本日、人事院は国会と内閣に対して一般職国家公務員の給与等に関する勧告及び報告を行った。給与勧告は、マイナス0.19%(757円)の官民較差があるとして、若年層と医療職(一)を除く本俸の引き下げ、行政職(一)6級相当以上で56歳となる年度からの賃金抑制措置の導入、1963年の水準にまで落ち込む0.2月もの一時金削減などとなっている。
職員の生活と労働の実態を何ら顧みず、2年連続の大幅な年収減となる今勧告に断固抗議する。
とりわけ、50歳代後半層の賃金抑制措置は対象者を一部に限定したものの、職務給原則や能力実績主義に反するばかりか、年齢差別とも言えるこうした措置を講じているのは民間でも少数であり、断じて容認することはできない。
加えて、納得し得る根拠やデータの開示、十分な交渉・協議の保障など、手続き面でも不誠実な対応に終始したことは、政府の公務員賃金抑制方針に迎合し、労働基本権制約の「代償措置」、第三者機関としての矜恃を投げ捨てた勧告権の濫用と言わざるを得ない。
また、給与構造改革による経過措置の解消に伴う制度改善原資を、来年4月1日現在で43歳未満の職員の昇給調整に充てるとしているが、改革後の検証は組合と十分な協議を行い、合意のうえで実施すべきである。
国公労連は、賃金底上げで格差と貧困の解消、内需拡大を図る立場から、最低賃金の大幅引き上げと公務員賃金の改善を求め、職場からの上申闘争や署名・要求決議などを背景に中央・地方で人事院追及と、公務・民間一体の運動を強めてきた。
人事院勧告は、地方公務員はもとより独立行政法人や公益法人など、580万人もの労働者に直接影響するとされ、地域経済にも多大な影響を及ぼすものである。デフレ経済から脱却するためにも、政府には勧告の実施「見送り」を含めた真剣な検討を求める。
新たな高齢期雇用施策では、本年中を目途に定年年齢を段階的に65歳まで延長する立法措置のための意見の申出を行うとしているが、60歳代の給与水準の引き下げに関する一方的な言及は容認できない。国公労連として提出している具体的な要求書にもとづき、民間のモデルケースともなり得る制度設計に向け、健康で働き続けられる職場環境の整備を含め、真摯な交渉・協議を要求する。
一方、非常勤職員の処遇改善では、日々雇用を廃止して新たな任用制度を創設し、「3年上限」制限を設けなかったことや、育児休業や介護休暇などの適用拡大に踏み切ったことは一歩前進といえる。これをステップに、賃金や休暇制度など均等待遇、抜本的な制度改善に向けて引き続きとりくみを強めるとともに、政府・各任命権者には使用者としての責任ある対応を求める。
国公労連は、本日を新たなたたかいの起点として、総人件費削減などを阻止するため、組織の総力をあげて奮闘する。
誰もが人間らしく働き、安心して暮らせる社会をめざし、公務・公共サービスを担う労働者としてのプライドをかけて「国民の中へ、国民とともに」運動を展開しよう。
国民本位の行財政と司法の確立に向け、自らの言葉で「いい仕事をしたい」という思いを語り、国民の理解と共感を広げよう。
以上
2010年8月10日
国公労連中央闘争委員会
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