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声明
2008年人事院勧告にあたって(声明)
 時短の早期実施と「本府省手当」の撤回を求める
     
 

 

 人事院は本日、一般職国家公務員の給与と勤務時間に関する勧告ならびに報告を国会と内閣に対して行った。
 勧告は、俸給表・一時金とも改定を見送る一方、「本府省業務調整手当」の新設、所定勤務時間の一日15分短縮などを内容とし、報告では超過勤務の縮減やメンタルヘルス対策、非常勤職員の処遇、給与構造改革期間終了後のとりくみ、などについて言及している。
 国公労連は、08年人事院勧告に向けて、(1)賃金改善、とりわけ初任給の抜本改善・底上げ、(2)所定勤務時間の短縮と交替制職場での実質的な時短、(3)実効ある超過勤務規制、(4)非常勤職員の処遇改善などを重点要求として、職場からの上申闘争などを背景に人事院追及を強めてきた。
 これらの課題に対する到達点は、諸物価高騰のもとでの生活悪化と定員削減や行政需要の増大に対応する厳しい労働実態に目を向けず、俸給表・一時金とも据え置いたばかりか、民間との較差が著しい初任給すら改定しなかったことは、きわめて不満である。
 その一方で給与構造改革の一環として、現状でも級別定数の配分や昇格運用で相当の高評価をしているにもかかわらず、公務部内の合意や納得を得ないまま本省・地方の格差を拡大し、本府省の長時間無定量ただ働きの勤務実態に目を瞑り、当局の管理者責任を免罪するかのような「本府省業務調整手当」の新設強行は断じて認められるものではなく、撤回を求める。
 1991年の完全週休二日制以来17年ぶりの時短勧告は、一日8時間の所定勤務時間を初めて短縮するものであり、民間均衡とはいえ画期的な制度改善である。これは、休憩・休息時間の見直しに伴う拘束時間の延長によって「昼休みも休めない」実態や、家族的責任を有する職員等の切実な要求にもとづき、ねばり強くとりくみをすすめた成果である。
 非常勤職員の処遇について、各俸給表の初号を「最低基準」として経験年数の加算や一時金、通勤費の支給など「給与決定に関する指針」を策定したことは貴重な第一歩である。加えて、休暇や健康診断、任用や勤務形態のあり方などについて、さらなる検討の方向性を打ち出したことは評価できるが、予算措置によっては逆に雇い止め等が危惧される状況もあり、労働基本権制約の代償機能としてはなお不十分と言わざるを得ない。
 超過勤務の縮減対策では、法令協議や国会対応などの他律的な業務に係る上限時間の目安設定や、超勤削減に向けた早出遅出の一層の活用など、一歩踏み込んだ姿勢として受け止めるが、実効ある規制措置の必要性を改めて指摘しておく。
 また、給与構造改革期間終了後のとりくみとして、地域間配分のあり方の検討に加え、能力・実績主義の一層の推進、60歳前後の給与水準および給与体系のあり方について人事施策全般の「見直し」と一体での検討を打ち出している。これは、政府の総人件費抑制策にもとづくものであり、その「要請」には唯々諾々と応える一方、公務員労働者の利益擁護機関としての役割発揮には一貫して消極的な姿勢に終始していると言わざるを得ない。
 国家公務員制度改革基本法の成立にともない、1年以内に具体化される内閣人事局や、「自律的労使関係制度」に関わる検討が開始されようとしている時、第三者機関としての人事院の存在が根本から問われていることを自覚すべきである。
 国公労連は、春闘段階での政府・人事院回答をふまえ、前述の重点課題の実現に向けて賃金改善署名や職場決議の集中、人事院地方事務局包囲行動、7月17日の中央行動など、職場・地域からのとりくみをすすめてきた。
 また、貧困と格差の拡大が社会問題化するなか、生活保護基準との整合性が明記された最低賃金法の改正を受けて、地域別最賃の大幅引き上げ、誰でもどこでも時給1000円以上を求める運動とも結合させ、公務・民間一体の運動を前進させてきた。
 国公労連は、こうした運動の到達点を引き継いで「勤務時間法」の早期改正実現、労働基本権の全面回復を含む民主的公務員制度の確立、長時間過密労働の解消など切実な要求を前進させるため、秋季年末段階のとりくみを強化する。
 業務繁忙など厳しい条件のもと職場・地域で奮闘された組合員はもとより、共同・連帯してたたかった民間の仲間、私たちの要求や運動に理解と協力をいただいた国民の皆さんに心から感謝するとともに、引き続く運動への結集と共同行動の強化を呼びかける。

2008年8月11日
国公労連中央闘争委員会



 
 
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