本日13時からの衆議院本会議で、「公務員制度改革関連4法案」の審議が始まりました。政府が昨年6月、「賃下げ法案」と同日に国会へ提出し、継続審議となっていたものです。国公労連からは九後書記次長と高木中執が傍聴しました。
アリバイづくりの審議入り
審議は、参議院で問責決議された2大臣の辞任を条件とする自民党の議員が欠席するなか、趣旨説明と各会派代表の質疑が2時間余り行われました。
福島伸享議員(民主)は、公務員制度改革の意義を質問するとともに「政治の本気度を推し量る試金石。議論し成立させなければ国民から見放される」と強調しました。これに対し野田首相は、「労使が公務をとりまく課題への認識を共有し、効率的で質の高い行政サービスを提供するための改革」と答え、「自公政権下で成立した『国家公務員制度改革基本法』(2008年6月)にもとづくもの。十分な審議でできる限り早く成立を」と呼びかけました。
高木美智代議員(公明)は、会期末まで残り20日間での審議入りを非難するとともに「『賃下げ』に合意を得るための(連合との)取引ではないか」と質しました。これに対し野田首相は、「審議入りのタイミングについてのコメントは差し控える」とし、「(連合との)取引の事実はない」と答えました。
法案は問題だらけ
塩川鉄也議員(共産)は、(1)「労働基本権は基本的人権」として政府の基本姿勢を質し、(2)「争議権制約のもとでは労使対等とはならない。中労委の仲裁も実施義務なし」と指摘、(3)複数組合との交渉で合意に至らない組合の扱い、(4)警察や海上保安庁など団結権がないままの職員への代償措置、(5)認証されない組合との交渉の扱い、を質すとともに、(6)「増税のための身を切る改革では行政サービスが低下」、(7)「人事公正委員会が総理大臣所轄では第三者機関とならない」、(8)「政府機関の公務員庁が採用試験や研修、任免などを担うことは公務の中立性を損なう。(幹部職員の)適格性審査を政治家が公正に行えるのか」、(9)「原発事故は天下りの弊害の最たるもの。斡旋だけでなく『天下り』そのものを禁止すべき」と多くの問題を指摘しました。
これに対し野田首相は、(1)「基本姿勢は「『国家公務員制度改革基本法』にもとづくもの」、(2)「争議権は今後の検討。仲裁の実施義務は適当ではないため努力義務」、(3)「統一的な協約が基本であり、不一致は仲裁裁定どおりの措置を講ずることになるだろう」、(4)「警察などでの当局との対抗関係は適当ではない。法定勤務条件の享受、他の公務員との均衡が代償措置」、(5)「認証されない組合でも交渉は可能と考える」、(6)「『総人件費削減』は避けて通れない」、(7)「人事公正委員会は独立して任にあたる」(8)「人材の確保・育成は政府の責任であり、適格性審査とともに公正に行うことは法案に明示」、(9)「天下りはあっせん禁止で癒着の監視を強化」などと述べ、現場の実態をふまえない見解を示しました。
まともな労働基本権を回復しよう
その後、中後淳議員(きづな)、重野安正議員(社民)の質疑がつづき、最後に立った柿澤未途議員(みんな)は、「『国家公務員制度改革基本法案』は、身分保障を外して国家・国益のために働かせることが趣旨だ。官僚のいいなりで焼け太りの内容になった。国家公務員の労働条件は国会が決めるものだ」と時の政権の言いなりになる公務員づくりを強行に求めました。中川正春国務大臣は「恣意的人事の排除や成績主義の実効性、中立性の確保などから身分保障がある」と答えました。
審議入りはしましたが、現在のところ総務委員会への付託など実質審議の目処は立っていません。「公務員賃下げ違憲訴訟」など、あらゆる手段を通じたまともな労働基本権の回復とともに、広範な労働組合との共同を強めるため、法案の抜本修正と徹底審議に向け、国会議員への働きかけや職場学習を強めていきましょう。
以上
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