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国公労連は、3月5日総務省に対し、公務員制度改革にかかわる要請書(別紙)を手交しつつ交渉を行いました。交渉は、小田川書記長を責任者に7人が参加、総務省側は川崎人事・恩給局総務課長が対応しました。 冒頭小田川書記長は、「大綱」では、「引き続き制度を所管する府省の協力を得て検討を行う」旨述べているが、総務省としての対応を聞きたい。「大綱」に対する我々の意見は既に述べたが、大きな労働条件の変更であり、人事行政機関の立場での労働組合との対応を要請する。 一つ目は、現行制度の基本をどう考えるか。外務省におけるような政、官の関係もふまえて、今回の改革をどう考えるか聞きたい。 二つ目は、片山総務大臣は国会で「労働基本権制約と代償機能はパラレル」と答えたが、「大綱」で新しい人事制度が見えてきている。大臣答弁が生きているとすれば、「相応の措置」について制度官庁として、どう考えるか聞きたい。 三つ目は、国公労連との協議だが、人事行政機関として窓口を開けておいてほしい。合わせて、今回の改革、「大綱」に対して人事・恩給局としての立場・役割について明らかにしてほしい。 これに対して、川崎課長から以下の回答を受け、その後意見交換を行いました。(○は国公労連、●は総務省) ● 公務員制度は長い歴史があるが、50年余りたっていろいろな問題が見えてきた。一度見直しをするということで、「大綱」は重要な決定をしたと思う。 一つ目の点では、総務省として公務員制度を所管している。具体的には、法改正作業が出てくるが、我々は内閣官房とも一層緊密な連携を図ってまいりたい。内閣官房が中心とあり、それには従うが、議論には制度的に緊密な連携をしていきたい。公正・中立の確保、職員の利益保護については、大綱の中にもそれらの観点があり、これをふまえて検討していきたい。 二つ目については、労働基本権の代償措置について、大臣のパラレル発言がポイントだが、大綱でも「制約は維持する」と決定されたが、こうした決定がなされたということは、公務員は国民全体の奉仕者であるという特殊性の見地からの制約と考える。今後のことは、法制化など、制度設計は総務省としても制度官庁の立場から連携を図っていきたい。新人事制度の検討に当たっては、労働基本権の制約と代償措置をどうするかなど、行革事務局とも連携し議論していきたい。 三つ目については、新しい公務員制度を実効あるものにするためには、各省庁、労働組合とも十分な意見交換をしていく必要があり議論していきたいと考えている。 全体として、公務員制度改革全般についての総務省の立場は、「大綱」が内閣の方針として閣議決定され内閣官房が中心で進めるとなっているが、我々は、制度官庁として議論に加わり、意見もあげるし情報を提供するということだ。行革事務局とも緊密に連絡をとっていく。 ○ 内閣官房と緊密な連携というのは、総務省としての役割発揮だと思う。現行制度の中身と新しい制度の中身は必ずしも一致しない。「大綱」も制度すべてに触れているわけではない。行革推進事務局と連携をとる際の総務省の基本的立場をどこに置くのか、「大綱」を無批判に受け入れるのかどうかが問題だ。 ● 難しい。現行の国公法があり「大綱」と実際にどちらに軸足を置くか、共通の仕組みもあり、両方に置くか、どちらがどうとはいえないといわざるをえない。政府の決定は重視しなければならない。新しい方向に一緒に連携していくことになると思う。 ○ 例えば、職務遂行能力基準の設定と労働基本権との関係はどう考えるのか。 ● これからの議論であり、バランスをとっていくとしかいえない。行革推進事務局と十分議論したわけではないので、今は詳細にお答えできない。 ● 「大綱」ができて、実際どう具体化するか行革推進事務局でも検討中だ。我々も初めてであり、そこで詰めていくことになると思う。意見交換は各方面としていきたい。どのタイミング、かっこうについては今後の展開もあるので今は答えられない。 ○ 使用者の立場での労働組合との対応を重ねて求めておく。職員の利益保護、労働基本権は憲法上の要請であり、真剣に対応してほしい。役割発揮を期待している。 ● 私どもは、中央人事行政機関としての役割があり実行していくつもりだが、まずは、キチンとした案を固めていくのが重要で、行革事務局とも議論していきたい。 (以上) 〈別紙〉※同じ内容の要請書で、国公労連は、3月6日人事院へ申し入れを行っています。 2002年3月5日 総務大臣 片山虎之助 殿
日本国家公務員労働組合連合会 「公務員制度改革」にかかわる要請政府は、昨年12月25日に「公務員制度改革大綱」を決定し、2003年中の「改正」法案の提出、2006年度を目途とする新たな制度への移行がめざされています。国公労連は、「大綱」決定にむけて労使対等の立場での「交渉・協議」をおこなうという政府の「確約」が反故にされてきたという経過や、「大綱」の内容が公務員の公正・中立性を損なうおそれや、政府・各府省の人事管理権限強化によって労働基本権制約を一層強めるものとなっていることなどから、閣議決定を受けいれることはできません。 相次ぐ官僚の不祥事や「政官財」癒着の一層の深化など、行政の中立・公正性さえゆがめる事態が表面化している昨今の状況をふまえれば、「専門性、中立・公正性、継続・安定性」の確保を厳格にはかる立場での制度改革が求められていると考えます。同時に、行政内部からのチェック機能を高めるためにも、公務員労働者の基本的人権の確立を改革課題とすることが必要だと考えています。その立場からしても、「大綱」の内容は受けいれ難い点を数多くもっています。 政府は、引きつづき、内閣官房行政改革推進事務局が中心となって制度改革を進めるとし、各制度を所管する府省との連携を強め、人事院の「一層の協力」を求めるとしています。さしあたって、公務員制度改革の中心となる国家公務員法の改定については、中央人事行政機関である内閣総理大臣と人事院が、どのような対応をはかるのかが問われる局面を迎えています。 この間、国公労連は貴職に対し、現行の国家公務員法の基本原則を維持しつつ、民主的公務員制度確立のために、中央人事行政機関としての積極的な役割発揮を求めてきました。「大綱」決定をふまえ、「制度改革」作業があらたな段階にいたったこともふまえ、あらためて下記事項を申し入れるとともに、誠意ある対応を求めるものです。 記1 中央人事行政機関として、公務員の公正・中立性の確保及び職員の利益擁護の観点から、「公務員制度改革」作業に毅然とした対応を積極的におこなうこと。2 「労働基本権と代償措置はパラレル」とする政府の国会答弁もふまえ、公務員労働者の基本的人権実現の立場にたって、新人事制度の内容と労働基本権との調整・整理について積極的な対応をおこなうこと。 3 公務員制度改革にかかわっては、労働組合との協議をつくし、合意のもとにすすめること。そのことから、公務員制度改革にかかわる意見交換の場を国公労連との間に設けること。 以 上 |