2001年12月5日《No.67》
推進事務局「新人事制度以外の原案」を提示

 政府・行革推進事務局は、12月4日夕方、「公務員制度改革の大綱」決定にむけて、新人事制度以外の「原案」を取りまとめたとして提示していきました。
 内容は、(1)試験制度、(2)官民交流の推進、(3)公募制の推進、(4)自己啓発のための休業、(5)留学費用の返還スキーム、(6)国家戦略スタッフ、となっています。「天下り」とかかわる再就職問題は、特殊法人改革での「役員出向制度」などあらたな課題が政治的に急浮上したこともあって取りまとめられておらず、超過勤務規制など「はたらくルール」の整備などは検討自体が遅れている模様です。また、人事制度と深くかかわる労働条件決定システム(労働基本権)は、なお検討中として、何ら明らかにしていません。
 試験制度について、現行の1・2・3種の試験区分は温存し、1種試験合格者を2.5倍程度増やすこと、人事制度との関係では1種を能力等級2級、2・3種を能力等級1級の「能力、適性」試験と位置づけるとしています。採用試験を「資格試験化」し、採用試験によって人事管理に差をつけるキャリア制度を「合法化」するものです。
 官民交流では、民間企業の「身分」をもったまま公務員となることを認める「官民交流人事法」や「任期付き職員法」の「整備」、官民交流の推進を強く打ちだしています。
 公務内外から、公募による採用をすすめること、特に、「府省を越える公募の一般ルール」を整備することとしています。公正・中立の観点から限定的に行われている「官民交流」を拡大し、流動化促進を重視したものです。公務の中立・公正性はもとより、内部で専門家を育成し行政の安定性を確保するという現行の人事管理を、公務外からの人材採用を基軸とする人事管理に転換させる可能性ももった検討内容です。
 自己啓発のため自費で国内留学する場合の休業制度、国費留学後早期に退職した場合の費用償還制度も打ちだしていますが、これらも人材育成(=研修)とのかかわりで少なくない問題をもっています。
 話題となっていた「国家戦略スタッフ」については、内閣総理大臣を直接補佐する公務員として位置づけ、総理の判断で機動的、弾力的に配置するため定員等を柔軟化するとともに、高い処遇を確保するなどとしています。政治主導、首相のリーダーシップなどを口実に、「特権の中の特権」、「キャリアの中のキャリア」の「制度化」につながると同時に、行政と政治の癒着を人事面から補強する側面も持っています。
 推進事務局は、来週にも、「新人事制度の原案」や遅れている天下り、労働基本権などの課題もふくめた「大綱原案」を提示する予定といわれています。明らかになっているいくつかの「原案」は、到底まともな改革案とはいえません。また、労働組合との交渉・協議も不十分なままです。
 12月中下旬と想定される「大綱」決定時期に向け、一方的な決定は認めない、とするたたかいをさらに強めることが必要になっています。

以上


トップページへ  前のページへ