国公労連は、全労連と東京地評が5月31日に展開した「5.31争議支援総行動」に結集して民間労組などの仲間とともに奮闘しました。争議支援行動では、「すべての争議の早期全面解決、地裁・高裁は公正な判断を行え!非正規・派遣切りを止めろ・貧困と格差をなくせ!消費税増税、TPP参加反対!」などの要求を掲げて、争議組合や争議団が、当該企業の社前や省庁前、東京地裁前などでの行動を終日展開し、争議を支援する民間と公務の労働者が一緒に声をあげました。JALのパイロットと客室乗務員裁判で不当判決を出した東京地裁・高裁前行動には総行動参加者が結集。労働者の使い捨てを容認する不当判決を繰り返す裁判の在り方に怒りの声を上げました。また、日本航空本社前でも多くの総行動参加者が結集して不当解雇の撤回を求めました。
「勝利判定をめざし、全県オルグもとりくむ」と全労連が激励
11時30分からはじまった社保庁職員の分限解雇撤回を求めた厚生労働省前要求行動には、民間労働者・争議団が色とりどりの組合旗を携えて集結しました。
主催者あいさつした全労連の根本副議長は、「525人が不当解雇され2年半が経った。全厚生39人の人事院審理では解雇回避努力義務や公正な取扱いに反した社保庁や厚労省による不当解雇が明らかになり、北海道と京都、大阪、香川の仲間は裁判闘争もたたかっている。社保庁不当解雇撤回闘争は、地方公務員や民間労働者への解雇自由の攻撃に反撃する生存権をかけたたたかいだ。年内の公正な判定の実現を求めて、新たな署名やハガキ行動なども提起し、全労連として全県オルグをとりくむ。全国の仲間とともに運動を強めよう」と呼びかけました。
連帯あいさつした全労連・全国一般の青池書記次長は、「市場化テストによる民間委託で、劣悪で不安定な労働条件で働く官製ワーキングプアが増えている。年金業務を引き継いだ日本年金機構で働く職員の半数以上が非正規労働者で、マニュアルだけの知識で相談窓口業務などを行っている。国民の年金権を守る公務労働者は私たちの財産であり、年金業務は国の責任でやるべきだ。厚労省はしっかり受けとめてほしい」と訴えました。通信労組の宇佐美委員長は、「社保庁職員にすべての責任を押し付ける分限解雇は断じて許せない。経験者を解雇した結果、年金業務のミスやトラブルが続出している。国民が信頼できる年金制度を確立するためにも、解雇撤回を求めて厚労省が謝罪するまで最後までたたかう」と述べました。
決意表明した全厚生闘争団当事者の伊藤重雄事務局次長は、「JAL裁判の不当判決に怒りを覚える。マスコミのバッシングを利用して社保庁職員の首を切り、本来責任を負うべき厚労省幹部は続々と天下りしている。政府・財界は日本を解雇しやすい社会にしようとしている。厚労大臣こそ責任をとるべきだ」と厚労省をきびしく批判し、運動への支援を訴えました。
人事院判定を待たずに解雇撤回を!
全労連、通信労組、全国一般、国公労連と当事者が厚労省に要請
厚労省前要求行動の後、分限免職処分の撤回と雇用の確保、「懲戒処分者を日本年金機構に採用しない」閣議決定の見直し、国が直接責任を持つ年金行政の実現を求めて、厚労省への要請を行いました。要請は、全労連の根本副議長、通信労組の宇佐美委員長、全労連・全国一般の青池書記次長、国公労連の川村副委員長、全厚生闘争団の國枝・伊藤・永田の計7名で行い、厚労省側は年金局総務課の武田課長補佐ら3名が対応しました。
要請書を手渡した後、根本副議長が「社保庁職員への分限免職処分が悪い形で波及することを懸念している。裁判所は労働者の救済に動いていない。労働者をいかに救済するか、厚労省の役割発揮が重要だ。人事院判定を待たずに、厚労省として自己分析して全厚生闘争団の39名の解雇を取り消す判断を」と分限免職処分の撤回を求めました。
続いて、宇佐美通信労組委員長が「解雇は大変な問題であり、生活破壊につながるもので回避するのが当然。国がなぜ解雇回避できなかったのか調査して解決すべき」、青池全労連・全国一般書記次長は「年金機構の非正規職員には研修がなくマニュアルを渡されるだけで、できなければやめていくと聞いている。相談している人が非正規職員で責任ある人でないと知ると驚く。解雇された人の経験を生かし、やりがいのある職場にしてほしい」と述べました。川村国公労連副委員長は「厚労省転任の人選の配慮がなかったことは明らかで手続き瑕疵がある。このことを認めて解雇は撤回するよう求める。年金機構での離職が止まらず、素人が現場で対応するのでは、信頼が失われる。厚労省として年金機構の実情を把握し、その実態から経験ある職員が必要であることを厚労大臣らに報告すべきだ」、と述べました。
全厚生闘争団の当事者も「解雇から2年半たったが、依然無職で収入がない。公務に復帰させてほしい。厚労省とは仕事で話がしたい」(永田)、「懲戒処分者一律不採用の閣議決定は見直すべき。北久保さんの過去の処分が取り消されたのに機構に行けないのは問題だ」(伊藤)、「解雇から2年半、病気とたたかっている人もいる。ここまで放置されるのは人格を否定されているようなものであり早く解決してほしい」(國枝)、とそれぞれが早期の職場復帰を求めました。
これに対して武田総務課長補佐は、「人事院審理や裁判の場で、分限免職処分は適正に行い正当との主張をしている。分限免職処分を厚労省自ら取り消すことはない。審理の長期化に対する当事者のつらい声を受け止め、人事院や請求代理人の求釈明にも早急に対応したい。裁判についても対応していく。年金機構では職員が仕事について行けない状況があることは聞いている。信頼を得るため経験あるものを入れるべきと個人的には思うが、閣議決定があり懲戒処分を受けた者は年金機構に行くことはできない。いまいる職員のスキルを上げることが必要と考える。年金機構の実情は把握するようにする。閣議決定見直しの上申について、大きな事情変更があれば上申できるが、いまそのような事情はないと考える」との回答にとどまりました。
武田課長補佐の回答に対して、根本副議長は「前政権の閣議決定を正すべきだ。人選のずさんさは証人尋問で明らか、分限免職の人数が先にあったのではないか。解雇回避の努力をしたとは思えない。今からでも解雇撤回の判断はできるはず」、宇佐美委員長は「解雇回避について検証する気はあるのか」、青池全労連・全国一般書記次長は「報道や政治が社保庁解体を仕掛けた。年金機構は保険料徴収に躍起で、保険料の猶予を求めても脅される。これでは信頼をなくす。年金は国がしっかり管理すべき」、川村副委員長は「年金機構の実態については次回の場で報告いただくよう求める」と述べました。最後に、根本副議長が「単に判定を待つだけでなく努力してほしい」とのべ、要請行動を終えました。
以上
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