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公務員制度の検討に当たっては、行政の第一線で日夜奮闘している大多数の公務員に目を向ける必要があり、「新たな給与体系の構築」の内容は、公務の民主的かつ能率的な執行の阻害要因にもなりかねないため、これを行わないこと。また、「企画部門」と「実施部門」の分離は、行政の一体性をそこない、国民の意見反映を阻害し、行政に対する国の責任を曖昧にすることから、これを行わないこと。
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(2) |
公務員労働者の労働基本権回復は憲法の理念に照らして当然のことであり、ましてや人事院による級別定数制度を廃止し、各府省の大臣を「人事管理権者」にして「責任ある人事管理体制の確立と自由度の拡大」を図ろうとするのであれば、すべての公務員労働者に労働基本権を全面的に回復すること。
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(3) |
「多様な人材の確保」「適正な再就職ルールの確立」などにかかわって「人事院の事前承認、協議制度」を廃止しようとしているが、公務員の採用をはじめ任用全体にかかわって情実人事を排除することは公務員制度の基本であり、第三者機関による事前チェックを確実に行うこと。
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(4) |
「採用段階の区分にとらわれない適材適所の任用」は現行の公務員制度の基本でもあり、T種試験採用者の「年次別」昇進人事をやめ、すべての公務員が専門的知識と技能を習得するための研修と責任ある地位に昇進する機会の保障など、民主的な任用、昇進制度を確立すること。
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(5) |
民間企業等との人材交流の促進にかかわって、「民間等の情報収集」を円滑に行うためとして公務員倫理法の形骸化を検討しているが、「官民のゆ着」を断ち切るためにも、民間企業から採用する際の各府省判断による「ふさわしい処遇での任用」、民間企業から登用された人材が民間に再就職する際の「規制の見直し」などを行わないこと。
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(6) |
「国家戦略スタッフ群(仮称)」の創設は政治と行政の関係にかかわる基本的な問題であり、その検討に当たっては、はじめに「結論ありき」ではなく、特別職国家公務員との関係をはじめその役割や基本的性格、責任などをまず具体的に提示したうえで、慎重に国民的討論をを行うこと。
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地方公務員制度についても、「地方自治の本旨に照らしつつ、国家公務員制度の抜本的な見直しに準じた見直しが必要」としているが、その制度と運用は国に「準拠」すべきものではなく、大枠は法律で定めるとしても、各自治体の長、議会、労使関係をふまえて自主的に決定すべきものであること。
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「6月には基本設計を取りまとめ、その後、法改正作業等に早急に取り掛かる」として、「『政策調整システム』に基づき、抜本的な改革の具体化に向けた検討を迅速に行う」旨を表明しているが、公務員労働者にとっては労働条件や「働くルール」に直接関わることから、一方的な「改革」の検討を行わないこと。 |