「給与臨時特例法」によって4月から強行された10%〜5%の賃下げに対し5月25日、241名の組合員と国公労連が東京地裁に提訴した「公務員賃下げ違憲訴訟」。7月25日の追加提訴で個人原告は全国370名となり、本日8月2日に第1回口頭弁論を迎えました。国公労連は傍聴席を満席にして口頭弁論に臨むとともに、東京地裁前要求行動と報告集会を展開しました。
悪政変えるとりくみへ合流しよう
――東京地裁前要求行動
口頭弁論に先立つ12時15分からの東京地裁前要求行動には180人が結集。多くの民間の仲間も駆けつけました。主催者あいさつに立った岡部書記長は、駆けつけてくれた仲間に謝意を述べるとともに、政府が7月31日に閣議決定した「日本再生戦略」を例に「社会保障のため」といって庶民から税金を巻き上げ、財界が望む大型開発にまわそうとしている問題を指摘。「そうした悪政の露払いのため『身を切る』と言い、賃下げに続いて退職手当の大幅削減も狙われている。政府は『国会で決めること』と強弁するが、勤務条件法定主義のもとでも基本的人権との調和が図られなければならない」と述べ、「本日からの『公務員賃下げ違憲訴訟』に何としても勝利し、公務員労働者の権利回復とともに賃下げのスパイラルを断ち切り、すべての労働者の賃上げと安定雇用確保で景気回復をめざす国民的運動に発展させよう」と呼びかけました。
つづいて弁護団を代表してあいさつに立った萩尾弁護士は、本訴訟の意義として、@憲法違反を改めさせる憲法擁護のたたかい、A公務員攻撃をテコにしたファシズムとのたたかい、B多くの労働者・国民生活への悪影響や地域経済の破壊を許さないたたかい、と3点を強調しました。
激励に駆けつけてくれた民間の仲間を代表して2名が激励あいさつに立ち、日本医労連の木口書記次長はマルチン・ニーメラー牧師の詩「なぜナチスを阻止できなかったのか」を引用し、「国家公務員への攻撃は皆さんだけでなく国民の将来にかけられた攻撃。ヒトラーなど権力者が国民のために働く労働者を弾圧するのは常套手段。悪政への国民への怒りの矛先を逸らすため。しかし今は原発やオスプレイ配備などに反対する運動の広がりなど、大戦時とは状況が違う。悪政だらけの政治をかえるとりくみに合流しよう」、全大教の長山書記長は「公務員賃下げに対する3度の国会要請行動や声明発表など、賃下げ阻止のため連帯してとりくんできた。『給与臨時特例法』成立後、『公務部門全体で』と攻撃を受け、多くの国立大学で一方的な賃下げが強行されている。労使決定の原則を踏みにじり、運営費交付金の削減を盾にした政府のやり方は許せない。先の大会で裁判闘争に打って出る方針を確認。民主主義の根本を問うたたかいを連帯してがんばろう」と訴えました。
つづいて個人原告から2名が決意表明に立ち、国土交通労働組合羽田空港支部の仲間は「羽田空港では2年前から4本目の滑走路を運用。深夜にも離発着があり、膨大な管制や短時間での保守など職場は大変な状況。東日本大震災被災地への応援でも奮闘している。こうした職場の努力に冷や水を浴びせることは許せない。職場は怒りに満ちている」、全労働茨城支部の仲間は「今回の賃下げは国公労働者を完全な無権利状態に陥れた。何の道理もなく処分に匹敵する賃下げの強行は許せない。国公労働者の尊厳を取り戻し、賃下げの悪循環を断ち切るために奮闘する」と述べました。
原告席、傍聴席とも満席に
――第1回口頭弁論、報告集会
14時から開かれた第1回口頭弁論は、東京地裁で一番広い103号法廷を原告席、傍聴席とも満席に埋め尽くして開かれました。原告として3名が意見陳述に臨み、最初に宮垣委員長は@交渉打ち切りの経過、A団体交渉権侵害の事実、B職場の仲間の怒り、を中心に訴え裁判所の公正な判断を求めました。続いて個人原告を代表して東北ブロック国公の松木議長(全労働)は自身の震災経験にも触れながら被災地での国公労働者の奮闘の実態を述べるとともに、職場の怒りを訴えました。弁護団からは岡村弁護士が@労働基本権制約の代償である人勧に基づかない大幅賃下げが許されるのか、A労働基本権回復の明確な展望がない中での賃下げ実施が許されるのか、の司法判断を求めました。(宮垣委員長と松木議長の意見陳述の詳細は国公労連HPを参照してください。 http://www.kokko-net.org/kokkororen/12_sosyou/index.html)
第2回口頭弁論は10月29日(月)14時から、同じく東京地裁103号法廷で開催されることになりました。
15時からは弁護士会館で報告集会を開催。傍聴に入りきれなかった仲間も含め120人が結集しました。主催者あいさつに立った宮垣委員長は、「傍聴席を満席にしたのはかなりのインパクト。陳述を行なっていて、改めて怒りがこみ上げてきた。国公労働者だけの問題でないことは昼の要求行動でも明らか。賃下げスパイラルを断ち切るため奮闘しよう」と呼びかけました。弁護団10人も全員が参加して訴訟のポイントや決意などを述べ、訴訟を通じて国公労働者、とりわけ被災地での仕事ぶりを明らかにすることや、各国立大学法人や国立高等専門学校機構、労災病院などの労使決定原則を踏みにじる一方的な賃下げを許さない裁判等のとりくみとの連携の重要性が強調されました。
決意表明には個人原告から4名が立ち、国土交通労働組合地理支部の仲間は「国土交通からは全支部148名が原告になった。全国に職場がある強みを生かし、世論を大きく広げていきたい。地理支部では毎月1回の宣伝行動を定例化し、多くの組合員の参加を呼びかけている」、全法務東京支部の仲間は「全法務でも全国58支部から原告を組織した。誰が考えてもおかしい賃下げ。退職金の引き下げや55才以降の昇給・昇格制限などもあって、職場はため息が蔓延。怒りをもってたたかう」、全通信の仲間は「世論をどのように広げていくのかが問われている。そのためにも自分自身の要求として確信を持つ必要」、全労働栃木支部の仲間は「政府は震災復興のためなどというが、マニフェストの『国家公務員総人件費2割削減』のためであることは明らか。政治事情での賃下げを許さず、最後までたたかう」と述べました。
盛永副委員長は行動提起で、@国民的運動をつくるための宣伝行動の定例化、A東京地裁あて要請署名に全力を、と強調しました。最後に宮垣委員長の団結がんばろうでたたかう決意を固め合いました。
以上
|