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国公労新聞2011年3月10日号(第1343号)
     
 
 

 

◆春闘勝利へ 3・3中央行動

 「賃下げ許すな」― 怒りの総務省包囲

 全労連、国民春闘共闘、東京春闘共闘、全労連公務部会などの主催で3月3日、2011春闘中央行動が展開されました。公務、民間の各単産が国会行動や霞が関を中心に集会や銀座パレードなどをそれぞれ実施しました。全労連公務部会は、政府の公務員賃金引き下げの動きに抗議し、怒りの総務省前包囲・座り込み行動(写真)を実施しました。

 
 

 

◆公務員制度改革基本法に基づく改革の「全体像(案)」
 協約締結権回復などを提示 今通常国会 関連法案を提出へ

 国家公務員制度改革推進本部は3月3日、全労連公務員制度改革闘争本部に対し、「国家公務員制度改革基本法に基づく改革の『全体像』について(案)」を示しました。

 ◇人勧制度を廃止

 「全体像」案は、国家公務員制度改革基本法に定められた「改革」の課題を実現する「具体的措置」を示したもので、採用から研修、人事管理、定年延長による雇用と年金の接続など多岐にわたっています。
 政府は今後、労働組合をはじめ各省当局など関係者との協議を経て、開会中の通常国会に昨年の通常国会で廃案となった法案をベースに「自律的労使関係制度」に関わる条項を修正した「国家公務員法等の一部を改正する法律案」とともに、「国家公務員の労働関係に関する法律案」「公務員庁設置法案」など関連法案を提出する方針です。
 「全体像」案は、全労連、国公労連が一貫して求めてきた憲法とILO基準に沿った基本的人権としての労働基本権回復とはなっていません。
 「自立的労使関係制度の措置」として、協約締結権は「付与」するものの、それと一体的な権利である争議権については、「新制度下での団体交渉の実情や、国民の理解の状況を勘案して」今後検討するとして先送りし、刑事施設職員や消防職員は、団結権すら引き続き制限するなど、根本的な問題があります。
 これに伴って、@団体交渉の対象事項、当事者および手続き、協約の効力、中央労働委員会によるあっせん、調停、仲裁等の手続きを規定、A使用者機関として労使交渉や人事行政に関する事務等を担当する「公務員庁」を設置、B人事院と勧告制度を廃止し、第三者機関として「人事公正委員会」を設置、などが盛り込まれています。
 しかし、この間の交渉・協議のなかで、民間にはない労働組合の「適格性審査」や管理運営事項、在籍専従制限の上限設定、使用者による民間賃金調査、内閣による協約の「事前承認」などが法定化される問題が明らかになっています。
 また、新たな「人事公正委員会」は人事行政の公正性を確保するため、政府から独立した中立の機関とする必要があります。
 一方、@幹部人事の一元管理として内閣人事局を設置し、事務次官から局長、部長までを「同一の職制上の段階」とみなし、事実上の降任を可能とする、A「再就職等監視・適正化委員会」を設置して「官民人材交流センター」は廃止する、B12年度から実施する新たな採用試験制度と「幹部候補育成過程」の設置によってキャリアシステムを制度化する、などの問題も含まれています。

 ◇とりくみ強化を

 09年末に「労使関係制度検討委員会」の報告がまとめられて以降、1年近くも実質的な協議を行わず、ここにきてアリバイ的なパブリックコメントを経て、最終的なとりまとめという拙速な進め方は問題です。しかも、現行制度にもとづかない賃金引き下げ法案を準備する前提ともされていることは到底看過できません。
 国公労連は4日、中央闘争委員会を開き、賃下げ法案阻止の課題とも結合させ、引き続き憲法とILO基準に沿った労働基本権の確立に向け、請願署名の目標達成など当面するとりくみの徹底強化を確認しました。
 また、関連法案の策定作業に対して政府・推進本部との交渉・協議を強め、意見反映に全力をあげることにしています。

 
 

 

◆総人件費削減の攻撃が本格化
 現行制度にもとづかない 公務員賃下げは 違法・不当

 政府は、公務員賃金の引き下げにむけた「給与法改正案」の提出をねらっています。現行制度を無視した賃下げを断固阻止するため、職場の仲間たちの怒りを総結集するとともに、公務員攻撃を「構造改革」推進の突破口にするというねらいを広範な国民の中に明らかにして、共同をひろげるため全力をあげたたたかいがもとめられています。

 ◇定員、退職手当、年金等一体での削減を画策
 【現局面】

 昨年の給与法の改正において民主党政権は、人事院勧告以上の引き下げは見送りました。
 しかし、昨年の臨時国会での審議において、通常国会に自立的労使関係制度の法案を提出することとあわせて、国家公務員人件費を削減するために必要な法案を検討した上で、順次提出することを確約しました。
 そして、1月28日に開かれた第1回目の「総人件費に関する関係閣僚による会合」では、総人件費の削減に向けて、賃金引下げにとどまらず、定員削減、退職手当、共済年金等へのとりくみの検討を確認しています。(資料1参照)
 すでに政府内部では、定員削減に向けた検討も進められています。3月1日の閣僚懇談会で片山善博総務大臣から各閣僚に協力要請も行われています。
 また、退職手当の見直しなど、「総人件費2割削減」の具体案をまとめようとしています。

 ◇一方的な賃下げ提案は公務員の基本権を無視
 【問題点】

・本来は「労使対等」で
 本来、賃金をはじめとする労働条件は、労使対等の交渉によって決定されるべきものです。このため、労使対等の関係になるように労働者には団結権、団体交渉権、争議権という労働基本権が保障されてきました。先進諸国では、公務員であっても労働基本権が認められているのが当たり前です。
 ところが、日本では1948年の占領軍「マッカーサー書簡」により公務員の労働基本権が剥奪され、その「代償措置」として、人事院勧告制度が設けられました。
 したがって、人事院勧告制度に基づかない政府による一方的な賃下げ提案は、基本的人権である労働基本権を無視した違法、かつ、不当なものでしかありません。

・法案策定は違憲
 政府は、賃下げ提案が違法・不当なものであることを十分認識しています。
 2010年の人事院勧告の取扱いを決定した閣議決定では、「給与については、現在の人事院勧告制度の下で極めて異例の措置となるが、次期通常国会に法案を提出するべく検討を進める」と、「極めて異例の措置」であることを認めています。
 また、片山総務大臣は「労働基本権制約の代償措置としての勧告制度の役割を変えるうえでまず第一に必要なことは、労組との合意だ」と国会で答弁しています。
 これは、公務員制度改革による「自律的労使関係制度を措置」することを前提に、交渉で労働組合の納得と合意を得ようとするものです。しかし、今の制度は人勧に基づいて給与などを決定する仕組みであり、政府による給与切り下げ法案策定は違憲立法であり、人事院勧告に基づかない給与決定は、国公法に違反する行為です。

・「交渉」の名に値せず
 政府は労働組合との話し合いを「交渉」と位置づけようとしていますが、基本権が制約されているもと、対等な労使関係とはなり得ないのですから、交渉という名には値せず、使用者たる政府の一方的な押しつけでしかありません。交渉とはいえない以上、何らの合理性を持ちません。

・地域経済に悪影響
 政府による公務員賃金引き下げは、人事院が直接影響を与えるとする580万人もの地方公務員や公務関連労働者のみならず、公務員に準拠している地域の民間労働者などの賃下げにもつながり、地域経済に甚大な影響を与えます。
 また、国家公務員給与に連動して算出されている補助金の削減や、教員給与に対する国庫負担金の減額で自治体財政にも悪影響を与えることとなります。

 ◇国民の不安すり替え悪政推進の突破口に
 【ねらい】

 人事院勧告制度などのルールをも無視して総人件費削減を推し進める狙いはどこにあるのでしょうか。

・急落する支持を…
 一つは、菅政権に対する国民の支持が急落するもとで、公約でもある公務員賃金の削減によって国民の求心力を回復させようとする狙いがあります。
 民主党は、「国家公務員総人件費2割削減」を公約し、官僚政治への批判をはじめ「公務員バッシング」で国民の支持獲得をめざしてきました。菅内閣に対する国民の支持は2割前後にまで落ち込んでいることや、自民党やみんなの党などの野党をはじめ、マスコミも政府予算案の財源難などを指摘して公務員人件費の削減を求めていることも背景にあります。

・国会運営を有利に
 二つは、きびしい野党の追及をかわし国会運営を有利に導こうとする狙いがあります。
 衆参のねじれ国会のもとで予算関連法案の成立も危ぶまれていますが、自民党やみんなの党なども主張する公務員賃金の引き下げ法案と総人件費2割削減にむけた工程表を策定することによって、なんとか国会をのりきようとする思惑があります。

・抵抗を抑えようと
 三つは、公務員労働者や国民の抵抗を抑える狙いがあります。
 「自立的労使関係制度」としての協約締結権回復などの「国家公務員の労働関係に関する法律案」(仮称)を公務員の賃金引き下げとセットとすることで、これを図ろうとしています。
 同時に、定員削減や退職金引き下げ、出先機関改革など、公務員総人件費二割削減の諸施策全体を既定路線とする狙いも重大です。

・悪政推進の突破口に
 四つは、公務員賃金の削減によって、民主党の公約違反などに対する国民の不満をすり替えるとともに、財界やアメリカ言いなりの悪政を推進する突破口とする狙いです。
 公務員賃金とあわせて閣僚給与も2割削減することで、財政再建にむけた政府の決意を示し、そして、消費税の増税や社会保障費の抑制もやむを得ないものと国民に押しつけようとしているのです。
 このように、公務員賃金の引き下げは、公務員バッシングの世論を逆手にとって、政権維持とともに国民に「痛み」を押しつける党利党略の暴挙です。だからこそ、すべての労働者の賃金改善を掲げる春闘での国民との共同を広げることが求められます。

 ◇3・17統一行動成功させ反対の世論を大きく
 【たたかい】

 現在、政府から具体的な提案は行われていません。これは、私たちのたたかいの反映です。私たちの道理ある主張、不当なやり方に対する職場決議などのとりくみが、政府を追い詰めているのです。
 春闘がたたかわれているいま、直近の3月17日の全国統一早朝時間外職場集会を全力で成功させ、任命権者による上申を勝ちとることがもとめられています。

・怒りの声を
 さらに、現在とりくまれている署名などすべての職場でとりくみを完遂し、わたしたちの怒りの声を届けることが求められています。同時に、公務員賃金の引き下げによる影響が、すべての労働者、地域経済に大きくかかわる問題として、反対の世論を大きく広げていくことが必要です。

 ◇公正ではない比較方法大企業優遇税制是正こそ
 【疑 問】

= 公務員給与は高い? =
 一部の高級官僚の法外な退職金や、天下りによる「わたり」をとりあげて、マスコミは、公務員賃金が高いと報道しています。また、昨年の臨時国会での給与法案の審議では、みんなの党が、国税庁の民間給与実態調査を引き合いに出して、公務員給与を一般職員は5%、指定職は10%削減するという修正案を提案し、政府に実現をせまりました。
 しかし、国税庁の調査は、従業員一人以上事業所で、パート・アルバイト等の非正規雇用を含むすべての民間給与取得者が対象となっています。こうした比較がおかしいことは明らかです。賃金・給与は、その仕事に応じて支払われるのが原則です。
 また、秘密保持や中立で公正な職務に専念させるため、公務員は兼業が禁止されています。多くの民間企業でも兼業を禁止しているのは、同じような理由があるからであり、兼業しなくても安心して暮らせる労働条件を確保することは当然です。

= 財政再建のため =
 国の債務残高が1千兆円に迫りつつあるもと、赤字財政を建て直すために公務員の人件費削減や賃下げが必要だというのが政府の主張です。しかし、赤字財政は、これまでの自公政権の失政によってもたらされたものであり、そのツケを公務員労働者に回すのは筋違いです。
 そもそも、この10年間で国債発行高が250兆円を超える規模で増えているのに比べて、公務員総人件費は5兆円ほどしかありません。これでは、いくら公務員の人件費を削減しても、赤字解消には追いつかないことは誰の目にも明らかです。国家公務員総人件費2割削減で捻出される財源は約1・1兆円とされる一方、政府がねらう法人税5%減税で約1・5兆円の収入減と財務省が試算しているように、「財政再建」と言うなら、まず、大企業・大資産家に対する優遇税制を是正することこそ筋道です。

 
 

 

◆国公女性平和のつどい in沖縄 戦争の実相学ぶ

◇基地の沖縄実感

 国公労連女性協は、2月18〜20日、「国公女性平和のつどいin沖縄」を開催しました。7単組から子どもを含め25名が参加しました。
 1日目は「米軍基地と沖縄中部をめぐる」として普天間基地、嘉手納基地などを平和委員会の方のガイドで見学し、辺野古で座り込みを続けている方のお話を伺いました。バスの中では、東村高江での米軍ヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設に反対するたたかいのDVDを見ました。
 2日目は「南部戦跡・国立公園をめぐる」として白梅の塔、魂魄(こんぱく)の塔、平和の礎などを見学しました。南風原(はえばる)陸軍病院では、陸軍指揮で掘られた横穴(壕)の一つ「20号」に入り当時の状況の説明を受けながら、途中では持っていた懐中電灯を消して真っ暗な壕を追体験してきました。
 3日目は自由行動で少しだけ観光なども楽しみました。
 参加者からは、「まだ沖縄では戦争は終わっていないと感じた」「まわりの人にも伝えたい」との感想がありました。

 
 

 

◆魅力ある青年運動を 青年協拡大代表委ひらく

 国公労連青年協は2月25日、都内で拡大代表委員会を開催し、6単組・2県国公・オブザーバー1人の計9人が参加しました。
 方針提案・討議に先立ち、青年運動をさらに八反させるために学習を行いました。国公共済会専務の松渕秀美氏が組織強化の観点から国公共済会の制度・現状について講義しました。また、労働基本権確立のたたかいについて、建交労埼玉県本部副委員長の齋藤邦夫氏が建交労における労使交渉の歴史や実践例等の講義しました(写真)。
 議案討論では2011年春闘のとりくみ及び6月の「国公青年交流集会in那須高原」などについて議論し、これからとりくむ春の組織拡大運動と連動して青年交流集会を成功させることを確認しました。

 
 
 
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