全国の労働者、国民の皆さん
「自民党を変える」ことを看板にした小泉政権が誕生し、きわめて高い国民的支持が報道され、その背景に「改革」への期待があげられています。多くの労働者、国民が現在の政治や経済、社会のしくみを「改革」して欲しいと願っていることのあらわれです。
バブル経済崩壊後の10年余、政府・財界は「構造改革」と称して行政改革・規制緩和をうちだし、消費税率引き上げや医療・年金制度、労働諸法制などのあいつぐ改悪、金融機関への税金投入、産業再生法の制定や企業組織再編促進の商法「改定」など国家的なリストラ支援の強化、日本を「戦争する国」に変えるガイドライン法や「国家・国旗法」の制定の強行、首相権限と内閣機能強化を基本とした中央省庁の再編などをすすめてきました。こうしたもとで、3百数十万人もの「完全失業者」がつくりだされ、企業倒産や生活苦による自殺者の記録的増大、社会的にも異常な犯罪の多発など、憲法が保障する国民の「基本的人権」や「勤労権」、「健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利などが切り捨てられています。いまこそ、労働者・国民の職場や生活の実態に目を向けた政治、憲法を基本に雇用や生活、環境、平和を守り将来に安心を与える政治や社会への「改革」がつよく求められています。
また、いまだ後を絶たない特殊法人への官僚天下りやKSD事件に見られる政官財の癒着、汚職腐敗などが国民から厳しく批判されています。また、政府による社会保障制度や労働諸法制改悪などの悪政は行政執行者である公務員への批判にもつながっています。くわえて、外務省の機密費問題に象徴される行政の不透明さと官僚による予算の浪費、私物化などの不正行為が行政と公務員にたいする国民の信頼を著しく損ない国民からの厳しい批判を招いています。こうした状況は、行政と公務員制度の民主的改革を社会的にも重要な国民的な課題としています。
政府は、中央省庁の再編に続いて「信賞必罰の人事制度の確立」と「政治主導による政策立案機能の向上に向けての『国家戦略スタッフ群(仮称)の創設』」を柱とした「公務員制度改革」をすすめるとしています。しかし、このことは能力・実績の評価を通じて国民の利益よりも「国益重視」で政治権力に忠実で物言わぬ公務員づくりをめざすもので、「国民全体の奉仕者」とされてきた現在の公務員制度を根本的に改悪するものです。他方で政府は、国民が厳しく批判している官僚の天下りや政官財の癒着構造には抜本的にメスを入れようとせず、公務員労働者の身分・労働条件、国民本位の民主的な行政確立と不可分な労働基本権回復問題などについても意図的に方向性を示していません。
公務員制度は労働条件問題にとどまらず、公務の民主化、行政の民主的運営を担保する「ルール」であり、どのように「改革」されるかは国民全体にとっても重要な問題となっています。いま多くの労働者や国民が求めていることは、憲法が生き一人ひとりの国民が大切にされる行政であり、政官財の癒着を断ち切るための天下り禁止や特権的官僚制度の廃止、国民参加の行政にたいするチェック機能など民主的で公正・効率的な行政と公務員制度を確立することです。
本日の集会に参加した私たちは、その実現に向け公務職場における働き方や職場・仕事の自己点検運動、さらには国民の要求に照らした行政の問題点と背景にある今日の悪政を改善し転換するため自らが奮闘する決意をかためると同時に、広範な労働者、国民の皆さんにその共同のとりくみを呼びかけるものです。
2001年6月8日
小泉流「改革」を許さず、国民のための公務員制度確立を!
6・8中央総決起集会 |