「公務員制度改革大綱」決定を目前にして、公務員の労働基本権を回復し民主的な公務員制度を確立するたたかいは、極めて重大な段階にさしかかっている。
この間、政府・行革推進事務局は、11月には「新人事制度の原案」を提示し、新たな人事制度の有り様を固める一方で、労働基本権問題は大変重要な課題であるとしながらも、我々との交渉・協議でこれを先送りしてきた。また、「超過勤務の縮減」や「女性の採用・登用の拡大」など働くルールの問題では、具体案の交渉・協議もないままに、これを含めて12月12日に「大綱原案」なるものを提示してきた。
「大綱」は、6月に行革推進本部決定された「公務員制度改革の基本設計」にもとづき、改革にむけた法制化等の具体的な内容や2005年度までの改革スケジュールを明らかにするというものであるが、既に新聞で報道されているように自民党主導により労働基本権の制約は現行のままという方向での決定がなされようとしている。各府省大臣を「人事管理権者」として、競争原理による能力・業績主義の人事管理を強化する一方で、国民的に批判が集中している「天下り」を自由化し、キャリア制度の温存をはかり、公務の中立・公平性を損なう官民交流を拡大するなど、キャリアによるキャリアのための制度改革と言わざるを得ない。
労働基本権は、憲法が保障する基本的人権であり、労働者が人間らしく働くうえで、最大限尊重されなければならないのに、使用者たる政府がこれを無視して、労働条件の変更を一方的に行うことは言語道断である。6月のILO総会で国際公約した労働組合との「誠実な交渉・協議」を尽くすべきである。にもかかわらず、自民党・行革推進本部を後ろ盾とした非民主的な進め方で大綱決定を行うことは断じて許されない。
国公労連は、(1)労働基本権の回復、(2)信賞必罰などの制度改悪反対、(3)天下り禁止など民主的改革の実現、の要求を柱に組織内外に広く訴え、国民的な支持をひろげるために全国的な運動を展開し、民主的公務員制度の確立を目指してきた。「11・30中央行動」の5000人の仲間の結集が示しているように、今回提案されている公務員制度改革は国民的にも到底受け入れられるものではない。また、我々の闘いも反映し、各省当局も「新人事制度」に強い懸念を表明しており、労使双方が反対し多くの問題点を含んだままでの一方的な閣議決定は行うべきでない。
国公労連は、これまでも幅広い国民支持を背景に、国民本位の行財政・司法の確立と医療・福祉・教育の拡充を目指してきた。こうしたたたかいとも一体で、引き続き全力をあげて奮闘するとともに、使用者たる政府に民主的公務員制度の確立を強く求めるものである。
以上、決議する。
2001年12月15日
日本国家公務員労働組合連合会
第112回拡大中央委員会