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 国公労連速報 2011年7月17日《No.2790》
 行政サービスの質の確保、「官製ワーキングプア」解消を
 「乙号事務」に関わり官民競争入札等監理委員会へ要請
     
 

 

 国公労連は本日、「市場化テスト」対象の「登記簿等の公開に関する事務(乙号事務)」に関わり、違法行為を重ねる2業者との契約解除などを求め、官民競争入札等監理委員会に要請を行いました。要請には国公労連・高木行革対策部長と全法務・笹ヶ瀬書記長の2名で臨み、委員会事務局の三井参事官補佐が対応しました。


 今回の要請は、法務省が7月2日に「乙号事務」を実施している業者のうちATG company株式会社とアイエーカンパニー合資会社に対し、契約解除を前提とした業務の全部停止を命じたことを受け(詳細は7月9日・国公労連速報No.2787参照)、官民競争入札等監理委員会に対し契約解除を認める適切な審議とともに、「市場化テスト」からの不良業者の排除や行政サービスの質を低下させない方策などの実効ある措置を求めて行いました。
 不良業者の排除について、「事前審査や事後チェックもままならない業務体制のなかでは、参加資格の規制強化が必要」と追及しましたが、事務局は問題意識を示しつつも「『競争の導入』という『公共サービス改革法』の理念上、間口を狭めることは困難」とし、「市場化テスト」の根本的な問題が浮き彫りとなりました。
 また、従事者の雇用継続や国家公務員に準じた賃金など労働条件の確保、行政サービスの質を低下させない方策について、各地での制定が広がっている「公契約条例」の事例も挙げながら指摘しましたが、「労使で決定すべき雇用・労働条件に発注者は関与できない。契約には会計法で定められた『最低価格の申込者との契約』の原則がある」と回答。公契約適正化運動を進めるうえでの課題が改めて浮き彫りともなりました。
 いま、就職難と雇用不安をなくし、安心して働くことができるルールの確立が社会的に求められています。そのためにも、国公職場で働く非常勤職員や派遣、請負の仲間を、不安定雇用・低賃金の「官製ワーキングプア」のままで放置していてはなりません。「公契約法」の制定や「会計法」の改正、ILO94号条約の批准などを求め、公契約適正化運動を職場、地域で発展させていきましょう。


2012年7月17日

官民競争入札等監理委員会 委員長 落合誠一 殿

日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 宮垣 忠

「登記簿等の公開に関する事務(乙号事務)」に係る要請書


 日頃よりのご活躍に敬意を表します。
 さて、「市場化テスト」の対象事業とされている「登記簿等の公開に関する事務(乙号事務)」(以下「当該業務」という。)をめぐり法務省は7月2日、ATG company株式会社とアイエーカンパニー合資会社(以下「当該二者」という。)に対し契約解除を前提とした業務の全部停止を命じました。今後、貴委員会の審議を経て契約を解除する予定としています。
 全部停止の事由は法務省が今年2月、当該二者に対して行った健康保険と厚生年金の虚偽への改善指示に反したためとされていますが、当該二者は従業員の5月分賃金(6月28日支払い)を一方的に8割支給へと削減する違反も犯しています。さらに、昨年4月には登記事項証明書の不正取得で一部停止も受けています。違法行為を重ねる当該二者との契約解除は公務の性質からも至当であり、貴委員会での適切な審議結果を望みます。
 この問題は、当該業務、当該二者に限ったことではなく、価格競争に重きを置く入札・契約制度のもとでは、くり返し起こり得るものです。従事する数多くの労働者は、生活に困窮するほどの低賃金に置かれ、委託契約が切り替わるたびに雇用不安に苛まれる「官製ワーキングプア」です。当該業務の「市場化テスト」化では、それまで約40年にもわたり当該業務を担い支えてきた民事法務協会の1,400名余にものぼる職員が退職を余儀なくされました。
 いま、就職難と雇用不安をなくし、安心して働くことができるルールの確立が社会的に求められています。その実現に向け、「公共サービス基本法」の趣旨からも、公共サービスに従事する労働者の雇用・労働条件の改善により規範を示す必要があります。
 以上より、貴職に対し下記事項の実現に向けたご尽力を要請します。


 1.当該二者の契約解除を行うこと

 2.「市場化テスト」対象業務の入札実施要項に以下の実効ある措置規定を設けること
  1) 不良業者を入札に参加させない事前審査
  2) 従事する労働者の国家公務員に準じた賃金など労働条件の確保
  3) 契約の切り替わりの際の従事する労働者の雇用承継
  4) 行政サービスの質を低下させない方策


以上 


 
 
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