2001年6月7日《No.19》
「大枠」の具体化に向けた
「基本設計」策定は許さない!
   国公労連第111回拡大中央委員会ひらく
 国公労連は、6月6日東京都内で、第111回拡大中央委員会を開催し、夏季闘争方針を決定しました。今号の闘争ニュースは、拡大中央委員会での公務員制度改悪反対の課題にかかわる委員長あいさつと決議を掲載します。

 ★国民諸階層との共同広げ改悪阻止を

 ○拡大中央委員会での国公労連・堀口士郎委員長のあいさつ(※公務員制度改悪反対の課題にかかわる部分の要旨です)
 私は4月14日の単組・ブロック・県国公代表者会議において、政府の進める「公務員制度改革」なるものの基本は、「憲法にもとづく全体の奉仕者としての現行制度の枠組みと公務員の役割否定であること、政治的には新たな支配構造を確立するものであること、そして、時の政権に従属する反動行政推進の公務員づくりにあること」などを強調させていただきました。
 この間の動きは、5月29日に出された政府・推進事務局の「新たな人事制度について」(検討案)の内容や、労働基本権問題の検討が後景に追いやられつつあるとの報道をみるとき、その狙いがいよいよはっきりしてきたと思います。
 私たちのたたかいが正念場に入っていく今日、改めて次の点を確認しあいたいと思います。
 一つは、職場内の世論をさらに大きくする取り組みが重要だということです。政府の進める検討内容の矛盾や問題点に対する批判を拡大していくことが大切です。この間、ほぼすべての都道府県国公で学習決起集会が開催され、各単組も創意工夫をこらした宣伝などに取り組んでいただいています。国公労連が当初から提起しているように、憲法にもとづく全体の奉仕者としての公務のあり方など維持し守るべき民主的部分、政官財の癒着構造など是正・改善すべき部分、そして、労働基本権の回復を基本に確立されなければならない公務員労働者の働くルールなどについて、仲間の学習を強め、確信を高める取り組みが重要です。今回の政府・推進事務局の「検討案」で問題点がいっそうわかりやすくなっています。よりいっそうの努力をお願い致します。
 二つめに大切なのは、国民諸階層との対話・共同の取り組みをもう一回り二回り拡大しなければならないということです。
 この間、全労連の対策本部も具体的に動き出しましたし、全労連はすべての県労連に対策本部の設置を呼びかけています。各地域において、私たち自身が運動の推進役となり、「打って出る」ことが必要です。
 いま、自公保政権の悪政の影響は、農民・商工業者・民間労働者など広範な諸階層に及んでいます。国民諸階層との懇談などを通じて、それぞれの分野での攻撃の内容を語り合い、共通の敵がどこにあるのかを国民世論として明らかにしていくことが必要です。
 そして、この課題を追求していけばいくほど、年次方針で提起した行政民主化闘争の日常的強化ということが重要になってきます。この取り組みは一見、遠回りで困難をともなうように感じられますが、公務員労働者にとって、原点の運動であることを今一度すべての仲間に訴えたいと思います。
 当面する6月末までのたたかいに全力をあげるとともに、この間の方針に確信をもって運動を進めていく決意を固め合いたいと思います。

★「大枠」の具体化に向けた「基本設計」策定は断固許さない!
国民に背をむける逆立ちの公務員制度改革に反対する決議


 政府・行革推進事務局は、公務員制度改革の「大枠」にもとづき、6月中の「基本設計」とりまとめにむけて作業をすすめている。国公労連は、政府がすすめる公務員制度改悪に反対し、民主的な公務員制度の確立を強く求めるものである。
 3月に発表された「大枠」は、政財官癒着の温床である「天下り」の自由化、能力・業績主義に基づく「信賞必罰の人事管理」、政治主導による「国家戦略スタッフ群」の創設などを柱としており、中立公正の行政をゆがめ、国民生活にも密接にかかわる重大な問題を持っていた。こうしたことから、国公労連は、ただちにその問題点を内外にひろく明らかにするとともに、推進事務局に対して、民主的公務員制度を確立する立場での検討を申し入れてきた。
 とりわけ、個人の能力や業績にのみ着目した人事管理は、集団的業務態勢で行政サービスを安定かつ中立公正に提供することを最大の目的とした公務にはそぐわないことや、行政に常に求められる専門性、中立・公正性、効率性、継続・安定性の確保、腐敗を生みだす「政財官の癒着」の根絶、さらには、公務員にもただちに労働基本権を確立することなどが公務員制度改革の検討にあたって求められていることを繰り返し主張してきた。
 こうしたなかで5月29日に「たたき台」として示された「新たな人事制度について(検討案)」は、国公労連の主張に何ら応えようとしない不当な内容であるばかりか、労働条件の重大な変更であるにもかかわらず、労働組合との「交渉」や「合意」のもとですすめるという労使間の基本的なルールさえ投げ捨て、推進事務局が一方的に「提案」し、わずか1カ月で「基本設計」のとりまとめをねらう乱暴な姿勢は、きわめて重大である。
 強い政治主導のもとで、「検討案」提示にあたって、「重要施策に関する総合調整」を所管する立場からの提案と言い放ち、これまでの国公労連の申し入れを一顧だにしない推進事務局の態度は、憲法で保障された労働基本権をふみにじるものであり、断じて認められるものではない。政府・推進事務局に強く抗議するものである。
 民主的な公務員制度の確立は、民主的な行財政確立と一体のものである。国公労連は、国民世論をひろげるなかで、省庁再編や独立行政法人化など国民犠牲の行革に反対する取り組みを前進させてきた。新府省体制のもとで「新たな公務員」づくりをねらう公務員制度の改悪に対しても、50万を目標とした国会請願署名や大量宣伝行動を通して、幅広い国民世論を結集するために全力をあげ、政府のねらいを打ち砕くまでたたかう決意である。
 国公労連は、推進事務局の「基本設計」にむけた「改革」の検討の即時中止を強く求めるとともに、国民のための公務員制度確立のため、国民とともに奮闘するものである。
 以上決議する。(2001年6月6日 国公労連第111回拡大中央委員会)

★民主的公務員制度の確立、夏季要求実現、
国政の民主的転換へ全力をあげよう 2001夏季闘争アピール


 過去最悪の失業率と企業倒産件数、個人消費の8年連続の後退など、日本経済は、かつてない深刻な危機におちいっている。このような状況をもたらした原因は、大企業の利益を最優先させ、労働者・国民に犠牲と負担をせまってきた自民党型の政治にあることは明らかであり、国民いじめの政治を転換することが緊急に求められている。「公共事業に50兆円、社会保障に20兆円」という、世界でも例をみない逆立ちした財政をあらためることや、個人消費を拡大するための消費税減税、医療・年金など社会保障制度の充実、大企業のリストラ「合理化」規制や不払い・サービス残業の根絶による雇用の拡大など、労働者・国民生活を最優先した政策へと切りかえることは、待ったなしの課題である。
 しかし、小泉新政権は、「聖域なき構造改革」の名のもと、「不良債権の最終処理」として中小企業つぶしをすすめ、社会保障は「自立・自助」で国の責任を放棄し、国民だけに「痛み」を押しつけようとしている。小泉内閣の「改革」とは、従来の大企業中心政治をいっそうおしすすめ、憲法改悪と軍事大国化をめざすことにほかならない。国民の願いとかけ離れた「改革」を許さず、自民党政治を大本から変えていくことが重要となっている。
 いっぽう、政府がすすめている公務員制度改革は、KSD汚職に見られる政官財の癒着にはメスを入れず、実施部門の「合理化」=行政サービス切りすてのための「逆立ちの改革」を行うものである。国公労連は、労働基本権の確立をはじめ、民主的行政の遂行のため不可欠な民主的公務員制度の確立のたたかいに組織の総力をあげる。
 春闘期における政府・人事院の回答は、「人事院勧告制度尊重」「民間準拠」という従来回答にとどまり、「ベアゼロ」政策が貫徹された春闘結果からも、3年連続の賃金引き下げ勧告の危険性も考えられる。こうしたことから、夏期闘争では、当局の使用者責任追及とともに、人事院に対するたたかいの強化が求められている。とりわけ、政府が、賃金切り下げの閣議決定をつづけてきた2年間の経過にも照らせば、公務員制度の改悪を許さないたたかいと結びつけ、職場に強固な闘争体制を確立していくことが重要となっている。
 こうしたなかで、7月にせまった参議院選挙は、国民生活を守る課題はもとより、民主的公務員制度の確立、国民本位の行財政・司法の実現など国公労働者にとっても極めて重要な意義を持っている。夏季闘争における要求前進をめざす取り組みと一体で、政治の民主的転換をめざすために職場・地域から大いに奮闘しよう。
 公務員労働者に対する攻撃がかつてなく強まっている今、不当な攻撃には、全力でたたかう、という労働運動の原点に立ちかえろう。21世紀最初の国政の民主的転換を実現するたたかいとも結合し、生活と職場、行政サービスを守り改善する取り組みに、全国の仲間の総決起を呼びかける。(2001年6月6日 国公労連第111回拡大中央委員会)

以上


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