衆議院内閣委員会は5日、国家公務員制度改革関連4法案の質疑がおこなわれました。
今国会では、すでに8月29日に野田首相の問責決議案が、公明党をのぞく全野党の賛成多数で参議院本会議で可決されています。本来ならば内閣提出の法案等は審議や採決すべきではないにもかかわらず、その後も、民主党単独で法案や条約案の採決が強行されるなど暴走をつづけています。
こうしたもと、31日の内閣委員会開催が民主党から突如として提案され、野党が反対したにもかかわらず、公務員制度改革関連法案の趣旨説明が強行されました。5日の内閣委員会も、民主党だけが出席するなかで開かれたものです。
全労連公務員制度改革闘争本部では、次期選挙での支持獲得も目的とした党利党略を背景に、首相への問責が可決された今国会での法案審議入りは認められないとの立場から、委員会開催がねらわれる前日の4日に緊急の国会議員要請行動にとりくみました。
「野党が審議に応じないのが問題」などと開き直る民主党
4日にとりくんだ緊急の国会議員要請行動は、衆議院内閣委員会の全議員を対象にして、別添の「要請書」にもとづいて、首相が問責された今国会では新たな法案審議に入らないこと、公務員制度改革関連法案が公務労働者の賃金・労働条件に直接かかわるとともに、公務・公共サービスなど国民生活にも関連することから、与野党の全委員出席のもとで十分に時間をかけて法案を徹底審議することなどを申し入れました。
また、公務員制度改革関連法案にとどまらず、衆議院外務委員会や国土交通委員会では条例案や法案の採決が、首相が問責された後も強行されていることをふまえて、衆議院の議院運営委員長や筆頭理事に対しても「要請書」(別添)を提出しました。
国会議員要請行動には、11名(国公労連6、自治労連2、全教1、事務局2)が参加しました。日本共産党の塩川鉄也議員以外は秘書対応となりましたが、委員会の多数を占める民主党議員への要請では「関連4法案は多くの問題点を含んでおり徹底審議が求められている。首相の問責決議が可決されている状況下で、民主党だけで審議を行うことは議会制民主主義をないがしろにするもの」との道理ある主張に対して、対応にあたったほとんどの秘書は何も言い返すことができませんでした。また、野田首相が問責されたという政治責任を棚上げにして、「野党が審議に応じないのが問題」などという筋違いの主張をおこなう民主党秘書もいました。
一方、野党議院への要請では、問責決議に応じようとせず、法案審議や採決をすすめる今回の与党のやり方は暴挙だという批判の声が一様に示されました。
2時間ほどの質疑で法案は「継続審議」の見通し
こうしたなかで4日の内閣委員会の直前に開かれた理事会では、共産党の塩川議員が、民主党単独で内閣委員会を開催することに強く反対しましたが、結果的には午前10時から委員会開会が強行され、民主党議員のみが出席して約2時間の質疑の後、委員会は閉会しました。
公務員制度改革関連法案は、次回の内閣委員会で「継続審議」の扱いになる見通しです。全労連闘争本部では、引き続き、法案の徹底審議と抜本修正を求めていきます。(全労連「公務員制度改革」闘争ニュースNo.121より転載)
【内閣委員への要請書】
2012年9月4日
衆議院議員 殿
全国労働組合総連合
議長 大黒作治
首相問責決議が可決されたもとでの法案審議入りに反対します
国家公務員制度改革関連4法案にかかわる要請
国会内外での日頃のご奮闘に敬意を表します。
民主党は、8月31日の衆議院内閣委員会において、野党の反対を押し切って国家公務員制度改革関連4法案の趣旨説明をおこない、民主党単独での審議入りをねらっています。
すでに今国会では、公明党を除く全野党の賛成多数で野田首相の問責決議が可決されており、こうした状況の下、与党単独で内閣提出法案の趣旨説明を強行したことは断じて認められるものではありません。
提出されている国家公務員制度改革関連4法案は、戦後60余年にわたって制約され続けてきた国家公務員労働者の労働基本権の一部を回復させるという重要な意義を持ちつつも、労働組合の「認証制」を設けるなど団結権をいたずらに制約し、「管理運営事項」を交渉の対象からはずすなど、労使間の自由な交渉の妨げともなる内容を含んでいます。また、争議権回復については検討課題として先送りにされ、基本的人権としての労働基本権を保障する立場からきわめて大きな問題を持っており、全労連は、法案の徹底審議と抜本修正を繰り返し求めてきたところです。
各政党間でも法案に対する意見は分かれているうえ、公務員制度のあり方が公務・公共サービスや国民生活とも密接にかかわることをふまえれば、全議員出席のもとで、十分な時間をかけて審議を尽くすことは国会の責任です。
今国会最終盤において、首相問責決議がないがしろにされ、国家公務員制度改革関連4法案をはじめとした内閣提出の条約案や法案を与党のみで採決を強行するなど、野田内閣が議会制民主主義を無視した暴走をつづけていることはきわめて重大です。
以上の点をふまえて、下記事項について貴職に要請します。
記
1、野田首相問責決議が可決された今国会において、国家公務員制度改革関連4法案の審議をおこなわないこと。
2、国家公務員労働者の権利回復にむけて法案の抜本修正をはかること。
以上
【議院運営委員長への要請書】
2012年9月4日
衆議院議院運営委員長 殿
全国労働組合総連合
議長 大黒作治
第180回通常国会における法案審議にかかわる要請
第180回通常国会は、9月8日の会期末をひかえて、現在、最終盤をむかえています。今国会では、消費税増税法の成立強行などにかかわる野田首相の政治責任を問うため、7野党から野田首相の問責決議案が提出され、公明党を除く全野党の賛成多数で8月29日の参議院本会議で可決されています。
こうした状況下にあっても、民主党は、首相問責決議が可決された後も、野党の反対を押し切って単独で各種委員会を開き、内閣提出の条約案や法案の採決を強行しています。また、内閣委員会では公務員制度改革関連4法案を新たに趣旨説明したうえ、民主党単独での審議入りをねらう状況となっています。
本来ならば、問責決議が可決されたことをふまえて、野田首相も「近いうちに国民の信を問う」と公言してきたように、衆議院の解散・総選挙こそ政府のとるべき道であり、首相への問責決議をないがしろにして、重要法案の審議入りや採決をすすめることは、議会制民主主義を無視した政権与党の暴走にほかならず、きわめて重大な事態です。
とりわけ、各政党間でも意見が分かれている法案は、与党単独で審議することは認められるものではなく、全議員出席のもとで時間をかけて審議を尽くすことは立法府である国会の責任です。
以上の点をふまえて、下記事項について貴職に要請いたします。
記
1、野田首相問責決議が可決された今国会において、与党単独で法案等の審議・採決を強行しないこと。
2、国民の暮らしやいのちにかかわる重要法案については、十分な時間をかけて徹底審議をおこなうこと。
以上
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