◆「国の出先機関は存続を」
全国122人の首長が政府に要望
東日本大震災など大規模災害の復旧・復興に国の出先機関が果たす役割にあらためて注目が集まっています。住民の権利や安全に責任を負う全国の市町村長から、「出先機関廃止は見直せ」の声が急速に高まっています。
全国各地市町村長でつくる「地方を守る会」(代表世話人・國定勇人新潟県三条市長)は12月27日、経産省や国交省、総務省を訪れ、国の出先機関の存続を求める要望書を提出しました。三重県の地方紙「伊勢新聞」(12/28付)が報じています。
【大震災で役割明らか】
同紙によると、要請には、三条市の國定市長、福島県相馬市の立谷秀清市長、三重県菰野(こもの)町の石原正敬町長の3氏が参加し、北神圭朗経産政務官らと面談しました。
要望書は、東日本大震災などで、地方整備局や経済産業局と市町村が一体となって救援活動やインフラ・産業復旧などを行い、地域における国の出先機関の役割があらためて認識されたと強調。その上で、「国が現在進めている出先機関の廃止や地方移管は、地域や住民の安全を軽視するものと言わざるを得ない」と批判し、「国が国民の安全と安心を守る責任をあいまい、弱体化しかねない」と地方整備局と経済産業局の存続を求めています。
【わずか2週間で】
「地方を守る会」は、出先機関の維持・拡充を求めるため12月に結成され、「この2週間ほどで約120人の首長が集まったという」と伊勢新聞は報じています。
◇出先廃止に異議あり 宮崎の全市町村長、知事に要望
宮崎県の全26市町村長は1月11日、地域主権改革に伴う国の出先機関廃止・地方移管は「時期尚早」と、国に慎重な対応を働きかけるよう求める要望書を宮崎県の河野俊嗣知事に手渡しました。「都道府県内の全市町村がそろって異議を唱えるのは全国で初めて」(「西日本新聞」1/12付)です。
【廃止より機能拡大】
「宮崎日日新聞」12/31付は県内市町村長の「国の出先は残してほしい」との切実な声を紹介しています。
県町村会会長の椎葉晃充・椎葉村長は「震災を経てなぜ今、出先機関を廃止するという発想が出てくるか全く分からない」との疑問を表明。
県市長会副会長の黒木定蔵・西米良村長は「地方自治体の能力を超える災害時には国の力が必要。そもそも国土を守ることは国権機能だ」と出先廃止論を一刀両断に。
新燃岳噴火による灰の除去など九州地方整備局の全面支援を受けた高原町の日高光浩町長は「機動力、技術力は国だからこそ。眠れぬ夜が続く中、大変救われた。存在意義は被災地にしか分からない。…廃止よりむしろ機能拡大を図るべき」とのべています。
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