人事院は本日、国会と内閣に対し、国家公務員の6月期特別給(一般職員の場合は期末0.15月・勤勉手当0.05月)を暫定的に凍結する特例措置とともに、指定職の特別給に勤務実績を反映するための新たな措置などに関する勧告を行った。
国公労連は、夏季一時金削減問題が表面化して以降、人事院に対して(1)一時金決定に関する従来のルールを一方的に無視するもの、(2)職員の生活や期待権を侵害するもの、(3)民間春闘や最賃決定への悪影響で景気対策に逆行するもの、とその問題点を指摘し、特別調査の中止とそれに基づく夏季一時金削減の検討撤回を強く求めてきた。職場からは、人事院地方事務局要求行動や交渉、緊急打電やジャンボはがき、上申行動などがとりくまれるなど、怒りの声が寄せられた。
本日の勧告は、こうしたわれわれの主張や要求を無視し、政治的な圧力に屈して人事院自らが勧告制度を形骸化する暴挙と言わざるを得ず、改めて満身の怒りをこめて抗議する。
公務員の特別給の支給月数の決定については、前年8月からその年の7月までの1年間に支給された民間特別給水準を精確に把握・比較し、官民の年間の支給水準の均衡を図るというルールが確立されている。
人事院は、「その考え方について変更を加えるものではない」としながら、「過去20年以上にわたって見られなかったような急速かつ急激な一時金減少という異例の事態が生じている」ことを理由に、(1)民間の状況を可能な限り反映することが望ましく、(2)12月の特別給で一括精算すると大きな減額となる可能性がある、などから6月期の支給月数の一部を凍結することが適当であると強弁している。
しかし、その背景には、与党プロジェクトチームによる公務員の6月期一時金削減の議員立法の動きがあったことは明らかである。今回の勧告は、政治的な動きに迎合し、その実質的内容を先取りするものである。さらに、指定職に対する期末特別手当の勤務実績を反映させることも、政府からの要請に基づいているものであり、労働基本権制約の代償機関、中立・公正な第三者機関という立場を自ら投げ捨てる政治的勧告といわざるをえない。
政府は、従来どおり「人事院勧告制度の維持・尊重」の立場を強調し、通常の手順で淡々と関係法改正などの手続きを行うだろうが、国公労連は、今回の勧告を棚上げにし、精確な調査にもとづく夏の勧告を踏まえて、最終的な決着をめざすべきであると考える。
今回の勧告に対しては、地方公務大産別はもちろんのこと、地方労連や国民春闘共闘に結集する民間労組が人事院へ要請を行うなど、怒りの声は公務職場にとどまらない。
国公労連は、職場・地域で奮闘した組合員はもとより、共同・連帯してたたかった民間の仲間とともに、引き続き「貧困と格差」の解消、最賃引き上げなど、全労働者の賃金底上げに向けた運動に全力で奮闘するものである。
以上
|