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【※今回の「闘争NEWS」は、公務労組連絡会発行の「公務労組連絡会FAXニュース」2002年5月24日《No.323》を転載させていただきますので、ご了承ください。】 日本政府がすすめる「公務員制度改革」に関して、公務3単産書記長(全労連「公務員制度改革」対策本部委員)による要請団が、スイス・ジュネーブにあるILO(国際労働機関)の本部を訪問しました。 自治労連・三宅書記長、全教・東森書記長、国公労連・小田川書記長の3名は、5月21日にILO結社の自由委員委員会へ要請したほか、前日には世界労連のジュネーブ事務所を訪問するなど、精力的な日程をこなして22日に帰国しました。 公務労組連絡会に結集する3単産の書記長が参加した初の海外要請として、今回のI LO本部訪問は、画期的な行動となりました。なお、公務労組連絡会から黒田事務局次長、全労連からは通訳をかねて加藤国際局員が随行しました。 ◆日本政府の公務労働者への権利侵害の実態を伝える 今回の要請は、全労連が3月に「結社の自由委員会」に提出した「訴状」にもとづいて、日本政府への勧告などの具体的な措置が早く実現するようにとりくまれたものです。 その立場から、全労連「公務員制度改革」対策本部の委員でもある各単産書記長がジュネーブのILO本部を直接訪れ、「公務員制度改革」にかかわる日本政府の一方的な検討のすすめ方や、労働基本権をめぐる問題などを具体的に説明しました。 要請には、ILO結社の自由委員会事務局で日本の案件を担当しているパトリック・キャリエール氏が対応しました。 はじめに、要請団を代表して自治労連の三宅書記長が、昨年のILO総会での「交渉・協議」の約束をホゴにした政府の不当な対応について指摘し、ILOの勧告を無視して公務員労働者の労働基本権が制約され続けてきたことは重大な権利侵害であり、日本の政府がとっているこうした姿勢が、国際的にも否定的な影響を与えることを強調しました。 そのうえで、「公務員制度改革」の内容とすすめ方が、公務員労働者の基本的人権をいちじるしく侵害しているとして、全労連の提訴を積極的にうけとめ、ILOとして早急に必要な措置をとることを強く求めました。 国公労連の小田川書記長は、「日本政府の『公務員制度改革』とは、政府機関の中央省庁職員わずか3〜5万人を対象としたものにすぎない。ILO98号条約で定義される公務員の範囲からすれば、労働基本権制約を維持するとの結論はもともと誤りだ。日本の動向はアジア諸国にも影響する。その点も考慮して、ILOが良い結論を出すように願っている」と要請しました。 また、全教の東森書記長は、「公務員制度改革」の中心である労働基本権問題とも関連させながら、現在、岡山県高教組が結社の自由委員会に申し立てている給与勧告抑制をめぐる案件について、日本政府への勧告など早期の結論を要請しました。 ◆国際的な世論で「改革」にストップを キャリエール氏は、11月の理事会や結社の自由委員会にむけて、今後すすめるべき審議の手順などを明らかにしたうえで、「全労連からの訴状の内容は十分に理解している。結社の自由委員会は、各国の政・労・使の代表が参加して討議する場であり、私がそこで意見を述べる立場にはないが、会議にむけて私なりの考えをまとめ、必要な見解を表明していきたい。その点で、今日の話は参考になった。みなさんからの直接の情報提供に感謝している」とのべ、今後、労働組合側、政府側の両方から十分に意見聴取しながら、総合的に検討をすすめていくことを明らかにしました。 「公務員制度改革」にかかわっては、「連合」も全労連と同趣旨でILOに提訴しており、6月に開かれるILOの定期総会での議論も注目されます。 公務労組連絡会は、6月から200万筆の集約を目標とした「民主的公務員制度を求める署名」運動をスタートさせます。国民的な世論をひろげていくとともに、ILO勧告など国際的な世論の力で、一方的な「改革」をすすめる日本政府を包囲し、不当な「公務員制度改革」にストップをかけていく必要があります。 そうしたたたかいを前進させるうえで、3単産書記長が力を合わせた今回の要請行動は、今後の運動につながる大きな一歩となりました。 ◆世界労連のジュネーブ事務所を訪問 −なごやかに懇談し、情報収集など今後の協力も約束− 要請団は5月20日、世界労連のジュネーブ事務所を訪問し、駐在役員のラモン・カルドナ氏(世界労連事務局次長)と懇談しました。 カルドナ氏は、「みなさんのILOへの訴状を見せてもらった。提訴にしたがって結社の自由委員会から勧告が出され、重要な決定がなされることを願っている」とのべ、日本からの要請団を歓迎しました。 カルドナ氏との懇談では、6月のILO総会や11月の理事会、結社の自由委員会に関連する情報や助言をもらうことができました。また、「私にできることがあれば、どんなことでも伝えてもらいたい」として、情報収集など今後の協力も快諾が得られ、貴重な懇談の機会となりました。 (公務労組連絡会発行「公務労組連絡会FAXニュース」2002年5月24日《No.323》より転載) | ||||
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