「雇用と仕事の確保、賃上げ、社会保障拡充で、内需中心の経済、震災復興を」を掲げた2012年国民春闘のたたかいが始まる。労働者の賃金は10年以上にわたって下がり続け、非正規労働者は約4割へと増加している。また、生活保護受給者数が戦後最多となるなど、労働者・国民の生活悪化と地域経済の疲弊が極まっている。一方、大企業は、労働者の賃金引き下げや非正規雇用への置き換え、下請け単価の切り下げなどによって巨額の利益を上げ続け、内部留保の額は266兆円にも上っている。この大企業の横暴勝手が円高やデフレ不況を深刻にしている。
今春闘では、大企業の内部留保を賃上げと下請け企業に還元させ、デフレ不況を打開し、地域経済を守るため、県労連・地域労連に結集して「目に見え音が聞こえる春闘」を職場と地域から旺盛に展開しよう。
野田政権は、消費税増税ノー、社会保障の拡充、普天間基地の無条件撤去などの国民多数の声を無視し、財界とアメリカ言いなりの悪政強行に狂奔している。政党助成金や軍事費、「アメリカへの思いやり予算」には手を付けず、大企業や富裕層には減税する一方での消費税増税に過半数を超える国民が反対している。
この消費税増税の前提として公務員賃金の引き下げを強行しようとしているが断じて認められない。人事院勧告を超える賃下げは憲法違反であるとともに、デフレ不況をいっそう悪化させ、税収も減少させるなど、なんの道理も大義もない暴挙である。国公労連は、消費税増税に反対するとともに、賃下げ法案を阻止するために全力を挙げる。そして、仮に賃下げが強行された場合には、憲法違反のルール破りを司法の場に告発して断固たたかうものである。
野田政権の「地域主権改革」による国の出先機関廃止は、国民生活や地方自治に対する国の責任を地方に丸投げするものである。広域自治体の全国知事会が声高に出先機関廃止を唱えているのと対照的に、基礎自治体の市町村長は、国の出先機関廃止や地方移管は「国が国民の安全と安心を守る責任をあいまい、弱体化しかねない」と「地方を守る会」を立ち上げ、関係省庁などに出先機関の存続と拡充の要請を行っている。また、大震災被災地や九州をはじめとする全国各地の市町村長からも「出先機関廃止は性急」などの声が上がっている。
国公労連と単組、県国公が一体で国会議員や地方自治体などへの要請、地方議会での意見書採択に全力を挙げてきた貴重な到達点であり、今春闘でさらなる世論の構築にむけて奮闘しようではありませんか。
旧社会保険庁職員の分限解雇撤回のたたかいは、この春にも人事院判定がだされる重要局面を迎えている。一昨年の京都に続き、北海道と大阪、香川の仲間が裁判闘争にも立ち上がっている。JAL不当解雇撤回闘争とも結んで、公務員の身分保障と整理解雇要件をないがしろにする不当解雇を断固撤回させるために奮闘しよう。
国公労働者の諸要求を前進させるカギは国民との連帯・共同を広げ、国民の理解と共感を得ることにある。そのためにも、労働組合の組織の強化と拡大が欠かせない。国公産別と単組一体での組織の強化・拡大にとりくむとともに、県国公組織と運動を抜本的に強化して、労働組合や諸団体、地方自治体や地域住民との対話と共同に足を踏み出そうではありませんか。
吹き荒れる公務員バッシングが、政府・財界による悪政を国民に押しつける目くらましであることがあらためて明らかになっている。政権交代への国民の願いは、大企業や富裕層優先の政治・経済運営や、アメリカいいなりの米軍基地押しつけではなく、誰もが普通に働けば当たり前の生活ができる社会の実現であった。12年春闘では、まさにこの日本のありようが問われている。
仲間のみなさん。
私たち一人ひとりがたたかいに立ち上がれば、職場を変え、地域を変え、そして政治を転換することも可能となる。公務員労働者の努力と役割が当たり前に評価される社会を実現するためにも、「国民の中へ、国民とともに」のスローガンを高く掲げて12年春闘を精一杯たたかうことを呼びかけるものである。
2012年1月27日
日本国家公務員労働組合連合会第138回拡大中央委員会
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