2001年12月12日《No.72》
推進事務局・「公務員制度改革大綱の原案」を提示
−労働基本権問題は「棚上げ」のまま−

 政府・行革推進事務局は、本日、「公務員制度改革大綱の原案」だとする文書を提示してきました。提示にあたって推進事務局の春田室長は「この間示してきた『新人事制度の原案』や『内閣と第三者機関の機能の整理』をふまえて取りまとめた。ただ、与党協議との関係もあって『再就職ルール』は示せていないし、労働基本権問題や今後のスケジュールも書き込めていない」「労働基本権問題は重要な問題として認識している。その取り扱いの考え方は、今週中には提示したいと事務局としては考えている」などと述べました。
 これに対して国公労連は「労働基本権問題は大綱決定までに考え方を示す、大綱では集中改革期間中のスケジュールを決定する、と回答してきた経過からして、本日の文書を大綱原案として受け取ることはできない」「この間も主張してきたが、能力給などの給与制度改革や本省勤務手当新設、配偶者手当見直しなどといった労働条件課題を、使用者が一方的に決定することは断じて認められない。12月中の大綱決定にむけた作業をすすめることには明確に反対する」と主張しました。

 推進事務局は、各省に対しても同様の文書を提示し14日(金)15時までに意見を出すよう求めている模様です。
 示された「原案」なるものは、1)改革の理念、2)政府全体の適切な人事・組織マネージメント、3)新たな公務員制度の概要(「能力等級制度の導入などを内容とする新人事制度の構築」と「採用試験制度の見直しなど多様な人材の確保」)、4)組織パフォーマンスの向上、という構成となっています。その大部分は、11月6日、12月4日に示してきた「新人事制度の原案」などを「文書的に取りまとめたもの」です。「新人制度の原案」で示していた能力等級制度の「9等級制のイメージ」や職務遂行能力基準の「イメージ」などは割愛され、「公務員制度改革の基本設計」(6月)と同様、抽象的に「改革内容、方向」を記述するにとどまっています。
 その点では、賃金等の労働条件を「誰がどう決めるのか」という労働条件決定システムや、法に盛りこむとしていた労働条件の決定の基準なども明らかにしないままに、各省権限の拡大のもと労働条件が決定される人事制度改革や、中立公正さの維持よりも民間との人材交流の促進(癒着の拡大)などにウエートをおいた改革を進めることを「閣議」決定するのが「大綱」の目的であることがはっきりしてきています。
 制度の中味を明らかにする交渉・協議にはお茶を濁し、政治的圧力も背景に、能力・実績主義強化の人事管理責任を自主的に実施することを各省にせまることを閣議決定してしまおうというのです。そのことは、労働条件の変更を政府(内閣)が一方的に行う仕組みを公務員制度に持ち込む突破口になるものです。
 このような状況から、12月19日に提起している全国統一行動の成功は、極めて重要な意味を持っています。「労働条件変更を使用者が一方的に行うことは憲法違反」「提案されているキャリアのための制度改革は断じて認めない」「検討を白紙に戻して交渉・協議をつくせ」など、職場・地域からの怒りを政府・推進事務局に集中し、一方的な決定(閣議決定)を許さないため総決起しましょう。

以上


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