2001年12月19日《No.75》
推進事務局が「公務員制度改革大綱原案」を公表
労働基本権は「現行の制約維持」を明記
 18日、夕刻、政府・行革推進事務局は、「公務員制度改革大綱の原案」を明らかにし、各省庁に対し、19日夕刻までに意見を出すよう求めました。
 国公労連は、この間の「交渉・協議」で推進事務局が、「大綱決定までに労働基本権問題は労働組合に提示し協議する」としてきた経過から、責任者による対応と説明を主張し、19日13時30分からの交渉で、正式の提案を受けることとしています。
 明らかになった「大綱原案」では、「公務の安定的・継続的な運営の確保の観点、国民生活へ与える影響の観点などを総合的に勘案し、公務員の労働基本権について現行の制約を維持」するとしています。そして、「給与水準の設計と国会及び内閣に対する勧告や人員枠(現行の級別定数)での意見申し出」を人事院が行うとしています。しかし一方で、各省が人事管理を行う上での「明確な基準(能力等級毎の「職務能力等級表」やそれももとにした職務分類基準、業績給での分布率の基準など)」については、法律などで決定するとしているだけで、内閣が決めるのか人事院勧告にもとづくのかなどは明確にしていません。「職務遂行能力基準は賃金決定基準でもあり、勤務条件」と回答してきたことに照らしても、国公労連がそれらの決定システムの明確化を求めてきたことからしても、納得できる内容ではありません。
 新人事管理制度の一つの柱とされる評価制度ついても、「各府省の実情をふまえる」ことが強調されてはいますが、そのような検討の際の労働組合と当局との関係については素通りしたままです。
 また、今回の「大綱原案」で明らかにしている「天下り」(再就職ルール)の問題では、「公務員を退職したものが自らの能力を社会で活かしていく途が開かれていることが必要」と強弁し、営利企業への「天下り」を「原則規制」から「原則自由化」に転換する姿勢を示しています。国民的な批判に対し、「天下りの何が悪い」とする開き直りさえ感じられる内容です。
 そして、今後の進め方として、「国家公務員法の改正案を平成15年中(2003年中)を目標に国会に提出」、「全体として平成18年度(2006年度)をめどに新たな制度に移行することを目指し所要の準備をすすめる」などとし、地方公務員法についても国家公務員法と同時期に「所要の改正」を行うなどとしています。
 (1)各省大臣(人事管理権者)の人事管理の自由や、内閣の人事管理権限を拡大する一方で、それに見合った労働条件決定システムでの労働組合の関与(労働基本権)のまともな検討は行わず、「基本権の制約現状維持」と一方的に決めつけ、(2)「職員が生き生きはたらける条件づくり」として、差別・選別強化の人事管理とともに、キャリア特権制度の「合法化」、天下りの「自由化」など、一部の特権をこれまで以上に「擁護」するなどの内容が、「大綱原案」では一層露骨になっています。また、「本省係長、補佐への本省勤務手当の新設」という「お手盛り」や、多くの労働者の生活を顧みない「配偶者手当の在り方検討」を同時に決定しようとするなど、大綱決定そのものが、労働基本権を侵害することも明らかになっています。

★今日の12・19退庁時集会を成功させよう

 国公労連は、明日の交渉で、この間の事務局の回答との矛盾や、「大綱原案」の内容矛盾、使用者・政府が「代償措置」もなしに一方的に労働条件を決定することの不当性、などを厳しく追及し、また、この間の検討が、与党自民党との密室協議で行われ、まともな労使協議もつくされてことを強く主張し、「25日の大綱決定断念、交渉・協議のやり直し」を迫ることとしています。
 政府・行革推進事務局の暴走をゆるさないためにも、19日の退庁時集会を全ての職場で成功させましょう。

以上


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