じてくるものであり」と述べているように、広域行政体制間および内部において地域間格差が生じることも心配されます。
 「地域主権改革」そのものが自公政権の新自由主義的「構造改革」の継承です。広域行政体制に移譲された国の出先機関の事務・権限が「官から民へ」と指定管理者制度や民間委託、民営化されてしまいます。つまり、広域行政体制および首長の地域住民に対する公務・公共サービスの責任放棄がおこなわれます。
 同時に、広域行政体制づくりが、財界が「究極の構造改革」とする道州制導入への足掛かりになることも明白です。
 「地域主権改革」について、国民的論議になっていないままにすすめられようとしていることも重大問題です。昨年9月の毎日新聞の全国世論調査では、「地域主権改革」を知らないとの回答が7割近くになっています。「地域のことは地域で決める」という耳障りのいいキャッチフレーズで国民が理解しないままにすすめられようとしています。
 国の出先機関の見通しは、「地方自治体が特に要望してきた」とあるように、とりわけ全国知事会の「国の出先機関原則廃止プロジェクトチーム」の中間報告(2010年3月23日)などをベースに、事務・権限の移譲ありきですすめられてきました。出先機関を所管する各省庁が自らの仕分けで指摘した国民の権利保障はまったく省みられず、国と地方の適切な責任と役割の分担に関する論議もおこなわれていません。

【国が実施してこそ国民の権利守れる】

 名指しされた直轄道路や直轄河川の移管について、「広域的に移動する道路利用者の視点に留意」、「河川管理は国民の生命・財産に影響を与えかねないものであることに留意」、「「関係市長村長の意見を聴く」と、留意点や危惧を表明しています。
 台風や大規模地震などによる堤防決壊は周辺住民のいのちと財産を奪うことになりかねません。地方に移管された河川の維持・管理等の業務が競争入札による民間委託でその水準が低下するようなことになれば、その危惧が現実味を帯びることになります。
 公共職業安定所については、国と地方が一体的に実施し、3年程度の検証期間を経て権限移譲について検討することとし、その際ILO条約との整合性などを留意するなどと、厚労省と全国知事会の双方の意見を取り入れた曖昧な取扱いとなっています。厚労省の労働政策審議会が意見表明しているように、国が責任をもって直接実施することによって機能的にその役割が発揮できるのであり、地方移管では国民の勤労権が阻害されてしまいます。
 国の出先機関の原則廃止は、職員の身分・雇用に関わる重大な問題です。しかし、当該組合である国公労連の再三の政府との交渉申し入れに、まともな対応がなされていません。国民的議論を避け、当事者を排除してすすめられようとしています。

◇2014年度中に出先の移譲ねらう

【片山大臣の下に推進チームを置き具体化】

 貧困や格差の拡大が社会問題となっているいま、国民の生存権を保障するナショナルミニマムに対する国の責任を放棄する「地域主権改革」ではなく、国と地方自治体がしっかりと協力して国民・地域住民のいのちと暮らし、地域を守ることこそ求められています。
 政府による今後の「地域主権改革」のスケジュールは、図表の「工程表(案)」の通りで、出先機関は2014年度中に移譲することをめざしています。
 今年の1月25日開催された地域主権戦略会議では、片山善博内閣府特命担当大臣(地域主権推進)を委員長とする「アクション・プラン」推進委員会を設置し、「直轄道路・直轄河川チーム」、「公共職業安定所チーム」、「共通課題チーム」を置き、具体化を図ることを確認しています。

【国民の理解・共感、支持を広げよう】

 国公労連は「地域主権改革」に対して、2011年春闘でのたたかい方を決定しました。主なとりくみを紹介します。
 総対話MAP運動2010」を継続・発展させ、「国民の中へ、国民とともに」を実践し、国民の理解と共感、支持を広げます。
 国の出先機関が所在する773自治体の地方議会で、過半数の意見書採択を勝ちとる目標の達成に向け、引き続き3月議会におけるとりくみを追求します。
 国の出先機関改革である「アクション・プラン」を阻止するため、各県国公ごとに県内に所在する国の出先機関の具体名をあげて、その必要性や存続・拡充を訴える独自の国会請願署名をとりくみます。
 そして、請願署名の紹介とあわせて地元選出の国会議員への要請行動に取り組みます。  市民対話集会や学習会、宣伝行動、行政相談活動など、これまでのとりくみを県労連加盟の民間労働組合、民主団体や市民団体など幅広い協力・共同のとりくみとして発展させます。

◇「地域主権改革」って何?

 出先機関の廃止など民主党政権が押しすすめる「地域主権改革」のめざすものは、財界・大企業の利潤追求を最大限優遇するために国のかたちを変えることです。
 民主党政権は、2009年10月の日本経団連との懇談会で、当時の原口総務大臣は経団連のすすめる道州制に賛同し、協議していくことを提案しています。
 さらに、2010年6月閣議決定した「地域主権戦略大綱」で、「道州制についての検討も射程に入れていく」とし、「地域主権改革」の行きつく先が道州制であることを明らかにしました。
 日本経団連は、「究極の構造改革」を道州制と位置付け、国のかたちを道州制に変えることをめざしています。
 「地域主権改革」の手法として、地方自治体の仕事の基準を定める国の「義務付け・枠付け」の見直し(国の基準を緩和し、条例制定権の拡大)や、国が地方自治体に使い道を指定する「ひもつき補助金」の一括交付金化(地方自治体の補助金使途に対する裁量権拡大)、国の出先機関の原則廃止などがすすめられています。
 政府および財界は、「地域主権改革」を推進し、道州制を導入していく過程において、生存権をはじめとした基本的人権の保障などナショナルミニマムに対する国の責任放棄を押しすすめ、憲法25条などの改悪をも画策しています。

 
 
 
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