2001年5月29日《No.16》
ルール無視の一方的な進め方は認められない
〜「新たな人事制度」(検討案)をまとめた推進事務局を追及

 本日、政府・行革推進事務局は、3月27日の公務員制度改革の「大枠」にもとづき、6月中に「基本設計」をまとめるに当たり、その「たたき台」となる「新たな人事制度について(検討案)」をまとめ、各省に示すとともに、国公労連に対しても、午後3時から、その説明を行おうとしました。しかし、国公労連は冒頭から「提案」に至るまでの手続き上で重大な問題があるとして、推進事務局を追及し、内容の説明には入りませんでした。
 なお、推進事務局側は春田室長が対応。国公労連側は堀口委員長、小田川書記長、黒田書記次長ほか闘争本部事務局メンバーが参加しました。

 冒頭、堀口委員長は、「われわれはこれまで2度にわたり文書による申し入れを行い、『大枠』にもとづく基本設計の作業は進めるべきではない」と主張してきた。しかし、今日に至るまで何ら協議することなく政府主導で一方的に進められてきている。このことは、「労働基本権の代償措置である人事院勧告制度尊重」とするこれまでの政府答弁にも抵触することを指摘しておく。各省の意見、組合の意見をふまえ十分協議し、納得できる到達点を築くべきである。その点から、今日示そうとしている一定の考え方はどのような性格のものか。5月25日の石原大臣との会見でも大臣は「申し入れについてはよく検討する」としている。これをきちんと担保する必要があるのではないか」などと発言。
 これに対し春田室長は、「事務局としては、公務員制度改革について12月の閣議決定を具体化する任務を持っており、『大枠』で示された方針にもとづき調整の任にあたる。改革案についてはいろいろ意見があり、その調整のセクションとして意見を聞く立場にあると考えている。組合にも改革の方向としての検討案として示したい。内容については、労働条件の変化を伴うものとの認識はある」などと回答。引き続き「事務局の立場」や「手続き上の問題」、「提案の性格」などを中心としたやりとりが繰り返されました。最終的に国公労連は「手順に重大な問題があることから、検討の『たたき台』であっても正式の提案としてうけとることはできない」とて交渉を終えました。

 主なやり取りは以下のとおりです。(※○は国公労連、●は推進事務局)
 ○ 申し入れ後2カ月が経過し、まともな議論もなく今日に至っている。事務局は検討案についてどういう責任をもって対応するのか。内容について労働条件の変更を伴うものとの認識があるのならば、たとえば民間の労使関係であれば合意まで努力するのがルールである。調整の任の意味がよく理解できないが、仕組みを変更するのだから当事者責任をもって対応すべきである。
 ● 内閣官房という国の重要施策の総合調整を所管する立場で、公務員制度を改革するに際して、12月の行革大綱の閣議決定を具体化するためにできた組織であり、具体化を進めるにあたり、総合調整の要としての任務を持っている。改革をどういうことでやっていけるかの調整案を固めることを任務としている。われわれが方向を決め、以後は各省がそれにもとづいて進めていくことになる。調整の節目としては、すでに3月と6月があって、それに向けて調整していくのが私どもに与えられた任務である。
 各省や組合のみなさまの意見がどういう意見なのかを聞いて回って、どういう方向、枠組みで進めるか調整するセクションだ。現行制度のルールに従って、皆さん方とも誠心誠意お話をしたい。

 ○ 今日提案しようとしている「検討案」は、使用者である政府として労働組合に正式に提案するための予備提案として受け止めればいいのか。そうであっても一定の方向を示すのであれば一定の合意があって検討に入るのではないか。また、「たたき台」であればタタイた上で、ダメであれば止めると理解していいのか。少なくとも「基本設計」までは、事務局が責任を持って国公労連と対応するという立場か。
 ● 今回の案は、基本設計の検討案そのものではない。検討案のベースになる現時点での案、たたき台としてまとめたものだ。これをベースに各省とも皆さま方ともこれを基本に議論をしていきたい。
 ● 政府内部にもこれが最終案ということで示す訳ではない。各省にも今日の時点から色々な意見を聞きたいと説明している。たたき台なのだから、この案は絶対に変えないというものではない。
 責任ある対応をやらないというつもりもない。大枠では中身がない、議論するのに何も案がないではないかという意見もあったので、今回議論のたたき台を作った。
 内閣官房は、重要施策に関する総合調整という事務をもっている。それによって調整をはじめたということになる。
 ● 今回の案を作るのもなかなか大変でようやくたたき台までたどり着いた。基本設計をどう書くのか、私自身描き切れていない。6月末という期限ありきで、そこまでに最大限どこまでできるのかやってみないと分からない。
 大切な労働条件にも関わるので、ちゃんと対応していく。そもそも論もあるだろうし、基本設計のその後も含めて対応していかないといけない。

 ○ 中味には入らないが、労働条件の変更が伴うものであれば、労働基本権の問題について言及しているのか。仮に何らふれていないのであれば重大な問題がある。その理由も含めきちんと説明されたい。なお、提案が労働条件に関わる問題であれば、労働基本権の問題についても並行して議論すべきであることは、すでに申し入れているではないか。
 ● 今回の案には、労働基本権についてどういう方向でやるとかの記述はない。給与等のあるべき姿を検討して、その姿に対して労働基本権をどうするかを検討すべきだと思っている。公務員制度そのものをどうするか固まらないと労働基本権をどうこうするとは言えない。
 ● 労働条件の変更という認識が甘いのではとの批判は受けるが、労働基本権をどういうふうに組み替えるかは、全体に手を入れるのか、人事院の役割はどうするのかという問題と平行することなので切り分けて議論するのは難しいのではないか。

以上


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