本日、人事院は国会と内閣に対して一般職国家公務員の給与等に関する勧告及び報告、定年延長に係る意見の申出を行った。
[1]月例給は0.23%(▲899円)の官民較差があるとして、50歳代を中心に俸給表をマイナス改定すること、[2]一時金も本来なら0.05月の引き上げとなるものを東北3県のデータがないこと等を口実に据え置くこと、[3]高齢層における官民の給与較差是正を理由に現給保障を廃止すること、[4]定年延長に伴う賃金水準を60歳前の70%とすることなど、総じて政府・財界の総人件費抑制政策に迎合した政治的な勧告と言わざるを得ない。
東日本大震災からの復旧・復興をはじめ、全国で行政を支えて奮闘している職員の労苦に報いるどころか、中立第三者機関としての立場を投げ捨てて3年連続のマイナス勧告を行ったことには断じて認められない。
とりわけ、雇用形態の違いや勤続年数などを無視し、単純な「民間準拠」で官民の50歳代の賃金較差をことさら強調し、狙い撃ちするかのような賃下げの集中は極めて乱暴である。加えて、今なお多くの職員が経過措置の対象となっていることは、「給与構造改革」が未だ完了していない証左であり、その廃止は到底許されない。
一方、継続審議となっている「給与の臨時特例法案」について、「国家公務員法の趣旨に照らし問題がある」と「強い懸念」を表明した。労働基本権制約の代償機関として当然の役割を発揮し、政府と国会に毅然とした対応を求める。人事院勧告が出された以上、政府は「給与の臨時特例法案」を直ちに撤回するとともに、国公労連との交渉・協議を尽くし、合意の上で勧告の取り扱いを決定するよう強く求める。
また、報告では短期の育児休業取得者に対する期末手当の取り扱い改善に言及するとともに、労働時間短縮や心の健康づくりなどについて引き続きとりくむ姿勢を明らかにしている。これらが実効ある制度、措置となるよう引き続き政府・使用者の努力を求める。
定年延長課題では、60歳代の年間給与水準の一律引き下げ、定年前の短時間勤務制度や本省を中心にした役職定年制の導入等を提起している。
年金支給開始年齢との接続を図るため、定年を段階的に延長することは当然である。しかし職務・職責が変わらないにもかかわらず、60歳を境に賃金を引き下げることは、職務給原則や能力実績主義に反するとともに、年齢差別に他ならない。合理的・科学的なデータも示さず、納得できる説明も行わないまま「意見の申出」を強行したことは極めて遺憾である。
官民ともに高齢期雇用のあり方を検討している時期に、公務でこうした制度となれば社会全体に及ぼす影響は図りしれない。政府には、法案化に向けて国公労連と十分交渉・協議し、労使合意のうえで作業をすすめることを求める。
いま、国民の生活と権利、安心・安全を守るために公務・公共サービスの充実こそ求められている。しかし政府は、大企業には減税する一方、復興財源として国民負担を押し付ける増税を画策し、その露払いに公務員総人件費の削減を狙っている。
国公労連は、こうした動きを許さず「国民の中へ、国民とともに」を合い言葉に、「構造改革」路線ストップ、民主的な公務員制度と国民本位の行財政・司法の確立をめざし引き続き奮闘する。
2011年9月30日
国公労連中央闘争委員会
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