2002年度予算政府案の決定について(談話)
1.政府は、本日、2002年度予算政府案を決定した。この政府案は、小泉「構造改革」の「痛み」を国民に押しつける一方、大型公共事業は名目的削減のみで、ムダの構造を温存している。また、国債発行を30兆円に抑えたと宣伝しているが、隠れ借金の復活などによる操作による数字であり、プロパガンダ(党派的政治宣伝)にすぎない。
2.医療・教育の分野での国民負担増は深刻である。医療では、必要額から2800億円削減したため、負担上限の4倍化など、お年寄りの医療費本人負担が大幅に引き上げられた。さらに、2003年度には、健康保険本人負担を3割にする計画である。また、国立大学の授業料は、2003年度に、年間2万4000円(今年度比4.8%)引き上げられ、年間授業料は52万800円になる。
3.公共事業費は、9兆4335億円から8兆4239億円へ1兆円余の削減となった。政府は、いわゆる重点7分野へ傾斜配分を強めたとしているが、単に従来事業を名称変更だけのものもあり、結局、基本的に事業別のシェアは変わらず、ダムや、道路、空港など大型プロジェクトに偏重しムダが指摘されてきた構造は変化していない。また、防衛費は、ほとんどの項目が削減される中でも例外的に削減ゼロであり、聖域化が際だっている。
4.一方、国と地方の長期債務残高は、来年度末で693兆円、対GDP比139.6%に達する見込みである。こうした状況の中で、すでに政府税制調査会は、本年7月に「わが国税制の現状と課題−21世紀に向けた国民の参加と選択」(いわゆる中期答申)を発表し、消費税率の引き上げを中心とする税制改正の方向を打ち出している。さらに、最近、与党首脳は、消費税増税の検討を早期に開始すると発言している。言うまでもなく消費税は最悪の大衆課税であり、悪政のツケを国民に押しつけようとしているのである。
5.国家公務員には、厳しい財政状況を理由に厳しい定員削減が押しつけられた。定員の純減は、現業7515人(2001年度4095人)、非現業1755人(同1893人)、合計9271人である。現業は、約3500人の純減上積みであり、非現業も140人程度減少したとは言え、依然非常に厳しい純減である。しかも、政治的に求められた増員の「財源」も捻出しているのであり、現場の負担はますます大きくなっている。今後さらに国立病院・療養所独立行政法人化、国立大学の法人化が予定され、すでに法人化された部門も非特定独立行政法人化や民間法人化の圧力が強まることが予想される。行政サービスを支える「人」への切り込みは、行政サービスのあり方を変質させようとしている。
6.来年度予算案でも、この国の「かたち」、あり方が問われている。我々国公労連は、大企業を支える国づくり、戦争をする国づくりへとつながる予算政府案は到底受け入れがたい。国公労連は、国民生活の安心、安全、安定を支える国へと日本を変えることをめざし、「雇用、くらし、いのち」を守る国民総決起春闘の一翼を担い、予算への組み替えと行政サービス実施体制の確立の取り組みをこれまで以上に力強く奮闘していくものである。
以上

2001年12月24日
国公労連書記長・小田川義和

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