「民主・公正・効率」の公務員制度確立をめざし運動の強化を
−「公務員制度改革の基本設計」の政府・行革推進本部決定にあたって(談話)−

 本日、政府・行政改革推進本部は、「公務員制度改革の基本設計」を決定した。その性格は、3月27日の「公務員制度改革の大枠」にもとづき、公務員制度改革の骨格と具体化にあたっての検討事項を「政府の共通認識」として示すものとされている。そして、「内閣官房主導のもと」に「人事院の一層の協力」を求め、「職員団体との意見交換」をおこないながら、12月には「公務員制度改革大綱(仮称)」を取りまとめると表明している。
 国公労連は、信賞必罰の人事管理などによる管理強化、行政サービス切り捨ての「逆立ち」改革、労働基本権の検討を先送りにするという憲法違反の「改革」に反対し、この間全国で運動を展開してきた。そのことからしても、「大枠」の具体化である「基本設計」は容認できない。引きつづき、「基本設計」が、国公労働者と国民に「痛みを強いる改革」であることを具体的に追及し、公務員制度改悪の断念と「民主・公正・効率」の制度確立を政府に迫っていく。

 「基本設計」は、信賞必罰の人事管理の具体的内容が能力等級制度をはじめとする任用、給与制度の「改革」と、目標管理制度などの評価制度の「改革」であることを明らかにした。また、級別定数や組織・定員の管理を各省大臣にゆだね、人事院の役割転換をせまる「改革」をさらに強調しながら、労働基本権については「十分検討」とする姿勢にとどまり、公務員労働者の人権を侵害する姿勢を強めている。さらに、国家戦略スタッフ群や企画立案と実施の分離、1種試験制度の温存、「天下り」の規制緩和など、キャリア特権制度を維持・強化する姿勢も強く打ちだしている。総じて、使用者・当局による人事管理権限強化の方向が露骨に示されてきている。このような点を職場の内外で徹底して暴露し、追及を強めることが、これからのたたかいでは重要である。

 3月27日以降の3ヶ月、政府は労働組合とのまともな交渉をおこなわないままに、公務員制度改革を政治主導で進めようとしてきた。6月初中旬に開催されたILO第89回総会では、そのような「改革の進め方」が糾弾され、日本政府は、「閣議決定、大枠に制約されず基本設計後に職員団体と交渉・協議」するとの見解を示さざるをえなかった。国公労連の追及に対し、推進事務局も同趣旨の「回答」をおこなっている。国際会議の場での「公約」やこの間の政府回答も足がかりに、「合意を前提とする交渉」の場を設けさせることは、要求前進に直結する当面の重要課題である。

 この間、全国の職場では、一月余りの期間に19万筆の署名が集約されたことに示されるように、政府による一方的な公務員制度改悪、労働条件の不利益変更を許さないとする怒りが急速に広がり、運動も前進してきた。そのことが、政府の「暴走」を一定程度くい止める力となった。この間の運動の到達点に確信をもち、引きつづくたたかいに全組合員の団結を強めよう。
 公務員制度改革の具体的内容に立ち入った使用者・政府追及も必要となる局面で、これまでの運動をさらに発展させ、国公労働者の圧倒的多数の要求と国民的な共闘の力で政府の攻撃をはね返すため全力をあげよう。
   2001年6月29日

日本国家公務員労働組合連合会
書記長  小 田 川 義 和


トップページへ  前のページへ