2001年11月27日《No.61》
総務省行政管理局が「組織・定員管理に係る基準」を公表
−「公務員制度改革の大綱」決定以前に先行決定−

 11月22日に、総務省行政管理局は、「組織・定員管理に係る基準」を公表しました。その内容は、「公務員制度改革の基本設計」で、「組織パフォーマンスの向上」の観点から検討課題とされた(1)機動的・弾力的な組織・定員管理、(2)自主的な組織管理、(3)自主的な定員管理、(4)組織・定員管理に係る基準の設定・公表、に応えたものとしています。
 制度所管官庁である総務省行政管理局が、「公務員制度改革の大綱」決定以前に、「改革」の一部について先行して決定したのは、「基本設計」のなかで「早期の具体化が可能な項目については、逐次その実現を図ることとする」とされていることをふまえたものとしており、「大綱」決定を待たずに実施に移すことを表明しています。組織・定員管理は、級別定数はもとより、総人件費ともかかわる公務員制度の重要な課題ですが、その点の検討は制度所管庁に委ね、人事管理に焦点を絞った「いびつな」制度検討を推進事務局が進めていることを図らずも露呈したとも言えます。

 具体的な内容は、(1)組織編成・定員管理に関する方針、(2)組織・定員の新設改廃の手続、(3)緊急時対応、(4)各府省の事務負担の軽減・合理化、に分けられています。
 「組織編成関する方針」では、国家行政組織法などが定める組織構造、組織類型等の基準(例えば「局」は、府省及び大臣庁に限定される、企画官は課室の下におく、など)を整理し、かつそれぞれの組織応じて、法律、政令、省令で名称、定数を定めることなどを求めています。また、中央省庁等改革で、府省などにおかれる官房及び局の総数を「96」以内とし、課室は中央省庁再編から5年間で「1割削減」(できる限り900に近い数)することが「決定」されていることをふまえ、分掌官や「総括整理職」の活用をもとめ、独立行政法人などのアウトソーシングを「自主的」にすすめることなど、「行革」の枠内の基準であることを強調しています。
 同様に、定員管理についても、「10年間25%純減を目指した定員削減に最大限努力」することを基本方針にし、定員削減計画の「着実な実施」、事務事業の合理化・効率化、企画立案部門と実施部門の分離と実施部門のアウトソーシングをもとめ、増員についても「既存定員の中での振り替え」、「本省内部部局の機動的な再配置」、「他省庁からの定員振り替え」などを明確にしています。
 これらの「方針」もふまえ、「本省庁内部部局の課、室、課長級官」の改編については、「各府省の課室等の総数」と「俸給の特別調整額の種別が改編前の官職と同党以下であること」、「同一会計区分であること」などを条件に、各府省の「判断と責任」でおこなうこととされています。同一局内での課の廃止と新設、課長を参事官に改編(参事官を課長にという逆は、課室の総数との関係で認められない)することなどが「自由」に行えることになります。
 また、定員についても、本省庁を通じて内部部局の範囲内(同一会計内)で、定員移動を各府省の「判断と責任」でおこなうことを認めるとしています。
 いずれも、行政責任を負う府省の「判断と責任」で弾力的な組織・定員管理を可能にしようとするものです。労働組合として、「構造改革」などへの緊急対応が求められる本省庁の内部部局の労働条件を擁護する立場からの対応・検討が求められる課題とも言えます。
 なお、予算編成時に想定されなかった緊急の行政需要が生じた場合などで、組織・組織定員面での対応が必要と判断される場合の「緊急時対応」も盛りこまれており、予算編成期外での増員要求を限定的とはいえ認める方向も打ちだされています。

以上


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