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本日、文部科学省の「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」・連絡調整委員会(主査=長尾真京大総長・国立大学協会会長)は、「新しい「国立大学法人」像について」を了承し、国立大学「法人化」、教職員の「非公務員化」の方針を事実上決定した。国公労連は、国立大学教職員と労働組合などの意見を十分に聞くことなく、国民的な議論も不十分なままで行われた決定に抗議し、撤回を強く求めるものである。 「国立大学法人」は、法人の長の選考や中期目標の策定仕組みなどは異なるものの、独立行政法人と基本的に共通している。法人化の第1の狙いは、産業技術力強化政策のための大学づくりである。すでに文部科学省は、「トップ30」の大学を選択的に育成する考えをしめしている。今回、大学の業績評価の導入や教職員の「非公務員化」による兼業規制の事実上撤廃などで、特定企業の研究や企業活動に大学を組み込もうとしている。第2の狙いは、減量化である。「新しい「国立大学法人」像について」では、学長の経営責任を強調し、業績評価に基づく法人廃止を含む業務組織の見直し、企業資金のさらなる導入、企業会計原則に基づく会計基準などで、大学が「自主的」に減量化するに仕向ける仕組みを作ろうとしている。 「新しい「国立大学法人」像について」は、「行政改革の視点を超える」、「高等教育や科学技術・学術研究に対する公的支援を拡充することが不可欠」と言う。しかし、その点で具体的な目標を明らかにしないまま、「適切な競争原理の導入や効率的運営」のみが強調されている。「公的支援」が圧倒的に不足し、貧困な教育研究環境と高い学費を押しつけて来たことへの反省はここにはない。いま大学に求められているのは、長期的視野に立ち、教育と研究それぞれを充実させることである。いわんや企業からの資金をあてにして短期的な政策目標である産業技術力強化に偏重することは、国家百年の大計を誤るものである。 今回、「非公務員化」の決定は重大である。言うまでもなく、これは身分保障に関わる。労働条件面では安易な解雇にも道を開く、重大な不利益変更になろう。また、国家公務員の給与制度に準拠する必要がなく、恣意的な業績評価による個別賃金決定を行うことに何の障害もなくなる。同時に、身分保障は、学問研究の自由や長期の視野に立った教育研究の支えであることから、大学における教育研究を歪めるものとなろう。さらに、「非公務員化」の動きが、既存の独立行政法人の業務組織見直しにあたっても否定的影響をもたらすことが懸念される。 国立大学の「法人化」、「非公務員化」は、法律として確定したわけではない。国立大学の公共的役割を守り、発展させることは、日本と世界の将来を保障する重大な闘いである。いま文部科学省の方針の問題点を広く国民に明らかにし、「法人化」反対の世論を巻き起こそう。国公労連は、単組、ブロック・県国公と協力し、大学教職員組合の仲間の闘いに連帯し、強力な運動を展開していくものである。 2002年3月6日 日本国家公務員労働組合連合会書記長・小田川義和 |