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国公労連は、2月28日、総務省から公務員制度調査会の第55回会議の概要の説明を受けるともに、当会議で配布された「公務員制度調査会 労使関係の在り方に関する検討グループの審議について」などの資料を受領しました。 説明には、国公労連側は山瀬副委員長を責任者に3名が参加し、総務省側は山本大臣官房参事官(公務員制度改革担当)が対応しました。主なやりとりは次のとおりです。(○国公労連、●総務省) 【調査会第55回会議の概要について】 ● 公務員制度改革大綱について行革事務局の春田室長から説明を受け、質疑応答を行った。労働組合側委員からは、「(大綱の)手続き、内容の面からも問題がある」との指摘がなされた。古橋、八代委員などからは「いろいろな経緯はあったが、公務員制度調査会の基本的な答申が入れられており評価できる」という意見が出された。また、「試験合格者を大幅に増やしてうまくいくのか」などといった意見が出されたが、石原会長代理が締めた。 この後、労使関係の在り方に関する検討グループの審議についてでは、菅野座長、山口座長代理連名の「公務員制度調査会 労使関係の在り方に関する検討グループの審議について」という、労使の意思疎通が大事といった趣旨の検討経緯の総括をまとめた個人的なペーパーが出された(別添参照)。なお、公務員制度調査会は、来る3月31日で期限が切れることになる。 以上の説明を受けて山瀬副委員長は、次のように指摘、やりとりを行いました。 ○ 公務員制度審議会、公務員制度調査会、公務員問題連絡会などでの歴史的な検討事項などは、今回の公務員制度調査会に引き継ぐということではなかったのか。 ● 大きな意味ではそうだ。 ○ 労使関係を念頭において議論してきたと思うが、職員団体制度の在り方や労働組合の政治活動の在り方などについては、残された課題といえるが、その辺はどうなるのか。総務省は制度的官庁であり具体的にどう対応していくのか。 ● 具体的な話は、まだ何もない。(座長などのペーパーは)、一定の見識は出しているので、この中味を取り入れて参考にしてほしいという感じだ。 ○ 制度官庁たる総務省としては、ぜひ具体化してほしい。 ● 主張の向きは立場上理解できるが、まだ具体的な話はもっていない。 ○ 労働基本権問題はまだ検討課題として残っていることが重要であり、総務省が担当すべきと思う。 ● 意見として伺う。 最後に山瀬副委員長は、「議論の経過は評価する部分もあるが、終わり方が極めてイレギュラーだ。1回からリアルタイムで経過説明を受けてきたが、終わり方はじくじたるものがある。残った課題については真剣に取り組んでほしい」と主張しました。 〈別添〉 平成13年11月 公務員制度調査会 労使関係の在り方に関する検討グループの審議について
菅野 和夫 公務員制度調査会 労使関係の在り方に関する検討グループは、平成10年7月の発足以来、我が国公務員の労使関係制度の在り方について検討してきたが、平成13年6月から後に述べる事情により休会のやむなきに至ったところである。そのため、その課題全てに、十分な議論が尽くされたとは言えないが、これまで約3年間20回にわたり公務員の今後の労使関係制度について、相当の論点の整理と議論を進めてきており、その経緯等を記録に留めることが必要かつ有益であると考え、座長及び座長代理個人として、これまでの議論をまとめ、公務員制度調査会会長に報告することとした。 1 審議の経過 公務員制度調査会 労使関係の在り方に関する検討グループ(以下、「本グループ」という。)は平成10年7月、公務員制度調査会会長の決定により、同調査会の下に、我が国国家公務員の労使関係制度の在り方について専門的に調査審議を行うため設置された。第1回会議から第5回会議において、公務員労使関係制度の問題の所在を把握するために、我が国及び諸外国の公務員労使関係制度等の比較・検討を行った。この間、公務員制度調査会から「公務員制度改革の基本方向に関する答申」が出されたので、以降これを踏まえ検討を行うこととした。続いて第6回会議から第13回会議まで、総論の議論として、国家公務員労使関係の現状評価や今後の公務員労使関係のあるべき姿等について、民間企業や各省庁等からのヒアリング等を踏まえつつ、整理しながら検討を行った。そして、第14回以降、それまでの議論を踏まえて検討項目を整理した上、各論の議論として、勤務条件決定制度や公務員の労使の意思疎通の在り方に関する議論等を中心に、今後のあるべき労使関係の構築に向けて検討を行ってきた。しかしながら、平成12年12月に行政改革大綱が決定され、本年1月以降内閣官房行政改革推進事務局を中心に白地から公務員制度改革について検討がなされるなど、状況が大きく変化し、本グループとしては、これまで積み重ねてきた検討を継続することが困難になったことから、平成13年6月5日の第20回会議における審議により休会としたものである。 2 検討の内容 (1)総論 我が国の公務員労使関係については、制度的にも実態的にもこれまで大きな変化を遂げてきたが、委員間において多少の違いはあるものの、対立的関係から安定的関係に変化したと評価することができ、戦後の対立的関係だった歴史のある一点を捉えて、労使のどちらか一方に責任があったという議論をするのではなく、今後の労使関係をどうするのかという未来志向の議論をすることとした。 そして、公務における労使関係の基本については、民間との比較を中心に検討を行い、公務員の労使関係は、民間と異なり、憲法15条に由来する全体の奉仕者性や職務の公共性からくる特殊な要素があるので、今後のあるべき公務員の労使関係を考えるに当たっては、国民の意識の変化や規制緩和、地方分権、情報公開といった公務や公務員を取り巻く状況についての変化に鑑み、公務員制度調査会答申に述べられた基本的な改革の方向を踏まえた上で、公務を円滑に遂行するとの観点、国民の理解と信頼を得るとの観点が重要であるとの認識を得た。 その上で、今後の労使関係の基本理念については、民間の労使協議制等を例にとりながら、労使の意思疎通の促進や国民の理解の獲得等について意見が交わされた。これについては、労使の意思疎通を促進することにより、行政サービスや行政効率の向上が図られ、これが国民の理解を深めることになること、今後の労使関係のあるべき姿がはっきりすることによって労使が共通の認識を持つことができ、それが行政改革などに労使が協力して取り組むことや国民の理解に結びつくことなどの考え方が示された。 加えて、労使の信頼関係を構築することが必要であり、そのためには、労使が共通の認識基盤を持つことが重要であるとの指摘がなされ、それは、国家公務員法の掲げる、公務の民主的、能率的運営というフィロソフィーであるべきであるとの意見が出された。 以上の議論を踏まえ、今後の公務員労使関係制度においては、公務の民主的かつ能率的な運用を図る観点から、労使の意思疎通を促進することが重要であって、そのためには、どのようなシステムを構築するのが適切であるかとの見地から、各論において個々の具体的問題について検討することになった。また、国民の理解・信頼を得るためには、透明性・解り易さが必要であることから、労使関係の情報公開についての検討も重要であるとの指摘もなされた。 (2)各論 ア)勤務条件決定制度 公務員の勤務条件の決定については、現行法上、給与や勤務時間を始めとする勤務条件全般を、法律又はその委任を受けた規則で定める勤務条件法定主義が採られる一方で、情勢適応の原則に基づき人事院が勤務条件の変更を勧告する制度が採られている。このような現行制度については、人事院勧告制度が、現行の勤務条件法定主義の下、公正で中立的な第三者機関の判断として、それなりの役割を果たしてきたとの認識であった。 今後の勤務条件決定制度のあり方については、その課題や改善の要否といった視点から、勤務条件の詳細について決定する現行制度の是非と、勤務条件法定主義の下で成り立つ団体交渉制度を中心に、現業職員との比較も含めて議論が行われた。そして、現行制度を勤務条件詳細法定主義であるとし、基準事項のみを法律ないし規則で定め、詳細事項は労使交渉で定めることを基本とすべきであるとの主張がなされた。これに対しては、現行制度における実際上の課題や、上記主張に係る決定制度における交渉の意味内容が不明確であること、財政民主主義や職務の公共性、公務員の地位の特殊性からくる制約があること、諸外国においても、給与の原資を法定し配分を交渉で行う仕組みはないこと、などの指摘がなされた。 また、労使交渉の結果の合意された事項の取扱いに関しては、地方公務員法上の書面協定制度との比較において、国家公務員への同制度の適用の是非についても、議論が行われた。 イ)労使関係における意思疎通 労使関係における意思疎通については、民間や現業の労使協議制との比較を中心に議論が行われた。この中で、民間の労使協議制は、労使双方のフィロソフィーの共有が基盤となって発達してきたものであるから、公務でも労使の共通の認識基盤をどう考えるかが最も重要であり、その基盤ができれば信頼関係が構築され、コミュニケーションも図られるのではないかとの指摘がほぼ共通のものとしてなされた。また、民間における労使協議は、争議権に裏打ちされた団体交渉とは別に、生産性の向上を指導理念として労使が話し合いたい事項を取り扱う場として発展してきたことと比較すれば、公務の場合の労使の意思疎通の場は、勤務条件法定主義という大前提の下で制約された労使関係制度を補うという意味合いがあるのではないかとの意見が出された。 こうした意見を踏まえ、公務員の労使関係の基本理念や円滑な意思疎通を図る新たなシステムについて検討を行ったが、その基本理念については、職員の士気や職場の活力の向上という他に、行政サービスの向上を考えないと国民の納得は得られないのではないかとの指摘がなされた。 以上の考え方による公務員の労使関係における意思疎通の促進を図る新たなシステムの必要性については、ほぼ共通の理解が得られた。このシステムの在り方については、民間における現状も踏まえ、あくまでソフトな形のものがその導入や実際の運用を考えると適当であるとの意見が出された。また、民間においても時代の変遷を経て今日の姿があるとの指摘や、民間と公務の違いから共同決定を必要とする労使協議は採りえないといった意見も出された。 具体的な意思疎通の在り方については、結論をみるまでには至らなかったが、意思疎通を行う当事者のレベルの問題や、意思疎通の結果を明らかにするものとしての書面協定の制度化についても意見が交わされた。 ウ)職員団体制度 職員団体登録制度の在り方や、管理職員等の範囲、在籍専従制度の在り方などの論点が提起され、現行制度の評価や課題について意見が出された。 3 終わりに 最後に、個別紛争の増加と労使関係など、当初予定されながら十分議論されていない論点も含め、議論を通じて感じた今後の労使関係を考えるに当たっての留意点について述べたい。 (1)労使の意思疎通の重要性 公務員労使関係制度は、公務の適正かつ効率的な運営に資するとともに、国民の理解・信頼を得られるものでなければならず、そのためには、労使の意思疎通が必要不可欠である。現在、内閣官房行政改革推進事務局を中心に公務員制度改革の検討が進められているが、新制度導入の際の労使の紛争を予防し、新しい公務員制度を円滑に機能させて、国民に対してより質の高い効率的な行政を展開するとの観点からも、労使の意思疎通は極めて重要であると言える。このため、新たな公務員制度を運営していくにあたっては、労使間の実質的な意思疎通を促進する仕組みが必要である。 なお、国民に対する透明性確保の観点から、労使間で合意が成立した事柄については、書面を作成することができるとし、その場合にはこれを情報公開によって開示することが検討に値する。 (2)苦情処理制度の充実 現在、民間における労使紛争の状況を鑑みると、個別の労使紛争が増加し、これへの対応が図られている状況にある。公務員の労使関係においても、民間と同様に、個別の労使紛争の処理は、今後ますますその重要1生を増すと考えられる。 特に、現在進められている公務員制度改革においては、新たな評価制度の導入等が盛り込まれており、評価を巡っての多くの苦情、不満が出てくることが予想される。 このような個別の労使紛争に対応するため、苦情処理制度の充実が必要であり、まず、最もよく実情を知りうる各省庁において、整備される必要がある。 その上で、各省庁における苦情処理の結果に不服がある職員に対しては、人事院等第三者機関に対する不服申立制度を整備するなど、複線的できめ細かな対応が可能な仕組みを作る必要がある。 (3)当局の体制の整備 以上述べてきた公務員労使の意思疎通の促進や、苦情処理機能の充実を図るためには、当局側の体制を整備することが必要である。 労使の意思疎通の促進を図るためには、人事行政に携わる関係各省庁における連絡・連携体制の整備、窓口の整理が必要であるし、苦情処理制度の充実に当たっても、それを有効に機能させるためには、人材の育成等、物心両面において当局の体制を整備する必要がある。また、後者に関連しては、新たな評価システムを実施するに当たり、評価を行う管理者に対する教育や支援、評価全体の調整といった人事管理システムの整備、新たな制度の下での職員団体との適正な関係の維持等が大きな課題となり、各省庁それぞれにおける人事管理体制作り、政府全体としての調整や研修等を行う体制の整備が求められる。 以 上 |